腕時計は、一度買えば長年使用するのが当たり前のアイテム。クオーツ式でも5〜10年、機械式時計ならば数十年単位で愛用することとなるでしょう。
それだけに、保管状況や日常の使い方はとても大切です。
ここでは、腕時計を10年後も変わらず愛用するための保管方法について紹介します。
目次
腕時計の保管において注意するべきこと
腕時計の保管において注意するべきことを紹介していきます。
腕時計の保管する場所には気を遣う
機械式やクオーツ、電波時計など種類はさまざまですが、基本的にはどんな時計であっても精密機械。デリケートに扱うことが鉄則です。
特に、保管場所には注意が必要。適切な場所に保管することで不用意に傷がつくことを避けられるだけでなく、腕時計の寿命を延ばすことに繋がります。
磁気を出すものから離す
磁気は機械式時計の天敵です。近年では耐磁性を備えた機械式時計なども開発されていますが、大多数の時計は磁気の影響によってムーブメントの歯車がなどが狂います。
特に避けるべき場所が、パソコンやテレビ、スマートフォンなどの電子機器の近くです。これらの機器は、電源が入ると磁気を発生させます。
ムーブメントは細かい金属製のパーツによって構成されているため、磁力に近づければ近づけるほど故障のリスクが高まります。
特に強力な磁気を発生させる家電製品が電子レンジです。長時間の保管場所に電子レンジの近くを選ぶのは絶対に避けましょう。
意外と見落としがちなのがスマートフォンで、小物類の保管場所として腕時計と一緒に置いてしまう人が少なくありません。自宅はもちろん、外出時に腕時計を外したときもスマホとセットで置かないよう注意が必要です。
高温多湿な場所は避ける
温度の変化によって、精密機械の金屬が膨張・縮小する可能性があります。特に機械式ムーブメントは、内部の摩擦抵抗を増やすことから寿命を縮める要因となってしまいます。
気温は5℃~35℃が適切な環境だと言われており、この範囲内であれば悪影響を及ぼす心配はほとんどありません。
注意するのは極端な気温差で、高温の場合は時刻が遅れやすく、低温では進みがちになる傾向にあります。
また、近年ではダイバーズウォッチを筆頭に防水性に優れた腕時計が多く出回っていますが、防水時計の場合も温度には要注意です。
海やプールなどに着用するぶんには問題ありませんが、熱いシャワーやサウナで温めると時計内部の潤滑油が流れてしまう可能性があります。
「◯◯m防水」のようなスペックだけを鵜呑みにせず、使用範囲については購入時にきちんと確認するようにしましょう。
また、防水性に特化していない腕時計は水気も大敵なので、湿度の高い場所へ保管するのは極力避けましょう。
直射日光を避ける
長年にわたって腕時計の美観を保つためには、直射日光にも注意しましょう。文字盤やレザーベルトは、光の下に長期間さらすことで変色していしまいます。
特にレザーベルトは太陽光や照明の光でも徐々に退色するので、保管するときは暗所を選ぶのがベターです。
また、直射日光は必要以上に乾燥させてしまうのもデメリット。カサカサになったレザーベルトは見た目の印象もよくないので、革用クリームなどでケアすることも大切です。
レザーベルトほどではないですが、文字盤も時間とともに変色していきます。腕時計の文字盤は、アンティークウォッチによく見られるように黄ばんでいくのが特徴。もちろん腕時計に経年変化はつきもので、一つの魅力とも言えます。
しかし、購入から数年で劣化してしまうのは少々扱いに問題があるでしょう。経年変化は、10年〜20年かけてじっくりと味わい深くなっていくのが理想です。
そのためにも、無闇に明るい場所にさらさず、暗所で保管するのがおすすめです。
樟脳(しょうのう)入りのタンスなどには保管しないようにする
日光や磁気を避ける保管場所としてタンスやクローゼットが挙げられますが、樟脳や乾燥剤、脱臭炭などが入っている場合はNGです。
樟脳や湿気対策用の炭は、時計内部の潤滑油まで乾燥させてしまう可能性があるからです。
また、乾燥剤などが無い場合でも、磁石を使った製品が近くにないかも注意しましょう。服に着けられたボタンや、バッグの開閉口に磁石が使われていることがあります。
高い場所には極力保管しない
本棚やテーブルなど、落下の危険性がある場所にも注意です。機械式時計は落下に弱く、ちょっとした高さから落ちただけでも故障する可能性があります。
クオーツ時計の場合はやや耐久性は高くなりますが、ケースに傷がつくことを考えるとやはり高い場所に置くのは避けたほうがいいでしょう。
保管に適切なケースなどを紹介
腕時計の保管などに便利なものを以下では紹介していきます。
腕時計専用のケースに入れるのが安心
埃や衝撃から守れるというメリットから、腕時計はケースに入れて保管するのがおすすめです。
外部から守るだけでなく、一般的な腕時計専用の保管ケースには、時計を巻きつけるためのクッションが備え付けられています。
ケースを使用しない人の多くは、文字盤が上になる状態で置いてしまう人がほとんどです。そのためDバックルの留め具などが裏蓋に接触し、傷をつけてしまいます。クッションを使うことで、裏蓋の刻印などを綺麗な状態に保てるわけです。
また、安全面だけでなく、決まった場所に保管しておくことで、いざ着用しようとしたときに腕時計が見当たらないという状況を回避できるというメリットもあります。
腕時計のケースは、コレクター風のものから実用的なものまで様々な種類があります。使用している腕時計の種類によって、最適なケースが異なります。
腕時計スタンド、アクリルケースを使用する
最も手軽なものが、アクリル製の腕時計スタンドやケースです。
アクリルスタンドは安いものなら数百円で手に入ります。腕時計を巻きつける形状なので裏蓋を傷つける心配はなくなりますが、埃から守ることはできません。
また、落下や転倒の心配もあるため、保護という意味ではやや頼りないというデメリットもあります。
アクリルケースの場合は、埃や衝撃から守ることが可能。ただし、湿度や日光の影響は受けるので、置く場所には充分注意しましょう。
コレクションボックスを使用する
高級感のあるコレクションボックスは、時計愛好家から人気の保管ケースです。
1本用から多いものなら2段式の12本まで、バリエーションも実に豊富。複数本収納できるのもはきちんと仕切りが設けられているので、それぞれが独立した状態で保管できます。
レザー調のものやアルミ製のケースなど、素材によって演出できる雰囲気も異なります。天板はガラス製のものが主流で、愛機をじっぐりと眺められるのが魅力です。
また、中が見えるディスプレイ型の他に、持ち運びやすい携帯用のケースもあります。長期の出張や旅行で重宝するほか、修理依頼で宅配する際にも安心できます。
機械式時計を使用している人はワインディングマシンがあるとよい
保管や収納する物とは別に、自動巻きの機械式腕時計を所有している人は、ワインディングマシンを所有していると便利です。
自動巻き式時計は毎日着けていればゼンマイを巻き上げる必要はありませんが、週末に時計を外す場合や、複数本をローテーションして使用している場合は時計が止まってしまうこともしばしばあります。
ワインディングマシンは、電源を入れるとスイングや回転でローターに振動を与え、ゼンマイを自動で巻き上げてくれます。
機能や種類もさまざまで、1本のみ収納できるのもや複数本収納できるもの、マシンと収納スペースがセットになったものなどがあります。時計回りか反時計回りの一方にのみ動くのが一般的ですが、両方向に切り替えが可能なタイプも存在します。
自動巻き時計を毎日使わない人や、デスクワークなどが中心であまり動かない人には最適のアイテムだと言えるでしょう。
腕時計の保管方法に関するまとめ
- 保管方法ひとつで、腕時計の寿命は大きく変わる
- 「磁気」「湿気」「乾燥」「日光」など、デリケートな腕時計を長持ちさせるために注意すべき点は多岐に渡る
- 神経質になりすぎる必要はなく、どれだけ貴重に扱っても経年変化は起こるものである
保護ケースなどで外的要因から守りながら、年月とともに味わい深くなる腕時計を大事にしましょう。