最近では、スマートフォンの内蔵カメラの性能が大幅に向上して、一眼レフとの差が縮まってきています。それでも夜空の星を撮るとなると、なかなかうまく撮れません。

単に夜空をバックにするだけの写真なら、スマートフォンのカメラでも撮れますが、星座や銀河を構成する星のひとつひとつをくっきりと美しく撮りたいときには、スマートフォンをバッグに収めて、高性能のデジタル一眼レフかミラーレスカメラに持ち替えるしかありません。

ここでは星を撮影するために必要なカメラの条件と、おすすめのモデルについて説明します。

星の撮影に必要な物

近年のスマートフォンは動画や音楽を楽しむアイテムというだけではなく、デジタルカメラとしても十分すぎる性能を備えています。

中でも「iPhone 7 Plus」や「Xperia XZ」のような最新のハイエンドモデルになると、花や食べ物、景色といった通常の被写体はもちろん、夜の遊園地や花火のようなコントラストが強いシーンでも、シャッターをパチッとタップするだけで、驚くほどきれいに撮ることができます。

それでも星座や銀河までクリアに撮るのは簡単なことではありません。なぜかというと、スマートフォンのカメラはイメージセンサー(受光素子)が小さいからで、暗い夜空を撮影すると、どうしても高感度ノイズや長時間露光ノイズで画面がざらつき、ピントや発色も悪くなってしまいがちです。

これはスマートフォンだけの問題ではなく、コンパクトカメラでも同じです。星や銀河をきれいに撮影するためにはカメラマンのテクニックも必要ですが、そのテクニックを最大限に生かせる高性能のカメラも必要です。

具体的には、APSサイズ以上の大型イメージセンサーを搭載した、高感度撮影と長時間露光に強いカメラが不可欠です。手ぶれ補正はそれほど重要ではありません。星の撮影ではカメラが動かないように三脚を使うことが多く、手ぶれ補正はむしろOFFにするように推奨されています。

シャッターも8000分の1秒といった高速よりも、長時間のバルブ撮影ができるほうが有利です。さらに撮影画像をRAWデータで保存できること、露出やピント合わせをマニュアルで調整できること、レンズ交換式であることも重要です。

また、カメラのシャッターボタンを指で直接押すと振動でブレてしまうので、遠隔操作でシャッターを押すことができるリモートコードやケーブルレリーズ、あるいはリモコンなどに対応していれば理想的です。

これらの機能はAPSサイズ以上のイメージセンサーを搭載したカメラであれば、ほとんどに搭載されていますが、機種によっては夜間に暗がりでマニュアル撮影をするときなどに、操作性が良くないものもあります。

カメラを選ぶときには、暗闇で操作できるかどうかも確かめましょう。レンズはズームレンズでも問題はありませんが、星の撮影では、画面の周辺部まで高い解像度が求められることや、ゴーストやフレアの少ないレンズが望ましいことを考えあわせると、ズームよりも単焦点の大口径レンズが有利と言えます。

星の撮影にはCanonが人気

星の撮影では、伝統的にCanon製のデジタル一眼レフに定評があります。

理由はいくつかあって、まずCanonが自社製造しているCMOSセンサーは長時間露光時のノイズが少なく、ノイズリダクション処理の精度も高かったこと、メーカーが天文写真用に改造を請け負ってくれたこと、レンズマウントの口径が大きいため、画像の周辺が暗くなる口径食が少ないこと、長時間露光でセンサーの発熱に起因するトラブルがなかったことなどがあります。

また、Canonはかつて世界初の天体撮影専用デジタル一眼レフカメラを発売したことがあり、サードパーティがCanon用に開発した天文撮影専用パーツも数多く流通していることも、天文ファンにCanonユーザーが多い理由といえるでしょう。

さすがに現在では他メーカーのカメラも性能が向上して、Canonのカメラと比べても遜色ないレベルにありますが、それでも長年にわたって天文ファンに培われてきたCanon製カメラの撮影ノウハウや、豊富な情報を共有できることは、他メーカーには追随できないCanonだけのメリットと言えます。

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キャノンで星の撮影におすすめのカメラ

Canon EOS6D MarkII

EOS6D MarkIIはCanonのフルサイズ一眼レフのエントリーモデルです。3.0型バリアングル液晶モニターはタッチ操作に対応し、約2620万画素のデュアルピクセルCMOS AFにより、ライブビュー撮影でも迅速なピント合わせができます。

また高感度に強く、常用感度が最高40000に達するなど、天体撮影にはうってつけのカメラといえます。

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Nikonには天体撮影用カメラがある

Canonは2005年にAPS-Cサイズの天体写真専用デジタル一眼レフカメラ「EOS 20Da」の販売を開始しましたが、現在は生産を終了しています。一方、Nikonは2015年から天体撮影専用のデジタル一眼レフカメラ「D810A」を発売しています。

D810Aは赤外線カットフィルターの特性を天文撮影用にチューニングして、Hα光の透過率を高めたほか、長時間露光に対応するためにマニュアルモードを強化しています。この長時間モードの設定秒時は、実際の制御秒時に合致しますので、コンポジットソフトウエアによる比較明合成の総露出時間が計算しやすくなります。

また光学ファインダーとライブビューも天体撮影向けに改良しており、ライブビュー画面では倍率を約23倍まで拡大することができるほか、長時間露光では、ライブビューの明るさもシャッタースピードに対応してアップすることができます。

カメラの基本的な仕様はD810と同様で、光学ローパスフィルターレスの約3,635万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載しています。画像処理エンジンはEXPEED4。RAW記録は14ビットに対応しています。

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ミラーレス一眼でも星の撮影はできる

カメラ女子に人気が高いミラーレスカメラでも、撮像素子の大きな高級機なら、一眼レフに負けない写真を撮影することができます。むしろミラーレスカメラのほうがシャッターのブレが少ないことや、一眼レフよりもライブビュー撮影がしやすいメリットもあります。ここでは星の撮影にうってつけのミラーレスカメラを紹介します。

FUJIFILM ミラーレス一眼 X-T2

富士フイルムの「X-T2」は見た目こそペンタプリズムつきの一眼レフにそっくりですが、構造はレンズ交換可能なミラーレスカメラです。イメージセンサーはAPS-Cサイズ相当の有効2,430万画素です。

常用感度はISO200〜12800と高感度に強く、バッテリーも強力で、別売りのブースターグリップを装着すると、連続撮影可能枚数は約1,000枚に達します。さらに防塵・防滴用のシーリングも施されるなど、屋外での長時間撮影にも対応できるカメラです。

EVFは0.48型の有機ELで画素数は約236万ドットします。ファインダー倍率は35mm判換算で0.77倍と高く、3.0型液晶モニターは縦位置でも横位置でも上下チルト可能な3方向チルト式ですので、縦位置での天体撮影も苦になりません。像面位相差AFは点光源やローコントラストな被写体に強く、-3EVの低照度でも正確なピント合わせが可能です。

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Canon EOS M6

Canon M6はクラシックなレンジファインダータイプのボディに約2420万画素のAPS-C CMOSセンサーと、最新の映像エンジンを搭載したハイクラスのミラーレスカメラです。

常用感度はISO100~25600と高感度撮影に強く、ピント合わせもデュアルピクセルCMOSにより、一眼レフに匹敵する速度と精度を達成しています。連続撮影速度も秒約9コマと高級一眼レフカメラなみです。カラーはシルバーとブラックの2色展開しています。EVFは取り外し可能な別体型です。

星を撮影したカメラについてのまとめ

  • 近年では、スマートフォンの内蔵カメラが大きく進歩しているが、それでも星の撮影はむずかしい。
  • 星座や銀河の撮影には、イメージセンサーが大型で、高感度撮影や長時間露光に強いカメラが必要になる。
  • 天文撮影はCanonのカメラに定評がある。Nikonも天文撮影専用カメラを販売しているが、Canonには一日の長がある。
  • ミラーレスカメラでもイメージセンサーが大きい高級機であれば、星の撮影で一眼レフをしのぐメリットがある。