一眼レフカメラの大きな魅力のひとつが交換レンズです。被写体や状況に合わせてレンズを変えられ、よりインパクトのある写真撮影が可能です。
しかし、交換レンズにはさまざまな種類があり、初心者はどのレンズを使ったら良いか迷ってしまう人も少なくありません。
まずは、レンズの特徴を知ることが大切です。ここでは、カメラレンズの特徴について説明します。
目次
カメラのレンズの特徴を知ろう
交換レンズで真っ先に思い浮かべるのが、「望遠ズームレンズ」です。長くて大きなズームレンズで撮影する姿は、まさにプロのカメラマンのイメージがあります。
カメラレンズは大きく、ズームができるレンズとズームのできないレンズ(単焦点レンズ)とに分けられますが、ズームに関係なく共通して存在するのが「広角」「標準」「望遠」の3タイプのレンズです。
レンズを使い分ける上で、この3つのレンズの特徴を知ることが大切です。
カメラの焦点距離とレンズの関係
「広角」「標準」「望遠」の違いは、「焦点距離」です。
焦点距離とは、ピントを合わせた時のレンズと光を電気信号に変える画像センサー(撮像素子)までの距離のことです。レンズには、必ずこの焦点距離が表示されています。
広角レンズは、10~35mmぐらい、標準レンズが50mm前後、望遠レンズが75~300mmぐらいになっています。この焦点距離の違いによって画角が変化します。
カメラの画角と広角レンズの関係
画角がもっとも広くなるのが広角レンズです。見た目よりも広い範囲での撮影が可能です。
広大な自然を表現するには最適です。
建物の前で人物を撮影する場合、通常のレンズでは建物が見切れてしまう場合があります。
このような場合、広角レンズを使えば、背景が広くなり被写体と建物が入った写真撮影が可能です。
また、狭い室内で集合写真などを撮る場合も、広角レンズなら広範囲で撮影できるので効果的です。
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カメラの持ち運びやすさには標準レンズがよい
人間の見た目にもっとも近い画角と言われているのが標準レンズです。
重さも軽いので常に持ち歩くカメラには標準レンズをつけておくのが一般的です。
見た目に近いレンズなので、日常的なスナップ写真や料理や雑貨などの撮影にもオススメです。
また、背景のボケは焦点距離が長くなるほど大きくなる特徴があります。広角レンズでは難しいボケも標準レンズなら可能です。
遠く離れたものの撮影には望遠レンズがよい
望遠レンズの特徴は、遠く離れたものでもグッと寄って大きく撮影できることです。木に止まっている鳥などの撮影には欠かせないレンズです。
望遠レンズは、画角が狭くなるので人物を撮影すると背景の写る範囲が狭くなり、背景が被写体に近づいた「圧縮感」のある写真になります。
さらに望遠レンズは、焦点距離が長いのでボケ感のある写真撮影が可能です。
被写体と背景が離れていればいるほどボケの深い背景になり、幻想的な仕上がりの写真になります。
目的に合わせてズームレンズを使い分ける
「広角レンズ」「標準レンズ」「望遠レンズ」の違いが分かれば、ズームレンズの選び方も簡単です。
標準ズームレンズのメリット
一眼レフカメラを購入する時に付いてくるのが、標準ズームレンズです。見た目に近い画角で撮影できるので初心者でも違和感無く撮影できるのが大きなメリットです。
ただし、見た目に近い分「面白みのない」写真になりがちなので、構図などの工夫が必要です。
また、標準レンズを使い場合は、望遠側にしておくと画面の歪みがなく撮影できます。
広角ズームレンズのメリット
狭い室内や風景などの撮影には広角ズームレンズがオススメです。
手前の被写体が大きく背景が小さくなるので、背景との距離感や遠近感を表現するには最適のズームレンズです。
広角ズームレンズは、範囲が広く撮影できる分「広いだけの写真」になる場合もあるので、レンズの特徴を考えて撮影することが大切です。
お祭りなど多くの人々が集まっている情景など撮影には効果的です。
望遠ズームレンズのメリット
遠くの被写体を撮るのに効果的なのが望遠ズームレンズです。
運動会や発表会で子どものアップを撮影したり、動物や鳥などの撮影には欠かせないレンズと言えるでしょう。
圧縮感のある写真が撮影できますが、焦点距離が長くなる分「手ブレ」がおこりやすくなります。しっかりとカメラを固定することが大切です。
また、望遠レンズの特徴でもある「ボケ感」のある写真が撮れるのも望遠ズームレンズの魅力のひとつです。
より撮影が楽しくなる単焦点レンズ
レンズにはズームができるズームレンズとズームができない「単焦点レンズ」があります。
しかし、スマホのカメラでもズームはできます。カメラ撮影にとってズームはごく当たり前の機能で、ズームのできないカメラなんて考えられないでしょう。
そもそもズームができないレンズにメリットはあるのでしょうか。
カメラの単焦点レンズは明るい
カメラのレンズには、「F16」「F8」「F4」「F2」などのように絞りの数値が決められています。
絞りはレンズを通る光の量で、絞りの数値が小さいほど、多くの光を取り込むことができます。
単焦点レンズは、ズームレンズよりF値が小さくなっています。多くの光が取り込める「明るいレンズ」です。
この「明るい」ことが単焦点レンズならではのメリットを与えてくれます。
カメラの絞りと被写界深度
撮影でよく使われる言葉に「被写界深度」があります。
被写界深度とは、カメラのピントが合う範囲です。ピントが合う範囲が広ければ背景もはっきり写り、範囲が狭ければ背景はボケるようになります。
絞りの値が小さいほど、被写界深度が狭くなります。つまり、単焦点レンズは、背景のボケた写真を撮るには最適なレンズです。
暗い場所や動きのある被写体に
単焦点レンズのメリットは「ボケ」だけではありません。明るいレンズなので暗い場所でもISO感度を上げなくてもキレイな写真が撮影できます。
また、レンズが光の量を多く取り込めば、光を取り込む時間(シャッタースピード)が短くすみます。
つまり、シャッタースピードが速くなるので、動きのある被写体でもブレることなくクリアに撮影できます。
単焦点レンズならではの楽しさがカメラある
単焦点レンズは焦点がひとつしかないので、その世界の中に集中できます。
レンズの周りの歪みが少なくキレイで繊細な写真に仕上げることが可能です。まさにこだわりのある写真撮影が楽しめます。
また、単焦点レンズはズームがなので被写体との距離は、自分が動いて調整するしかありません。
つまり、被写体を観察して撮影の仕方を考えなければなりません。しかし、これこそが撮影の醍醐味です。
特殊なレンズで表現の幅を広げよう
写真の面白さは、特殊なレンズを使うことで普通の目線では表現できない世界を撮影できることです。
その代表的なのが「マクロレンズ」と「魚眼レンズ」です。
マクロレンズで表現の幅を広がる
花の中の虫や葉っぱの水滴、人形やおもちゃなど小さな被写体にグッと寄って撮影したい時、通常のレンズでは焦点が合わずにボケてしまいます。
結局は焦点が合うサイズまで引いて撮影しなければなりませんが、インパクトのない写真になってしまいます。
マクロレンズなら、小さな世界でもピントが合わせることが可能です。トンボの眼や水滴のアップなど迫力のある写真が撮影できます。
魚眼レンズで表現の幅が広がる
魚が水中から見たような世界が表現できることから名付けられたのが「魚眼レンズ」です。
約180度の範囲で撮影が可能です。上下左右180度写る「円周魚眼」と対角線上に180度写る「対角線魚眼」の2つのタイプがあります。
魚眼レンズを使うと中心から離れるほど画面が歪んでいきます。空や風景なども不思議な空間が表現できます。
選ぶと楽しさはアップします。
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カメラのレンズの種類についてのまとめ
- 交換レンズがあれば、一眼レフカメラの世界がより広がります。そのためにもレンズの特徴を理解しましょう。
- レンズには、「広角」「標準」「望遠」の3つのタイプがあり、それぞれ背景の写る範囲が異なります。広角レンズは、狭い室内を広く撮影したり広大な自然を表現するのに、望遠レンズは離れた被写体や背景をぼかすのに効果的です。標準レンズは、より人の目に近い感覚の写真になります。
- また、それぞれ「ズームレンズ」や「単焦点レンズ」があります。
単焦点レンズは、「明るいレンズ」でよりクリアな仕上がりの写真撮影が可能です。
さらに、マクロレンズや魚眼レンズを使えば、多彩な表現ができます。