花や昆虫など小さくて幻想的な写真に感動したことはありませんか?

単純に接写すれば撮れるような気がしますが、実際に撮影しようとするとカメラが寄り切れなかったり、ピントが合わなかったりして、思うような仕上がりの写真にはなりません。

このような接写の世界を撮影するために不可欠なのが、「マクロレンズ」です。マクロレンズがあれば、幻想的でアーティステックな表現が可能になります。

ここでは、マクロレンズの特徴や選び方についてご紹介します。

そもそもマクロレンズとはなにか?

マクロレンズは、接写撮影用に開発されたレンズで近距離撮影において最高の画質が得られるように設計されています。

「マクロレンズ」という呼び名が一般的ですが、ニコンでは「マイクロレンズ」と呼んでいます。

花や昆虫、小物や料理などクローズアップの世界を表現するには最適のレンズです。

マクロレンズ2つの特徴

マクロレンズの主な特徴は、「撮影倍率」と「最短撮影距離」です。

マクロレンズの撮影倍率とは

実際の被写体とカメラの撮像素子(画像センサー)に写る大きさの比率が「撮影倍率」です。

例えば、5cmの被写体が撮像素子に1cmに写るとしたら、撮影倍率は1/5倍になります。

この撮影倍率が大きいほど接写能力が高くなります。

標準のズームレンズの撮影倍率は最大でも0.25倍(1/4倍)ぐらいですが、マクロレンズは0.5倍から1倍になっています。

撮影倍率は撮像素子の大きさにも比例するので、顕微鏡のような世界が撮影できる小さな撮像素子が搭載されたカメラも登場しています。

マクロレンズの最短撮影距離とは

カメラが被写体にどこまで近づいてピントが合わせられるのかを数値化したのが「最短撮影距離」です。

最短撮影距離はカメラ本体に表示されている「距離目盛」と被写体との距離です。一般的な標準ズームレンズでは最短撮影距離は、0.38mぐらいです。

つまり、カメラ本体が、38cm以内に被写体に近づくとピントが合いません。さらに、望遠ズームレンズでは、1.2mぐらいが最短撮影距離になります。

一方、マクロレンズの最短撮影距離は0.3~0.2mぐらいになっています。一般的なレンズよりも被写体により近づくことが可能です。

マクロレンズは単焦点レンズ

最近のズームレンズにはマクロ機能が付いたものもありますが、これは正式にはマクロレンズではありません。マクロレンズはズームレンズでなく「単焦点レンズ」です。

単焦点レンズとは、焦点が合う距離が固定されたレンズです。「明るいレンズ」とも呼ばれ、暗い場所でもクリアに撮影でき、よりボケのある写真が撮れます。

さらに、ズームレンズよりも画面の歪みなどが少なくより高画質な写真に仕上がります。

アーティスティックな接写の世界を表現したいのなら、マクロレンズを活用しましょう。

焦点距離とワーキングディスタンス

マクロレンズを選ぶ際にポイントとなるのが「焦点距離」です。

焦点距離とは、カメラレンズの中心から撮像素子までの距離で、焦点距離が大きいほど遠くのものを写すことが可能です。

焦点距離と密接な関係にあるのが、「ワーキングディスタンス」です。ワーキングディスタンスとは、カメラのレンズと被写体の距離です。

焦点距離が短いとワーキングディスタンスも短く、焦点距離が長いとワーキングディスタンスも長くなります。

例えば、柵などがあって被写体にグッと近づけない場合には、焦点距離の長いレンズがベストです。

このように、接写撮影にも焦点レンズが異なるレンズが必要になります。そのため、マクロレンズには、「標準」「中望遠」「望遠」の3つの焦点距離に合わせたレンズがあります。

被写体に合わせてマクロレンズを使う

接写撮影でも、被写体や撮影状況に応じてマクロレンズを使い分けることも必要です。そのためには、「標準マクロレンズ」「中望遠マクロレンズ」「望遠マクロレンズ」の特徴を理解しましょう。

標準マクロレンズは小物の撮影によい

焦点距離が50mm前後のマイクロレンズで、テーブルの小物などの撮影に向いています。

最短撮影距離を気にせずに、ほとんどレンズの鼻先まで近づくことが可能です。また、レンズ自体もコンパクトなので持ち運びには便利です。

中望遠マクロレンズはクローズアップする撮影によい

焦点距離が90~100mm前後で、花などのクローズアップ撮影に向いているマクロレンズです。

ワーキングディスタンスにも余裕があるので、さまざまな花の表情が撮影できます。また、ボケもキレイにでるのが中望遠マクロレンズの特徴です。

一眼レフ初心者にはオススメのマクロレンズと言われています。

望遠マクロレンズは遠い被写体の撮影によい

焦点距離が200mm前後ともっとも長いのが望遠マクロレンズです。被写体に近づけない場合の撮影には効果的です。

また、被写体とレンズの間に花や葉などを入れて手前がボケた写真を撮ることも可能です。但し、レンズが長い分ブレやすくなるので三脚を使ってしっかりと固定する必要があります。

初心者には扱いが難しいレンズかもしれません。

マクロレンズ撮影の注意点

初めてマクロレンズを使う場合、使い方に不安があるかもしれません。マクロレンズを使う場合には、以下の3つの点に注意しましょう。

三脚で固定する事に注意

マクロレンズでもっとも重要なのがピントです。

手ブレなどでピントがずれてはマクロレンズの効果が発揮できません。しっかりと三脚でカメラを固定することが大切です。

マニュアルでフォーカスを合わせる事に注意

マクロレンズでピント合わせる場合、ピントが合う範囲が非常に狭いのでオートフォーカスでは迷ったりピントがずれたりすることがあります。

確実にピントを合わせるために、オートフォーカス(AF)からマニュアル(MF)に切り替えましょう。手動で回しながらしっかりとピントを合わせることが大切です。

絞りを開放にする事に注意

マクロレンズならではの「ボケ感」を出すためには、絞りを開放にするとボケが最大限になります。

撮影モードを絞り優先(AもしくはAV)にして、絞りの値をもっとも明るい数値(開放)に設定して下さい。マクロレンズの場合、F2.8が開放値になっています。

マクロレンズの魅力は接写だけではない

マクロレンズ=接写というイメージがありますが、これは大きな誤解です。マクロレンズは単焦点レンズですから風景や人物の撮影にも使用できます。

ピント面がシャープに撮影できるのが魅力

マクロレンズはピント面がシャープに再現できるので、望遠のマクロレンズを使えば手前がボケて「圧縮感」のある写真が撮影できます。

花や緑の中を伸びる線路と近づく電車、ボケた花や緑の中でクリアな電車というステキな仕上がりの写真が撮影できます。

肌の質感をよりキレイにできるのが魅力

マクロレンズは、標準レンズよりも解像度が高いので肌の質感がより美しく再現されます。女性を撮影する時には、マクロレンズを使用するプロカメラマンも少なくありません。

マクロレンズについてのまとめ

  • マクロレンズは、一眼レフ初心者でもプロのような写真が撮れる魅力的な交換レンズです。
  • 接写能力の高い「撮影倍率」とより被写体に近づいて撮影できる「最短撮影距離」を理解して、マクロレンズを選ぶことが大切です。
  • マクロレンズには、小物撮影に向いた「標準マクロレンズ」、花のクローズアップに最適な「中望遠マクロレンズ」、前ボケなどの表現ができる「望遠マクロレンズ」があります。
  • 初心者には、中望遠マクロレンズがオススメです。但し、マクロレンズは「手ブレ」をおこしやすので、三脚でしっかりと固定するようにしましょう。さらに絞りを開放にすると「ボケ感」のある仕上がりになります。
  • また、マクロレンズはクリアな画像が得られる「単焦点レンズ」なので、接写だけでなく風景や人物の撮影にも独特な世界が作れます。