腕時計を長く使っていると、修理が必要になる機会がたびたび訪れます。機械式時計の誤差が大きくなった場合などはプロによる修理が必要となりますが、クオーツ時計の電池交換やベルト交換などは、その気になれば自分で行うことも可能です。

ここでは、腕時計のメンテナンスに必要な工具や、修理に関しての注意点について紹介します。

目次

腕時計用の工具を揃える

必要な工具さえあれば、腕時計の簡単なメンテナンスぐらいであれば自分で行うことができるでしょう。

例えばクオーツ時計の電池交換であれば、ドライバーやオープナーなどの工具を用いて裏蓋を開き、ピンセットなどで電池の交換を行います。

腕時計のベルト交換には、「バネ棒外し」という工具が必要です。I型やY型の先端部分を使用して、時計のラグに取り付けられた棒を外し、ベルトを交換します。

ステンレスベルトのサイズ調整の場合は、ブレスレットの種類にもよりますが、ピン外しやプラハンマーなどを用いてコマを調整します。

腕時計は汚れを放置すると錆びなどの劣化を招くため、使用後は柔らかい布で軽く拭くのが鉄則ですが、定期的にバネ棒外しでベルトを外して細部までクリーニングするのが理想です。ミニブラシなどを使い、普段は届かない細部まで掃除することで長く綺麗な状態を保てます。

また、ベルト交換などを行うときは、「バンドホルダー」で腕時計を固定することで安全に作業を進めることができます。

腕時計のサイズ調整については以下の記事も参考にしてみてください。
腕時計のサイズ調整方法とは 自分でサイズ調整はできるのかを解説
腕時計のバンド調整を自分で行う方法と 必要な道具の解説

セットで売られている工具は13~16点セット

腕時計の工具は、セットで購入すればある程度必要なものが一度に揃います。ただしその種類はさまざまで、ひと口にセットと言っても必要最小限の6点セットや、本格仕様の13〜16点セットなどがあります。

セット品に含まれる主な工具としては、ベルト固定台や時計固定器、裏蓋のこじあけ工具やバンドピン抜き棒、スプリングバーツール、時計ケース開け用ナイフなどがあります。

また、腕時計以外の日曜大工にも使える精密ドライバーやピンセット、小型ハンマーなどの工具が含まれているセットも販売されています。

価格もピンキリで、1000円以下で買えるものもあれば5000円以上するものもあり、値段の差がとても大きいです。もちろん安い工具は耐久性が弱くすぐに破損してしまうリスクはありますが、だからと言って高級な工具を買ったとしても使用する機会が少なければ宝の持ち腐れとなってしまいます。

自分が行うであろう時計メンテナンスの用途に応じて、最適な工具を選ぶようにしましょう。

ダイソーでも電池交換用の工具が売っている

クオーツ時計の電池交換の工具は、100円ショップのダイソーでも売られています。販売価格は400円ほどで、裏蓋を開けるための工具やルーペのセットとなっています。

腕時計の裏蓋にはいくつかの形状がありますが、ダイソーの工具では「ネジ式フタ」か「はめ込み式フタ」を開けることが可能です。ネジ式フタの場合は、ツマミを回して幅を調整し、工具の先端を裏蓋の溝にはめて左方向へ回せば開きます。

はめ込み式の場合は、ヘラ状の工具を隙間に差し込んでテコの原理でこじ開けましょう。

ルーペを使ってボタン電池に記載された型番を確認し、適合する電池に交換すれば完了です。ただし、ボタン電池交換時に必要となる「ピンセット」は別途用意する必要があります。

また、ダイソーでは腕時計のベルトを調整するための工具も販売されています。
ダイソーベルトの腕時計本体や交換用のベルト 調整用の工具のキット解説

時計修理技能士資格があるほど難しい

腕時計は複数のパーツによって組み立てられている精密機械。非常にデリケートな扱いが求められる製品です。

そもそも時計修理の世界には「時計修理技能士資格」という国家資格が存在するほど難しいもの。本来は、素人が不用意に行うべきものではありません。

もちろん、工具と必要最低限の知識であれば、クオーツ時計の電池交換やベルト交換などは素人でも行うことは可能です。ただし、ほんの少しピンセットやバネ棒外しを持つ手が狂うだけで、時計を傷つけてしまうリスクは常にあります。

また、機械式時計になるとクオーツ時計よりも遥かにデリケートになるため、内部清掃のために素人が裏蓋を開けるのは避けるべきでしょう。

メーカーの正規修理が受けられなくなる可能性があるのも、腕時計を自分で修理することのデメリットです。

どれだけ慎重に扱ったとしても、素人が裏蓋を開けると小さな痕跡は残ります。メーカーがこれらの痕跡を見逃すことはほとんど、考えられないでしょう。

自分で修理してムーブメントなどを傷つけて動作に支障が出た場合、メーカーの保証対象外となることもあります。また、機械式時計のオーバーホール(定期メンテナンス)も正規で受けられない可能性もあるので、高級時計を自分でいじるのは控えましょう。

お店に頼んだ時の価格目安

手先が不器用な人や工作が苦手な人は、無理して自分でメンテナンスを行う必要はありません。購入した時計メーカーや、専門店などに修理を依頼するようにしましょう。

特殊な形状のものでなければ、ベルト交換などの作業は1000円〜2000円ほどが相場です。交換するベルトを自分で持ち込むのであれば、お店にもよりますが500円前後で行なってもらえます。

メタルバンドのサイズ調整の場合は、1500円ほどの価格で対応してもらえます。腕時計を購入したお店に持ち込む場合は無料で行なってもらえることも多いです。

電池交換の場合も、街の時計店であれば1000~1500円ほど。混雑具合によって待ち時間はあるものの、作業自体はすぐに終わるのでその場で持ち帰ることが可能です。

電池交換が必要になるのは大抵の場合2〜3年に1回程度。自分で行う手間や工具を揃える代金を考えると、腕時計を複数所有している人でもない限りはお店に依頼してしまったほうが手軽です。

腕時計のバンドの交換の相場 自分で行う方法と交換する際の注意点

腕時計用の工具についてのまとめ

  • 不具合をケアしながら使い続けるからこそ、腕時計に愛着が沸くというもの。簡単にできそうなメンテナンスであれば、工具を揃えて自分で行なってしまうのも一興です。
  • 必要な工具は1000円〜3000円程度のセットで揃えることが可能です。
  • ただし、電池交換やベルト交換など初心者向けの作業であっても細心の注意を払うのが大切です。腕時計はあくまで精密機械なので、手先の器用さに自信がない人は、お店に依頼するようにしましょう。