こちらの記事は2018年4月10日の記事を2020年4月15日に加筆修正いたしました。
加筆修正箇所
・メーカー別でおすすめのマクロレンズを追記いたしました。
この記事では、マクロレンズの特徴や種類、選び方を解説します。
花や昆虫などの小さなモチーフを撮影する場合、単純に接写すれば撮れると思われがちですが、実際に撮影しようとするとカメラが寄り切れなかったり、ピントが合わなかったりして、思うような仕上がりの写真にはなりません。
このような接写の世界を撮影するために不可欠なのがマクロレンズです。
マクロレンズがあれば、小さな物でも美しく撮影することができます。
この記事を読むことで、自分に合ったマクロレンズ購入の検討ができます。
目次
そもそもマクロレンズとはなにか?
マクロレンズは接写撮影用に開発されたレンズで、近距離撮影において最高の画質が得られるように設計されています。
「マクロレンズ」という呼び名が一般的ですが、ニコンでは「マイクロレンズ」という名で呼ばれています。
花や昆虫、小物や料理などをクローズアップして撮影する場合におすすめです。
マクロレンズの特徴
撮影倍率が大きい
マクロレンズの最大の特徴は、撮影倍率が大きい事です。
実際の被写体とカメラの撮像素子(光景を読み取るセンサー)に写る大きさの比率が「撮影倍率」です。
例えば、5cmの被写体が撮像素子に1cmに写るとしたら、撮影倍率は1/5倍になります。
撮影倍率が大きいほど接写能力が高い事を表しています。
標準のズームレンズの撮影倍率は、最大でも0.25倍(1/4倍)ほどですが、マクロレンズは0.5倍から1倍です。
中には、顕微鏡のようにミクロの世界を撮影できる撮像素子が搭載されたカメラも存在しています。
最短撮影距離が短い
カメラが被写体にどこまで近づいてピントが合わせられるのかを数値化したのが「最短撮影距離」です。
最短撮影距離は、カメラ本体に表示されている「距離目盛」と被写体との距離を表しています。
最短撮影距離が0.38mの一般的な標準ズームレンズの場合、カメラ本体が、38cm以内に被写体に近づくとピントが合いません。
望遠ズームレンズでは、1.2mほどが最短撮影距離です。
マクロレンズの最短撮影距離は0.3~0.2mであるため、一般的なレンズよりも被写体により近づくことが可能です。
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マクロレンズは単焦点レンズ
最近のズームレンズにはマクロ機能が付いたものもありますが、多くの場合、正式なマクロレンズではありません。
マクロレンズはズームレンズでなく、焦点が合う距離が固定された「単焦点レンズ」です。
「明るいレンズ」とも呼ばれ、暗い場所でもクリアに撮影でき、よりボケ感のある写真を撮れるのが単焦点レンズの特徴です。
ズームレンズよりも画面の歪みなどが少なく、より高画質な写真に仕上げることが出来るのも特徴でしょう。
アーティスティックな接写の世界を表現したい場合は、単焦点レンズのマクロレンズを活用するのがポイントです。
焦点距離とワーキングディスタンス
マクロレンズを選ぶ際のポイントが「焦点距離」です。
焦点距離とは、カメラレンズの中心から撮像素子までの距離で、焦点距離が大きいほど遠くのものを写すことが可能です。
焦点距離と密接な関係にあるのが「ワーキングディスタンス」です。
ワーキングディスタンスとは、レンズの先端から被写体までの距離をさします。
焦点距離が短いとワーキングディスタンスも短く、焦点距離が長いとワーキングディスタンスも長くなります。
例として、柵などがあって被写体に近づけない場合には、焦点距離の長いレンズが便利です。
被写体に合わせたマクロレンズの種類
接写撮影では、被写体や撮影状況に応じてマクロレンズの種類を使い分けることも必要です。
以下では、「標準マクロレンズ」「中望遠マクロレンズ」「望遠マクロレンズ」の特徴を解説します。
標準マクロレンズは小物の撮影によい
焦点距離が50mm前後である標準マクロレンズは、テーブルの小物などの撮影に向いています。
最短撮影距離を気にせずに、ほとんどレンズの鼻先まで近づくことが可能です。
レンズ自体もコンパクトであるため、軽く持ち運びに便利なモデルが一般的です。
中望遠マクロレンズはクローズアップする撮影によい
中望遠マクロレンズは、焦点距離が90~100mm前後で、花などのクローズアップ撮影に向いているレンズです。
ワーキングディスタンスにも余裕があるため、さまざまな花の表情が撮影できます。
ボケもキレイに出せるのが中望遠マクロレンズの特徴です。
3つの中で中間の焦点距離であるため、一眼レフ初心者におすすめのマクロレンズでもあります。
望遠マクロレンズは遠い被写体の撮影によい
焦点距離が200mm前後ともっとも長いのが望遠マクロレンズです。
被写体に近づけない場合の撮影に効果的で、被写体とレンズの間に花や葉などを入れて、手前がボケた写真を撮ることも可能です。
しかし、レンズが長い分ブレやすくなるため、三脚を使ってしっかりと固定する必要があります。
初心者には扱いが難しいレンズであるため注意が必要です。
マクロレンズ撮影の注意点
初めてマクロレンズを使う場合、使い方に不安があるかもしれません。
マクロレンズを使う場合には、以下の3つの点に注意するとよいでしょう。
三脚で固定する事に注意
マクロレンズでもっとも重要なのがピントです。
手ブレなどでピントがずれてはマクロレンズの効果が発揮できません。
しっかりと三脚でカメラを固定することが大切です。
マニュアルでフォーカスを合わせる事に注意
マクロレンズを使う際は、マニュアルでフォーカスを合わせる際に注意が必要です。
マクロレンズでピント合わせる場合、ピントが合う範囲が非常に狭いため、オートフォーカスでは迷ったりピントがずれたりすることがあります。
確実にピントを合わせるために、オートフォーカス(AF)からマニュアル(MF)に切り替えるとよいでしょう。
手動で回しながらしっかりとピントを合わせることが大切です。
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マクロレンズの魅力は接写だけではない
ピント面がシャープに撮影できるのが魅力
マクロレンズはピント面がシャープに再現できるのが魅力です。
望遠のマクロレンズを使えば手前がボケて、圧縮感のある写真を撮影できます。
「ボケた花や緑の中でクリアに映る遠くの電車」などの写真が撮影できます。
肌の質感をよりキレイにできるのが魅力
マクロレンズは、標準レンズよりも解像度が高いため、肌の質感をより精密に再現できるのも魅力です。
女性を撮影する時には、マクロレンズを使用するプロカメラマンも少なくありません。
メーカー別でおすすめのマクロレンズ
Nikon AF-P DX NIKKORは高い携帯性が魅力
Nikon AF-P DX NIKKORは、軽量でコンパクトなデザインにより、高い携帯性を発揮しています。
焦点距離は10-20mmという超広角域の撮影が可能で、空間の奥行きや背景の広がりなど、遠近法を強調した迫力ある写真を撮ることができます。
手ブレ補正機能も付いているため、手軽に本格的なクローズアップ撮影を楽しむことが可能です。
キヤノン CaNn F2.8 L IS USM は強力な手ブレ補正が魅力
キヤノンのこのモデルは、光学ISの制御アルゴリズムの改良と、デュアルセンシングISの採用により、強力な手ブレ補正効果が実現されたマクロレンズです。
暗いシーンでも、シャッタースピードを遅くできるため、手持ち撮影の可能性が広がります。
レンズには特殊コーティングがされており、撮影の際のフレアやゴーストを低減しているのも魅力です。
PENTAX DA35mmF2.8は標準レンズとしても使える
PENTAX DA35mmF2.8は、肉眼に近づけた自然な画角により、標準レンズとしても使えるマクロレンズです。
近距離から無限遠まで高画質な写真を撮影可能で、最大で等倍のクローズアップ撮影を行うことができます。
採用された「円形絞り」も特徴で、街のイルミネーションや、水面の光の反射などの点光源を、優しい円形のボケとして表現できます。
マクロレンズについてのまとめ
- マクロレンズは、一眼レフ初心者でもプロのような写真が撮れる魅力的な交換レンズです。
- 接写能力の高い「撮影倍率」とより被写体に近づいて撮影できる「最短撮影距離」を理解して、マクロレンズを選ぶことが大切です。
- マクロレンズには、小物撮影に向いた「標準マクロレンズ」、花のクローズアップに最適な「中望遠マクロレンズ」、前ボケなどの表現ができる「望遠マクロレンズ」があります。
- 初心者には、中望遠マクロレンズがオススメです。しかし、マクロレンズは「手ブレ」をおこしやすため、三脚でしっかりと固定するのが大切です。
- マクロレンズはクリアな画像が得られる「単焦点レンズ」であるため、接写だけでなく風景や人物の撮影にも独特な世界が作れます。