写真を撮るときに人物や動植物、風景などの被写体を魅力的に見せる画面構成を「構図」といいます。

美しい写真を撮るには、構図に関する知識は欠かせません。そこで今回は「三分割法」という代表的な構図について説明します。

三分割法は基本の構図

良い写真を撮るために最初にマスターしたいのが、三分割法という基本の構図です。

この三分割法は「三分の一の法則」とも呼ばれ、古くからよく知られています。

たとえば葛飾北斎の大波で有名な「神奈川沖浪裏」という浮世絵は、三分割法の教科書のような作品です。北斎は西洋画を研究し、「三ツワリの法」という独自の3分割構図による遠近法を編み出しました。

写真撮影で三分割法を用いるやり方としては、まずカメラのファインダーやモニター画面に、水平と垂直の直線を等間隔で2本ずつ、「井」の字型に描くものと仮定します。

そうすると画面は縦と横にそれぞれ3等分ずつ、全体で9つのエリアに等分されます。三分割法では、この「井」の字型の格子線と4つの交点を目安に、被写体の配置を決めて画面を構成します。

三分割法の構図には、2つの大きなメリットがあります。

1つは、ビルや水平線などの直線的な被写体を格子線に合わせることで、傾きのない安定した写真が撮れること。

もう1つは、人物や動植物などの被写体を、中央ではなく格子線の交点に配置することで、構図のバランスが良くなることです。

では、なぜ主役の被写体が中央にあると、バランスが悪く見えるのでしょうか。

たとえば、写真の中央にまっすぐな地平線や水平線が通るシンメトリーな構図をイメージしてみましょう。

画面の真ん中に地平線か水平線があると、上と下のどちらが主役かわからない散漫な作品になってしまうのです。

そこで地平線や水平線を三分割の格子線に合わせて、一方を広く撮ることで、空か海、または土地の広がりを強調することができるのです。

また、人や動植物なども、画面の中央ではなく「井」の字の4つの交点を目安に配置すると、無駄な空間のない引きしまった写真になります。

三分割法に用いる画面の格子線を、カメラ用語で「グリッドライン」といいます。

デジタルカメラやスマホの多くは、ファインダーやカメラアプリのモニター画面に、グリッドラインを表示する機能があります。

たとえばiPhoneでは、「写真とカメラ」の「グリッド」をタップしてONにすると、液晶モニターに格子線が表示されます。

また一般的なデジタルカメラでは、カスタムメニューで「ファインダー内格子線表示」「グリッドライン」「ファインダー#(格子線のマーク)」など項目を「ON」にすると表示されます。

一眼レフの高級機では、光学ファインダーでもグリッド表示が可能です。できない機種はファインダー内に配置されたオートフォーカス(AF)ポイントのマークを目印にすると良いでしょう。

三分割ではピントに注意する

三分割法では、ピント合わせに注意する必要があります。

最近のカメラは性能が良く、人物撮影に便利な顔認識機能や、マルチAFポイントによって、カメラまかせでも、ほとんどの状況でピントが合うようになっています。

それでもカメラのAF機能は画面の中央を重視するため、三分割法では主役の被写体にピントが合わないことがあるのです。そんなときはカメラのAF機能を活用して、ねらった被写体にピントが合うように調整しましょう。

タッチシャッターを備えたカメラやスマホなら、カメラのモニター画面の好きな位置を指先でタッチすれば、自動的にピントが合って撮影します。

タッチシャッターがないカメラでも、マルチセレクターで好きなAFポイントを選択したり、AFフレームの位置を変えたりすることができます。

もっとも、AFのポイントをあまり変えない人は、いざやろうとしたら操作法を思い出せない、ということもありえます。

そんなときはフォーカスロックを使いましょう。やり方はとても簡単です。

まずカメラのAF設定を「シングル」あるいは「ワンショット」モードに変更して、フォーカスロック撮影を有効にします。つぎに、ピントを合わせたい被写体を画面中央のAFフレームに合わせます。

そしてシャッターボタンを半分ほど押すのです。そうするとAFが作動してピントは合いますが、シャッターはまだ切られません。

AFカメラはシャッターボタンが二段式になっていて、最初の一段でフォーカス機能が働いてピントを合わせ、もう一段押すことでシャッターが切れ、撮影する仕組みになっています。

そこでシャッターボタンを一段目まで半押しすることで、被写体にピントを合わせたまま、シャッターを切らずに待機することができるのです。

フォーカスロックでは、シャッターボタンから指を離さないかぎり、構図を変えてもピントは変わりません。構図が決まったらシャッターボタンをもう一段押して撮影します。

フォーカスロックは簡単で便利な機能ですが、注意すべき点が2つあります。1つはシャッターボタンを半押しするとピントだけでなく、露出(明るさの設定)も固定されることです。したがって逆光や夜景のように、構図によって明るさが大きく変わる場合には、露出の調整が必要です。

2つめはフォーカスをロックしたままカメラを前後に動かすと、ピントが外れてしまうことです。その2点に気をつけて撮影しましょう。

三分割法についてのまとめ

  • 三分割法は写真の基本的な構図のひとつ。
  • 三分割法では、画面を「井」の字型の格子線で9つに等分し、被写体を配置する目安にする。
  • 三分割法によって被写体を中央から少し外すと、主題のはっきりした写真になる。
  • スマホやカメラのAF機能は画面中央を重視するので、三分割法では被写体にピントが合わないことがある。
  • 三分割法でピンぼけを防ぐには、フォーカスロック機能を活用すると良い。
  • フォーカスロックを利用するときには露出に注意し、カメラを前後に動かさないように心がける。