こちらの記事は2021年1月24日に加筆修正いたしました。
加筆修正箇所
・接着する素材で種類を使い分ける
・革を接着する時の注意点
・革におすすめの接着剤を紹介
この記事では、革と接着する素材ごとに適切な接着剤や、接着時の注意点を解説します。
革製品の補修やレザークラフトをする時は、接着剤を使用します。しかし、どのような接着剤を使えばよいのかわからない人は少なくありません。
使用している接着剤が適していない場合もあるでしょう。
この記事を読むことで、自分に合った最適な接着剤を選ぶことができます。
目次
接着する素材で種類を使い分ける
接着剤には様々な種類があり、革と接着する素材との相性が大切です。
適しているものを使用しないと、すぐに剥がれて接着面が汚くなる場合がある事に注意が必要です。
革と革の接着には柔軟性のある接着剤がよい
革と革の接着には、革の長所であるしなやかさを損なわない接着剤が最適です。柔軟性のない接着剤は、革がしなると接着面が剥がれてしまいます。
瞬間接着剤は強力な接着剤であるため、革の接着に使おうと考える人は少なくありません。
しかし、瞬間接着剤は硬化後に柔軟性がなく、革のしなやかさが損なわれることには不向きである事に注意が必要です。
天然革か合成革かで、使う接着剤が適応するかを注意する必要があります。合成ゴム溶剤系接着剤は、どちらの皮革でも使用できるためおすすめです。
使用時には、日光に当たると黄変してしまう事と、接着剤がはみ出さないように注意が必要です。
革と金属の接着は剥離や反りに注意が必要
革と金属を接着する時は、熱膨張係数の違いによって剥離や反りの問題が発生します。弾性接着剤は、剥離や反りに対応した接着剤であるためおすすめです。
熱膨張係数は温度が上昇する時に、体積や長さが熱膨張する割合を示した数値です。
異なる素材だと熱膨張の割合が違うため、片方が大きくなった事で、ゆがみや反りが発生して接着後に剥離してしまいます。
弾性接着剤は、接着部が乾燥してもゴムのような弾力を持っているため、ゆがんだ部分の力を分散して剥離を防ぐ事ができます。
革とプラスチックの接着は適しているかを確認する
革とプラスチックの接着は、最適な接着剤を一つに限定する事は簡単ではありません。
プラスチックの種類により、適応する接着剤が異なるためです。
プラスチックの種類を把握しておく事で、最適な接着剤も知ることが出来ます。
ポリカーボネートに適応するのは、アクリル接着剤です。ポリエチレンやポリプロピレンには、SBRゴム系接着剤が適応します。
プラスチックの種類により適する接着剤が変わるため、まずは接着するプラスチックの種類を把握する事が重要です。
革を接着する時の注意点
革を接着する時の注意点 |
---|
接着面の汚れやコーティングを落としておく |
無色の接着剤が良い |
ハードよりソフトがおすすめ |
接着面の汚れやコーティングを落としておく
接着剤の効果を最大限に発揮するためには、接着面に付着する汚れを落とす事が大切です。
補修作業と新しい革の接着のどちらも汚れを落とす必要があります。
新しい革は一見汚れが付着してないように見えます。
しかし、新しい革には油脂などのコーティングが付着しているため、接着の効果を低下させる要因になるでしょう。
革の補修の場合は、必ず古い接着剤やゴミが接着面に残っています。
革の接着は、どのような場合でも、汚れを落とす事で接着の効果を高めることが出来ます。
汚れや油脂などのコーティングの落とし方は、粗めの紙やすりで革の表面が出るまで削り取るように行います。
粗々した革の表面で接着すると、接着剤の効きを高めることが出来ます。
無色の接着剤が良い
無色の接着剤は、接着部分が目立たなくなり、きれいに仕上がるためおすすめです。
色が付いているものは、接着の際にはみ出した部分が目立って汚く見えてしまいます。
革の接着剤は無色のものが少なくありません。色付きの接着剤もありますが、乾燥後には無色になるタイプもあります。
わからない場合は、使用前に少量だして確認すると良いでしょう。確認作業時には、接着剤自体の粘度や伸び方、固まり方も確認する事ができます。
ハードよりソフトがおすすめ
革の接着には、ハード系よりもソフト系の接着剤が適しています。
接着するものが異素材でも革同士でも、硬化するタイプの接着剤は不向きです。
硬化するタイプの接着剤は、革以外の素材に影響がなくても、革との接着面でお互いの伸びが違うため、剥離やひび割れが発生してしまいます。
革の長所のしなやかさを損なわい事で、他の素材との伸びの違いに対応できるソフトタイプの接着剤が最適です。
革の接着をはがすのはリスクがある
一度接着した革を剥がす場合は、色落ちや破れ、素材の溶解などのリスクがあります。
接着剤を塗った直後と硬化した後では、剥がし方が違う事に注意が必要です。
革は接着剤の浸透がよく、時間が経つとしっかり接着します。接着して時間が経っている場合、剥がした後はきれいな状態に戻すことは難しいでしょう。
しっかり接着された革を剥がす場合は、道具を使用して剥がしてから、接着面に付いた接着剤を除去する方法が最適です。
薬品や温度変化で剥がすと、革を痛める可能性が高くなります。
カッターなどで接着部分を切り離し、接着面を紙やすりや砂消しゴムを使って接着剤を除去するとよいでしょう。
接着剤が残らないように、きれいに除去する事が大切です。
接着剤を塗った直後で硬化しきっていない状態は、まだ接着剤が柔らかい状態です。
水を含ませた布などでふき取ります。それでも取れない場合は、ベンジンやアセトンなどの薬品を布に含ませて取ると良いでしょう。
革におすすめの接着剤を紹介
コニシ ボンドGクリヤーは透明な品
コニシ ボンドGクリヤーは、接着部が透明なので目立たない、コニシのボンドGクリヤーです。
SBR系(スチレンブタジエンゴム系)の接着剤で、接着後も皮膜は柔軟性を保ち、皮革の風合いをそのまま保つことが出来ます。
皮革や合成ゴム、ウレタンフォームや布、紙など、幅広く柔らかいものの接着に向いています。
速乾性もあり仮止めが不要であるため、効率的な作業が可能です。
耐熱性や耐摩耗性、耐老化性や機械強度に優れていますが、耐寒性や引き裂き強度は他のものに比べて劣る事に注意が必要です。
3M スコッチ 強力接着剤 皮革用は耐久性が高い
3M スコッチ 強力接着剤 皮革用は、皮革、ゴム製品の補修や異素材の接着に適したスコッチの接着剤です。
素材はニトリルゴム系を使用しており、耐水性や耐油性に優れています。
乾燥後は淡褐色になるため、接着剤のはみ出しには注意して使用する必要があります。
乾燥時間は短いですが、強力に接着する事が可能です。革の接着剤に必要な柔軟性は、乾燥後でも十分にあります。
クラフト社 革工具 サイビノール 100番は万能な品
クラフト社 革工具 サイビノール 100番は、万能的に使えるレザークラフトの定番接着剤です。
酢酸ビニル樹脂の水性系接着剤で伸びが良く、乾くと半透明になります。
サイビノールは100番の他に600番があり、600番の方が濃度が高くなります。より強力に接着したい時は600番がおすすめです。
臭いが少ないため、安全に使用する事ができます。
革用の接着剤についてのまとめ
- 革は接着する素材によって、相性の良い接着剤の種類を選ぶことが大切です。適していないものを選ぶと剥離や反りの原因になります。
- 接着する際には、接着面の汚れを落とす事や無色の接着剤を使用する事が大切です。革のしなやかさを損なわないソフトタイプの接着剤がよいでしょう。
- 一度接着した革を剥がす場合は、色落ちや破れ、素材の溶解などのリスクがあります。硬化する前と後では剥がし方は違う事にも注意が必要です。