ロットリングってどんな会社?
ロットリング(Rotring)は、ドイツのハンブルクに本社を置く筆記具メーカーです。
「ロットリング」は、ドイツ語で「赤い輪」を意味し、黒地に映える赤いラインのデザインが特徴的です。
その歴史は、1928年、ドイツのハンブルグで薬草商を営んでいた創業者であるウィルヘルム・リープが、アメリカの筆記用具の展示会において、ペン先が細いパイプ状となった風変りのペンを見つけたことから始まりました。
このペンをヒントにして作り上げた全く新しいタイプの万年筆は、中空式(ノードル)のペン先を持ち、常に一定の量のインクが出てボタ落ちがなく、安価で扱いやすかったことから大ヒット商品となりました。
その後、数々の改良を加えたロットリングは、画期的な製図用品の代名詞となるほどまで有名となり、全世界の製図やアートの分野で使用される特別なペンとなりました。
発明当時の万年筆をはじめとした筆記用具に比べて扱いやすかったとはいえ、ブレずに正確な線を引くにはそれなりの技術の習得は必要でした。
ロットリングは、多くの精密な製図を必要とする工業製品を生産する技術の現場やアート製作に使用され、世界中の多くの人達に愛用されました。
しかし、そのようなロットリングにも、1990年代以降はパソコンとパソコンソフトの普及に伴い、CADシステム・グラフィックソフトなどの電子化の流れによって、その販売量は激減するに至っています。
廃番品は、今なお愛好家の元でとどまり、時に数少なくも市場に流通しています。
ロットリングがつくる万年筆の特徴
ロットリングがつくる万年筆は、曖昧さのない正確、精密な書き心地が特徴です。
「ロットリング」と聞いてピンと来る世代は、もうミドル~シニア以降かもしれません。
黒地に赤い輪が目印だけではない、メカニカルなデザインも得意であったロットリングの製品は、常に一定のインクが出続ける特徴の無機質な書き(描き)味が、精密な製図や図面の描画に適していました。
現在では、Adobe Illustratorのベジェ曲線で描画される乱れのない線質によく似ています。
ロットリングが発明された当時の万年筆は、製図用品としてはかなり扱いづらい物であったことにより、画期的な筆記用具としてのロットリングは重用されたものの、その正確な線を描きだす技術の習得にはそれなりの訓練を要するものでした。
ロットリングを使用して書く(描く)正確に乱れのない均一な、機械が描いたような線が引くことは、アートというよりはむしろ技術であり、そのような分野で活躍しました。
ロットリングは、このような特徴を持った中空式(ニードル)の製図ペンが有名でしたが、万年筆も製造しています。
万年筆は実用的な文具でありながら、ステータスを表す装飾性の高い傾向のものへと発達し、ブランド化が進んだことから、実用的なロットリングの万年筆はどちらかというとマイナーなイメージです。
かつて万年筆として生産されていたモデルは、現在では廃番となっており、市場に出回るのはデッドストックや中古品にとどまっています。
ロットリングのつくるおもなモデルと価格帯
現在、ロットリングの公式ホームページでは万年筆の取り扱いはなく、市場に出回っているのは、数少ないデッドストック品や中古品となっています。
文具店の販売サイトやオークションでは、新品同様の品が出品されるとすぐに販売完了となってしまうため、こまめなチェックが必要です。
ロットリングの商品自体は、特別なモデルでなければ、素晴らしい品質とデザインにもこだわらず、まだ知名度が低いためか基本的に安価で手頃です。
アートペン
無駄がなくシンプルな作り、身近なデザイン・仕事用の万年筆シリーズです。
価格はスケッチング用・レタリング用が、中古品価格で2,500円前後、アートペンシル(ArtPencil)が新中古価格で1,580円前後となっています。
コア万年筆
携行型強力クリップを装着しているため ポケットだけでなく バッグやベルトにもしっかり固定、軽量のアルミボディ採用のややカジュアルなつくりの万年筆です。
中古品~新品、デッドストック価格で2.600~10,000円前後です。
イニシャル万年筆
メカニカルなメタリックデザインで、ペン先は硬くハート穴が開いていないのが特徴となっています。
あそびがなく狙った位置でしっかりと止められる製図用に特化された製品です。
空気圧の調節やインク供給にも独特の技術を採用した、しっかりとした書き味です。
中古価格で8000前後となっています。
ニュートン万年筆
ロットリングの原型ともいえる、六角形のヘキサゴンメタルボディに細いグリップを搭載したスタイリッシュな製品です。
2004年に製造中止されており、入手が難しいモデルです。
新品・デッドストック価格で6.000~7.000円となっています。