多チャンネルテレビとインターネット、電話といった情報通信サービスをセットで加入する方法があります。それがケーブルテレビ(CATV)です。
引っ越しや自宅の新築を機会にCATVの加入を検討している人も多いのではないでしょうか。ここではインターネットを主体にしたCATVのメリットとデメリットについて解説します。
ケーブルテレビ(CATV)とはなにか?
ケーブルテレビ(CATV)は、テレビ局から加入者の家庭までを専用のケーブル回線で結び、テレビ放送を主体とした情報サービスを有料で提供する事業を意味する言葉です。
CATVはもともと高層建造物の影や山間部などの難受信エリアをカバーするための通信手段として普及が進みましたが、1983年に多チャンネルCATVが認可されると、BSやCSなどのテレビ放送や双方向通信機能を備えた都市型CATVが主流になりました。
近年ではテレビ番組用のケーブルネットワークを兼用してインターネット接続とIP電話も利用できる情報通信サービスも普及しています。CATVは通常のTVとちがってテレビ局と加入者の家庭をケーブルで結ぶため、放送エリアはテレビ局を中心とした一部地域に限定されます。
CATVの伝送方式は、テレビ局から加入者宅の近くまでを光ファイバーケーブルで結び、加入者の宅内配線には同軸ケーブルを用いるHFC(Hybrid Fiber Coaxial=光ハイブリッド)が主流ですが、近年ではテレビ局から加入者宅の宅内配線まで光ファイバーを用いるFTTH(Fiber To The Home)も増えはじめています。
CATVの伝送方式で最も一般的なHFCを例に説明しますと、まずCATV局では各加入者が利用するテレビ放送とインターネット、電話などの信号を1本に集約し、光ケーブルで加入者の最寄りの中継ポイントに送信します。
次に中継ポイントのクロージャーから加入者の家庭まで専用の光回線を引き込んで、V-ONUという変換器でテレビとインターネットと電話の信号に変換します。
それをさらにテレビ用の同軸ケーブルと、インターネットと電話用の光ケーブルに分岐して、屋内に引き込みます。
テレビ用の同軸ケーブルには、セットトップボックス(STB)という専用チューナーを接続することで、地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送などのテレビ放送を視聴することができます。
このSTBはCATV用に変換された信号を復元するためのチューナーですので、テレビにBSやCSのチューナーが装備されていても、STBで信号変換しなければ視聴することはできません。
一方、インターネット用の光ケーブルは加入者が用意するパソコンかルーターに接続します。また、光電話の回線にはHGW(Home Gate Way 電話用通信装置)を接続し、モジュラーケーブルで電話機を取り付けます。
テレビでインターネットを楽しむ 接続方法やおすすめコンテンツを解説
ケーブルテレビのメリット
ケーブルテレビに加入するメリットとしては、アンテナが不要で、台風や積雪による故障や通信障害の心配がないこと。地上デジタル放送やBS、CS放送などのさまざまな専門放送を視聴できることです。
CATV局によっては地域限定のコミュニティチャンネルや他の地方の番組も視聴でき、インターネットと光電話もセットで契約することができるため、加入手続きやアフターサービスが一本化できることなどがメリットとしてあります。
またケーブルテレビのインターネットは専用ネットワークを利用するため、プロバイダーと契約する必要がないこともメリットのひとつといえるでしょう。
ケーブルテレビのインターネット接続について
CATVでインターネットを利用する場合、専用回線とモデムの設置工事はCATV会社が行います。加入者が用意するのは、パソコンとLANケーブルだけですが、パソコンにLANの差込口がない場合には、LANアダプターも必要になります。
また複数の端末でインターネットに接続したい場合には、Wi-Fiルーターなどのネットワーク機器も加入者が用意しなければなりません。なおCATVの会社によっては、複数のPCを接続できない場合があります。
ルーターの設置を希望する際は、事前に担当者かサービスセンターに確認しましょう。
ケーブルテレビのネットのデメリット
CATVの会社の多くは幹線ネットワークを光ファイバーにして、通信速度の向上を図っています。しかしながらCATV各社がホームページなどで公表している回線速度は、理論上の最大値が多く、実行速度は通常の光インターネットに及ばない場合がほとんどです。
CATVの速度低下の原因は、多くの会社が採用しているHFC(光ハイブリッド方式)の同軸ケーブルにあるといわれています。同軸ケーブルの銅線は光ファイバーに比べると通信容量が小さく、しかも他の電子機器が発するノイズを拾いやすいという欠点があります。
またCATVは主要幹線を共有する加入世帯数が比較的多いため、光ケーブルの幹線でも混雑時には速度が低下したり、通信障害が発生しやすい傾向があります。
その点、幹線から屋内配線まで全て光ファイバーケーブルを用いるFTTH方式であれば通信速度は向上しますが、現状では建設費と維持管理費がやや高いこともあり、採用例は多くありません。
CATVのインターネットはテレビ放送のオプションサービス的な色合いが濃く、コスト的には有利ですが、動画を頻繁にアップロードしたり、オンラインゲームを楽しみたいというユーザーにはおすすめできません。
特にオンラインゲームでは応答速度を示すPing値が劣る場合が多く、ゲームで勝敗を競うような場面で反応が悪いと圧倒的に不利になります。
ケーブルテレビ(CATV)についてのまとめ
- CATVはテレビ信号を電波ではなく、ケーブルを介して加入者に放送する事業をいいます。
- CATVはもともと難受信対策として普及したが、現在は多チャンネルテレビとインターネット接続をセットにした都市型サービスが主流になっています。
- CATVのインターネットは速度が遅いので、ヘビーユーザーには不向きです。