撮影のための旅先などで、綺麗な風景に出会った時には全体を1枚の写真におさめたいと思う時があるでしょう。風景やスナップ写真では、手前から奥までピントがあった写真を撮ることができます。それを一般的には、パンフォーカスといいます。ここでは、広くピントを合わせるパンフォーカスについて、メリットや撮影方法などをご紹介します。撮影方法の幅を広げて、撮影を楽しめます。

パンフォーカスとは

パンフォーカスは、近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見せる撮影方法のことをさします。

パンフォーカスは和製英語で、英語ではディープフォーカスといわれます。

ボケ表現の反対

パンフォーカスは、広くピントを合わせるので、背景までくっきり写ります。

一眼レフカメラやミラーレスを買う人は、背景のボケの表現をしたくて買う人も多いでしょう。ボケ表現はひとつにピントを合わせて他をぼけさせる表現なので、パンフォーカスとはボケ表現の全く反対の撮影方法といえます。

パンフォーカスのメリット

カメラを持つ人にはボケ表現が好まれるが、従来からパンフォーカスを理想とする考え方もあります。

パンフォーカスは、他の撮影方法に比べてピントを合わせる時間がかからないメリットがあります。風景やスナップ写真に使われるには、撮影のベストタイミング逃さないパンフォーカスのメリットが活用されています。

「硬い感じ」を表現

すべてにピントを合わせるパンフォーカスは、ファインダーで見えるもの全てをはっきりと写すことができます。

人の視覚に近い表現と言えるでしょう。ですから、ボケ表現の柔らかい感じに比べて、くっきりとものや人の輪郭がみえる硬い印象になります。また、パンフォーカスは写真独特の表現ともいわれています。それゆえに、カメラマンの中でも好んでパンフォーカスを使う人もいます。

風景写真に向いている

また、パンフォーカスの写真は一か所にピントを合わせなので、見る人は写真全体に注意を払うことになります。

周囲との位置関係や環境が伝わりやすい仕上がりになるでしょう。より人間の視覚に忠実なので、リアリティーがある写真と言えます。ですから、パンフォーカスは風景写真によく使われる方法で、写真でリアリティーを追求するなら理想の撮影方法と考える人も多くいます。

パンフォーカスの撮影方法

厳密に言えば、カメラのレンズはある一か所でピントが合うように作られています。その一か所は、ピントの山と呼ばれます。

しかし、ピント合わせの厳密さをやや広げれば、画像でみた時にピントが合っているように見える範囲は、ピントの山の一か所とその前後までもピントを広げて合わせることができます。この許容範囲内の画像の仕上がりでピントが合う範囲を「被写界深度」といいます。

パンフォーカスは、この被写界深度を使った撮影方法で、広い範囲にピントが合っていることから「被写界深度が深い」と表現します。パンフォーカスは被写界深度が深い撮影方法、ボケ表現は被写界深度が浅い撮影方法なのです。

初心者が抑える3つのポイント

初心者にとっては、広くピント合わせるパンフォーカスは、難しい撮影に思えるでしょう。

確かに、過焦点距離を計算してパンフォーカスにいい焦点距離に合わせる方法もあります。しかし、初心者にはいくつかのポイントを抑えて、簡単にパンフォーカスの撮影ができる方法もあります。ここでは、初心者にもおすすめのパンフォーカスの撮影方法をご紹介します。。

初心者のパンフォーカス撮影では、なるべく焦点距離の短いレンズを使います。焦点距離が短い広角レンズを使うのがおすすめです。

風景を広くとるなら28mm程度、スナップ写真なら35mm程度がいいでしょう。ですから、キットのズームレンズでも十分で、初心者にも挑戦しやすいのです。また、パンフォーカスにはセンサーが小さいカメラの方が向いています。

本格的なフルサイズの一眼レフカメラよりも、フォーサーズ・APS-Cなどのミラーレス一眼カメラでも十分に綺麗なパンフォーカスの撮影ができるでしょう。

まず、撮影モードは「絞り優先」にします。

F値はフルサイズセンサーなら22ほど、フォーサーズ・APS-Cなどなら8~16程度がいいでしょう。絞りすぎると全体が暗くなり、シャッタースピードが遅くなるので、画質も悪くなるだけなく、手ブレが起こりやすくなると考えられます。撮影場所に合わせて、画質や暗さを見ながらF値をある程度調整しましょう。

パンフォーカスの撮影では、ボケ表現と反対に「被写体から離れる」ことが大切になります。

広大なところでの風景撮影なら、あまり気にすることがありません。スナップ写真なら、メインになる被写体から、最低でも1m以上は離れてみましょう。

被写体から離れたら、ピントは3mほど先に合わせます。

被写体から3m離れるのではなく、ピントを3m先に合わせるという意味なので注意してください。もし、手前にも画像に入れたいものがあるなら、手前のものからも1mほど距離をとる方が綺麗に写るでしょう。

一度ピントがあったら、半押しのままピントを合わせておくのが手間な時もあるでしょう。その場合には、ピントがあった時点で、オートフォーカスからマニュアルフォーカスに切り替えてしまえばいいだけです。すると3m先で合わせたピントが動かなくなり、シャッターを押すことだけに集中できるようになります。

パンフォーカスのまとめ

パンフォーカスはディープフォーカスとも言われ、近くのものから遠くのものまでピントが合っているように見せる撮影方法のことをさします。パンフォーカスとはボケ表現の全く反対の撮影方法といえます。

パンフォーカスのメリットには、他の撮影方法に比べてピントを合わせる時間がかからないということがあります。

風景やスナップ写真では、撮影のベストタイミング逃さないところも好まれています。また、すべてにピントを合わせるパンフォーカスは、ファインダーで見えるもの全てをはっきりと写すことができ、人の視覚に近い表現といえるでしょう。

ですから、ボケ表現に比べて硬い印象になります。パンフォーカスの写真は一か所にピントを合わせなので、周囲との位置関係や環境が伝わりやすい仕上がりになります。より人間の視覚に忠実なので、リアリティーがある写真と言えます。

パンフォーカスの撮影方法は、ピント合わせの厳密さをやや広げて、画像でみた時にピントが合っているように見える範囲を撮影します。この許容範囲内の画像の仕上がりでピントが合う範囲を「被写界深度」と言い、パンフォーカスは、「被写界深度が深い」撮影方法と表現されます。

初心者でもパンフォーカスの撮影を簡単にするには、3つのポイントを抑えましょう。

パンフォーカス撮影では、焦点距離の短い広角レンズで、風景を広くとるなら28mm程度、スナップ写真なら35mm程度がいいでしょう。

まず、撮影モードは「絞り優先」にします。F値はフルサイズセンサーなら22ほど、フォーサーズ・APS-Cなどなら8~16程度がいいでしょう。

パンフォーカスの撮影では、ボケ表現と反対に「被写体から離れる」ことが大切になります。スナップ写真なら、メインになる被写体から、最低でも1m以上は離れてみましょう。

ピントは3mほど先に合わせます。ピントがあった時点で、オートフォーカスからマニュアルフォーカスに切り替えてしまえば、ピントが動かなくなり、シャッターを押すことだけに集中できるようになり綺麗なパンフォーカスの撮影ができます。