イラストや写真などを見ていると、「コントラスト」という言葉を耳にすることがあります。
最近は、スマホで撮った写真を編集するソフトの中でも「コントラスト」を調整する機能があるでしょう。
しかし、コントラストの意味を知らずに使っている人も少なくありません。
こちらの記事では、色のコントラストについて細かく解説します。
コントラストとは
コントラストは、英語で「対比」という意味があります。
異なる色を並べ、明度や色合い、彩度を対比することが色のコントラストです。
例えば、「コントラストが強い」「コントラストが高い」「コントラストが大きい」といった言い回しをされれば、明暗の差が強いことがわかります。
一方、「コントラストが弱い」「コントラストが低い」「コントラストが小さい」などの場合は、明暗の差がなく、それぞれの色の対比が曖昧な状態です。
このように、コントラストは、写真や絵で効果を計る際に使われます。
より情報をわかりやすく伝えるために、あえてコントラストを上げることもあるでしょう。
また、柔らかい表現を目指して、コントラストを押さえるケースもあります。
どのような効果を求めるかによって、コントラストの強弱を変えることが大切です。
色の三属性をコントラストで表現
人間が色を認識する方法には、三つの属性があるといわれています。
これが、色の心理的三属性です。
「色相」「明度」「彩度」の3つで、これらを調整することによって、細かな色合いを表現できます。
色の三属性はコントラストでの表現が可能です。
続いては、色の三属性とコントラストの関係について解説します。
色相について
色には、「有彩色」と「無彩色」の2パターンがあります。
有彩色は、赤・青・黄・緑に代表される、色みを持つものです。
一方、無彩色は黒や白、グレーなど色みを持たないものを表します。
色相とは、色合いや色みのことを指しており、有彩色に特化した属性です。
例えば、ピンクは赤系、水色は青系のようにグループ化する際に使われます。
色相を環状に配置したものを色相環といい、色を体系化する際に使われる手法の一つです。
色相が近いものを組み合わせると、コントラストが弱くなります。
一方、色相が離れている色同士を並べると、コントラストがはっきりして見やすくなるのが特徴です。
人の目につくようなデザインを作るためには、色相が遠いものを配置するとよいでしょう。
明度について
明度とは、色の明るさの度合いです。色相は有彩色だけが持つ属性でしたが、明度は無彩色にも当てはまります。
明度が高いほど白に近づき、低いほど濃い色になっていくのが特徴です。無彩色では、黒が一番明度が低い色といえます。
もっともコントラストが強い明度は、白と黒です。
一方、明度が近いグレー同士を隣り合わせにすると、境界線が目立ちにくくなります。
例えば、画像編集ソフトでは、明度調整を使ってコントラストの編集が可能です。
明度を上げれば、全体的に明るくなり、極端に明るくすると白くなるでしょう。
一方、メイドを下げれば黒に近づいていきます。
明るい部分をより明るくし、暗い部分をより暗くすると、明度のコントラストを上げることが可能です。
画像自体の明暗とは異なり、明度のコントラストを上げすぎると、モノクロ写真になります。
彩度について
彩度では、色の鮮やかさを表します。色相同様に、有彩色のみが持つ属性です。
彩度が高い色を純色といいます。彩度が高いほどはっきりした色合いになるため、派手なイメージを持ちやすいでしょう。
純色に灰色を混ぜると濁色になります。彩度の強弱は、灰色の割合によってはかり、彩度が下がると色合いも地味になっていくのが特徴です。結果的には、無彩色に近づいていきます。彩度のコントラストを高めるためには、純色と濁色を組み合わせることが大切です。
一方、いくら彩度が高くても、同じように彩度が高い色を合わせるとコントラストが低くなり、境界線が明確ではない色合いになります。
イラストや画像を目を惹くものにしたい場合、全体的に彩度を上げると、ビビッドな色味になり目立つでしょう。
落ち着いた印象のデザインを目指す場合は、彩度をできるだけ落とすと効果的です。
まとめ
色のコントラストは、イラストやデザイン、写真などを作成する際に欠かせないポイントです。
色相・明度・彩度の三属性を踏まえた上で、コントラストを理解しておくと、より効果的に作品を仕上げやすくなります。
色の三属性やコントラストが表現するように、色の世界は非常に興味深いものです。
人間の目にとってインパクトのある配色がわかっていると、見せたいものをしっかりと見せることができます。
反対に、落ち着いた表現をしたい場合は、コントラストを下げることで、自分にとって気持ちのいい色みに仕上げられるでしょう。
スマホで写真や動画を撮影し、誰でも編集ができる昨今。
コントラストの意味を知っておくと、プロ並みに美しい仕上がりも期待できます。