NTTドコモをはじめ、au、ソフトバンクなどの大手携帯キャリア各社は、スマートフォンの利用料金プランによって、1ヶ月間に利用できるデータ通信量に一定の上限を設けています。
利用者がその上限を超えてしまうと、所定の期日まで、通信速度が送受信とも最大で128kbpsに制限されてしまいます。この制限は、大手携帯キャリアの通信回線を利用しているMVNO(仮想移動体通信事業者)も当然対象になりますので、格安SIMのスマートフォンでも、所定のデータ通信量を超過すると通信速度を制限されることに変わりはありません。
現代人にとってスマートフォンは公私ともに必要不可欠なツールです。それだけに通信速度を大幅に制限されてしまうのは、金しばりにあうようなものです。この地獄の通信制限はいったい、いつまで続くのでしょうか?途中で解除することはできないのでしょうか?
ここではスマホ依存症の現代人をおびやかす通信速度の制限について解説します。
通信制限の解除の確認方法
スマートフォンでさまざまなアプリや音楽を毎日のようにダウンロードしたり、オンラインゲームに熱中したり、動画をひんぱんに視聴したりしていると、たちまちデータ通信量の上限に達してしまい、通信速度が一定期間制限されるようになります。
その速度は携帯キャリア各社とも最大128kbpsに設定されています。
この速度はインターネット利用者にとっては罰ゲームとしか思えないほどの超低速です。NTTドコモの公称データによると、Android携帯の実行速度は下りで平均190Mpbsとなっています。
したがって128Kpbsは実に1500分の1以下という計算になります。これはYouTubeの画質を240pにしないと、なめらかに再生できないレベルで、動画再生どころか静止画の閲覧も満足にできない状況に陥ってしまいます。
ついさっきまでウサギが走るようにサクサク使えたスマートフォンが突然、亀よりも遅くなってしまうのですから、利用者にとってはたまったものではありません。あまりにスマホが遅いので「故障かな?」と心配になってしまうこともあります。
そんなときには、ご利用の携帯キャリアのホームページにアクセスして、通信制限の有無を確認してみましょう。もし通信制限がかかっていたら、故障ではなかったことを不幸中の幸いと考えて、解除の日までがまんして待つか、またはいさぎよく追加料金を支払って通信容量をチャージするしかありません。
そうして制限解除の日を迎えるか、有料の容量チャージで解除するかしたら、スマートフォンが元どおり快適に利用できるようになるはずです。
通信制限が解除されたかどうかは、携帯キャリアのホームページで確認することもできます。しかし制限解除を確認するためにいちいちIDやパスワードを入力するのは面倒だ、と思う方もいるでしょう。そんなときはYouTubeにアクセスして動画が快適に視聴できるかどうかで単純に判断することもできます。
auの通信制限の解除
スマートフォンのデータ通信量が契約上のリミットに達した場合に通信速度を制限する規定は、
全ての携帯キャリア会社に共通しています。そこでauの規定を例にご説明しますと、通信速度が制限されるのは、スマートフォンの料金プランの月間データ容量を月末までに使いきった場合と、直近3日間の通信量が規定の上限に達した場合の2つがあります。
月間の通信制限
たとえばauでデータ容量7GBのLTEフラットプランを利用している方が、10月15日に7GBを使い切ってしまったとします。すると10月末まで16日間の通信速度が、送受信とも最大128kbpsに制限されます。
この金しばり的な通信制限は、前触れもなく開始されるわけではありません。ネットの通信利用量が上限に近づくと、速度制限を予告するメールや、速度制限の開始を知らせるメールが届きます。
そこで有料のチャージをしない場合は、翌月1日までがまんすれば、金しばりから解除されます。先の例でいえば、10月15日に始まった通信制限は、10月31日の深夜12時を回って日付が11月1日に変わったところで、順次解除されるようになります。
この「順次」とは、「日付が変わっても、すぐには解除されない場合もありますので、カリカリせずにお待ちください」という意味だとお考えください。なおデータ通信量が上限に達した場合でも、前述のように追加料金を支払って容量をチャージすれば、好きなタイミングで通信制限を回避することができます。
auで追加できるデータ容量は0.5GB(500円)と、1GB(1000円)の二択で、有効期間はチャージ日から62日間となっています。またチャージ日も「今すぐ」と「予約」を選択することができます。「今すぐ」を選ぶと「順次」ではなく「瞬時」に制限を解除できます。
参考:au よくある質問 通信速度制限(通信規制)はいつ解除されますか?
3日間の通信制限
たとえばauのデータ定額10でスマートフォンを利用している場合、月間データ容量の上限は10GBになりますが、当日を除いた直近の3日間に6GB以上利用すると、通信速度が終日制限される場合があります。
具体的には10月10日から12日までの3日間に6GB以上利用すると、10月13日の午後1時ごろから24時間の通信制限が実施されます。この制限による通信速度は、インターネットの混雑状況によって変動します。
ちなみに月間の通信制限は、追加料金を支払えばすぐにでも解除することができますが、3日間制限は解除することができません。この規定はauの回線を使用している格安SIMのMVNOにも同様に適用されます。
ドコモの通信制限の解除
auと同様に、ドコモのスマートフォンも月間利用量に上限を設けています。ユーザーの利用量が上限に達すると、翌月1日に日付が変わるまでの間、通信速度が128kbpsに制限されることも、auと同じです。
ただしドコモの場合、直近3日間の通信制限はありません。かつては300万パケットを上限としていましたが、現在では廃止されています。したがってドコモの回線を使用している格安SIMのMVNO各社の利用者にも3日間の通信制限は適用されません。
ソフトバンクの通信制限の解除
ソフトバンクでは、iPhoneのデータ定額パックと4G料金プラン、または4Gパケット定額サービスの利用者が所定のデータ量を超えて利用した場合に、請求月末までのあいだ通信速度を制限しています。
この制限による通信速度はドコモやauと同様に、送受信時最大128kbpsになります。ソフトバンクは他の携帯キャリアとちがい、契約者の利用開始日によって、月額料金の請求締め日が月末、10日、20日の3つに分かれています。
したがって速度制限の解除日は各契約者の請求締め日の翌日になります。たとえば請求締め日が毎月末の加入者の場合、通信制限の解除日は翌月1日となります。
参考:SoftBank 所定データ量を超えた場合に通常速度へ戻す方法について確認する
通信制限の解除のまとめ
- 日本の携帯キャリア各社は、スマホの契約者が月間通信量の上限を超えた場合に、通信速度を一定期間制限する措置をとっています。
- 携帯キャリアによっては、月間通信量だけでなく、直近3日間の通信量に上限を設けている場合もあります。
- 通信制限が実施された場合の通信速度は、携帯キャリア全社が送受信とも最大で128kbpsと定めています。
- ソフトバンク携帯は請求締め日が契約者によって違うので、通信制限の解除日は契約者の請求締め日の翌日になります。