腕時計を選ぶ際、ブランドやケースの大きさを重視する人は多いですが、文字盤まで意識している人は少ないでしょう。しかし、文字盤は腕時計の「顔」とも言える重要な存在であるため、理想的な腕時計を見つけるためには知識が必要です。

ここでは、文字盤の重要性や材質などの基礎知識から、文字盤の修理方法や格付け基準などの豆知識まで紹介しています。この記事を通して文字盤への理解を深めて、時計店で店員さんとスムーズな会話ができようにしておきましょう。

目次

時計の顔である文字盤

文字盤とは、時計本体部分にある数字が書かれた部分のことを示します。「文字板」と書かれたり、「ダイヤル」や「フェイス」と呼ばれることもあります。

時計を構成するパーツの中でベルト、ケース、と並び見た目に与える影響が大きく、文字通り時計の「顔」と言える存在です。

文字盤を細かく見ていくと、「数字」「色」「背景の模様」といった要素に分けることができます。

「大きさ」を1つの要素としてあげる人もいますが、文字盤の大きさはケースの大きさに依存するので、文字盤だけにフォーカスしたこの記事では言及しません。

腕時計の文字盤の重要性と基礎知識 修理方法の豆知識の解説

最も重要視するべきは「色」

文字盤の色は、袖からチラッと見えたときの印象も左右するので、最も気をつけたいポイントです。ビジネス向けの腕時計なら白が一般的ですが、フォーマルな場でなければ黒や青でも問題無いことがほとんどです。

何も分からず心配だという人は、白の文字盤を選んでおくのが無難です。

視認性は意外に重要

視認性においても文字盤の色は重要になります。文字盤の色と、針の色が同じで時刻を確認しづらいような腕時計は避けましょう。

視認性が悪い腕時計は、時間を確認する度に時間をロスしてしまいます。多い時は1日で100回以上時計を見ることもあるので、わずか0.5秒のロスであっても問題と言えるでしょう。

視認性が悪い時計は、使いづらさからタンスの肥やしになる可能性が高いです。腕時計は値段が高いものも多いので、少しでも長く愛用できるように視認性の良い文字盤を選んでください。

腕時計を選ぶ際、視認性を最も重要視すべきとは言えませんが、基準の1つとして覚えておいて損はないでしょう。

背景の模様は「無し」が無難

文字盤の背景の模様は、基本的に注視しなければ見えないレベルなので、そこまで気にする必要が無いと言われています。高級腕時計の文字盤の背景に採用される「ギョウシエ模様」などが、これに該当します。

しかし、ビジネスマンとしては不要なリスクは避けるべきでしょう。大事な商談を腕時計のチョイスで棒に振ってしまったら、後悔すると思います。

もちろん、例外もあります。時計好きの顧客やビジネスカジュアルといったラフな服装の場合は、ヒョウ柄などの異常に派手な模様でなければ問題無いことが多いです。

ビジネスに向いている時計については以下の記事を参考にしてみてください。
ビジネス向けの腕時計の特徴とおすすめの腕時計を解説

針やインデックスとのコントラストも注意!

文字盤を見たときに目に入る「針」「インデックス(数字)」「文字盤の色」という、3つの要素のコントラストが大きいほど視認性が高まります。

例としては、「黒の文字盤」に「白の針」と「白いインデックス」といった具合です。実際に見なくても、何となく見やすいことがイメージできるでしょう。

ただし、ビジネス向けの腕時計は白の文字盤を採用しているので、針やインデックスと差を付けるのが難しくなってしまいます。文字盤が白で、針が黒だと、どうしてもチープな印象になってしまうからです。

このような場合は、針とインデックスに光沢感のある素材を使うという手法がとられます。国産の高級腕時計である、グランドセイコーでも用いられている手法です。

文字盤は金属がよい

文字盤は、真鍮などの金属素材が用いられるのが一般的です。安価な時計の場合には、プラスチックが採用されていることもあります。

金属やプラスチックの他にも、真白蝶貝を使った「シェル素材」、トルコ石などの鉱石、金やプラチナなどの高価な素材、軽く強度も高いカーボンなど、たくさんの種類があります。

どんな素材の文字盤であっても、裏側には細い金属製の足が付いています。この足をムーブメントに差して固定しているのです。そのため、腕時計を落とすと足が折れてしまい、文字盤が回転してしまうことがあります。

しかし、金属アレルギーの方は金属は避けるようにしましょう。金属アレルギーの方はチタン製を使用するとよいです。
腕時計によって引き起こされる金属アレルギーの対策とブランドを解説
チタン製腕時計は金属アレルギー対策になる基礎知識とおすすめモデル

文字盤の修理は可能

文字盤の足が取れてしまった場合には、文字盤を部品ごと交換するのが一般的です。交換にかかる費用は、腕時計購入価格の10~15%前後だと言われています。

どうしても修理して使いたいという場合には、取れてしまった足を溶接して文字盤に取り付けることが可能です。ただし、溶接による金属焼けが発生するので、文字盤を塗装し直す必要があります。

黒く焼けてしまった文字盤を、塗装し直すためには高い技術が必要なので、職人さんに頼む際の費用も高額になります。最低でも数万円かかるでしょう。

文字盤の数字はクラスがある

文字盤上の時刻を示す数字や目盛りは、数字を示す「インデックス」や「時字」、目盛りを示す「アワーマーカー」と呼ばれます。一般的な時計店では、インデックスという言葉が使われるので覚えておきましょう。

インデックスは「アラビア数字(1,2,3)」と「ローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)」に分類されます。アラビックタイプ、ローマンタイプという言葉を使うこともあります。

歴史のある時計台や懐中時計に採用されていたので、ヨーロッパではローマ数字のほうが格上でフォーマルな存在だと言われています。

カルティエの4は「Ⅳ」ではなく「IIII」

一般的なローマ数字では「4」を「Ⅳ」と表現しますが、カルティエの腕時計には「IIII」と描かれています。

この理由には諸説あり、カルティエの時計がフランスのシャルルⅤ世に献上された際に、シャルルⅤ世が「5から1を引くのは縁起が悪い」と考え、「IIII」で作り直すよう時計師に命じたという説があります。

また、バランスの問題だと主張する人もいます。「IIII」の反対側にある「Ⅷ」に近い形になるので、左右対称に近くなりバランスが良くなります。

他にも諸説ありますが、どれも明確な記録として残されておらず、後世になって推測されたものばかりです。この「Ⅳ」と「IIII」の逸話は、飲みの席で使えるので、時計好きとして絶対に覚えておきたい話題です。

腕時計の文字盤についてのまとめ

  • 文字盤は、腕時計全体の印象を決める重要な存在なので、購入時は忘れずに確認すること!
  • 文字盤の修理は可能だが、高い費用がかかる可能性が高い。
  • フォーマルな腕時計を求めるなら、格式の高いローマ数字のインデックスを選ぶ!