よい写真を撮るために最も重要なものは、被写体を照らす光です。風景写真は自然光をメインに撮影するのが一般的ですが、室内撮影ではストロボやLEDライトといった人工の光源がメインになります。

その光が自然に見えるようにコントロールするのがライティングです。プロの撮影現場で使われるライティングのテクニックをマスターすると、人物や商品などを見違えるほど綺麗に撮ることができます。

この記事ではライティングの基本についてご説明します。

ライティングの基本

ライティングには鉄則ともいえる考え方があります。それは「自然界の光源は太陽ひとつしかない」ということです。「写真」は漢字で「真を写す」と書きますが、光の当たり方が不自然であれば、被写体そのものが「真」に見えなくなってしまいます。

ライティングはたとえ100%人工光でも、自然な光に見えなければなりません。そのための大原則が「太陽はひとつ」です。

ライティングもそれに従って、光源は太陽の代わりにメインライト1灯を設置し、それにフォローライトやアクセントライトなどを加えることで、より自然な光に近づける、という考え方を基本にしています。

メインライト

メインライトは太陽に相当する光源で、キーライトとも呼ばれます。

太陽は自然界で唯一無二の光源であり、日中は空高く照り輝いています。そこでメインライトも太陽と同じように1灯だけ、被写体を上方から照らす位置にセッティングします。

人物を被写体とするポートレイト撮影では、メインライトを被写体の前方に置き、上から45度の角度で照らすようにセッティングします。

その結果、被写体には明るいハイライトと暗いシャドウがくっきりと描かれ、立体感が強調されます。

フォローライト

自然界の光源は太陽ひとつですが、その光を人工的に再現するには、メインライト1灯だけでなく、シャドウや背景を照らすフォローライトも必要です。

なぜなら自然光は太陽の直射光だけでなく、大気中の雲や水蒸気などによる乱反射や、山や海の反射光によって間接的に照らされているためです。

自然界の光を再現するために設置されるのがフィルインライトなどのフォローライトです。

フィルイン(fill in)とは「 代わりを務める 」「空所を補う」という意味の英語ですが、ライティング用語では 、日光の反射による間接的な光を再現するために追加される、補助的なライトを意味します。

太陽の間接光は、直接光とちがって弱いながらも、あらゆる角度から降り注いでいます。そこでフィルインライトも被写体のシャドウ部や背景全体をまんべんなく照らして、全体の明るさを調整するために用いられます。

フィルインライトにはフロントライトとスカイライトの2種類があります。フロントライトはその名の通り、被写体を前方から照らすライトで、メインライト1灯だけではコントラストが強すぎる場合や、被写体の影を弱める目的で使われています。

一方、スカイライトは被写体を空から、つまり上方から柔らかく照らすことで、大気に乱反射して拡散した日光を再現するためのライトです。

スカイライトを用いることで、メインライトのコントラストを和らげ、自然光が上から降り注ぐようにグラデーション豊かな写真を撮影することができます。

フィルインライトはあくまで太陽の間接光を再現するための補助光ですので、メインライトよりも控えめな光でなければなりません。そのためにレフ板や、ディフューザーという光を拡散させるアタッチメントを用いてソフトな拡散光を演出します。

アクセントライト

アクセントライトは、被写体の質感を表現するために、メインライトを補助する形で、部分的にハイライトを加えるためのライトです。

アクセントライトは背景全体を照らすフィルインライトとちがって、被写体の一部分だけを明るく強調することで、メリハリをつけるライトです。

具体的には、ポートレイト撮影でモデルの目を輝かせるキャッチライトや、髪の光沢を強調するために上から照らすトップライトなどがあります。

アクセントライトは被写体を部分的に照らすライトですので、強すぎるとメインライトの反射と区別がつかなくなり、不自然な印象になってしまいます。ですのでアクセントライトを当てる場合は、光量と位置のバランスに注意しなければなりません。

例えばポートレートのトップライトを前方から当てると、額や鼻に不自然なハイライトが入ってしまうので、髪を照らすトップライトは真上より後ろ側に置くのが基本とされています。

レフ板もライトのひとつ

写真撮影でシャドウ部に光を当てるために用いる反射板をレフ板といいます。「レフ」は反射物を意味するレフレクター( reflector )の略で、写真撮影で用いられるのは白や銀、金色などの薄い板になっています。

中には自動車用のサンシェードのように折りたたんでコンパクトに収納できるものもあります。

レフ板は光を反射するだけの簡単な機材ですが、フォローライトのようにシャドウ部を明るくしたり、アクセントライトを効果的に当てるために使われる重要なアイテムです。

レフ板自体は発光しませんが、位置によっては不自然な反射光になってしまう場合もありますので、「太陽はひとつだけ」という基本に忠実なセッティングを心がける必要があります。

ライティングに関するおすすめの本

ここではライティングに関する初心者向けの解説書として、特に定評のあるものをご紹介します。

基礎から始める、プロのためのライティング

本書はプロのライティングテクニックを基礎から応用まで、幅広く紹介しているハイレベルな解説書です。

ライティングに使用する機材の特徴と、それらを効果的に使用するテクニックをはじめ、測光の基本や光のコントロール方法などを豊富な作例とともにわかりやすく解説しています。

基礎から始める、プロのためのライティング

ポートレートライティングの超絶レシピ

本書はクリップオンストロボや大光量ストロボをメインに、ポートレートのライティングテクニックを幅広く紹介している解説書です。

ストロボをカメラから切り離してワイヤレスで制御する「オフカメラ」というセッティングによって、12名の写真家が撮影した美しい作例の数々を、詳細でわかりやすい解説とともに掲載しています。ポートレイトライティングの決定版ともいえる解説書です。

ポートレートライティングの超絶レシピ

あなたにもできるプロワザ商品撮影

本書はカタログ用の商品や料理といった身近な被写体を魅力的に撮影するためのライティングテクニックを、基本編と応用編に分けて解説している参考書です。

光源は自然光やクリップオンストロボ、蛍光灯などを中心に、自宅やオフィスでも簡単にセッティングできる1灯ライティングを基本にして、レフ板やディフューザーを併用することで見ちがえるほど美しい商品写真を撮る方法を網羅しています。

あなたにもできるプロワザ商品撮影

ライティングについてのまとめ

  • ライティングとは、写真撮影を行う際に、ストロボなどを使用して被写体を効果的に照らすことで、自然な写真に仕上げるテクニックをいう。
  • ライティングは「太陽はひとつだけ」を基本に、メインライト1灯を太陽に見立てて、フォローライトで間接光を再現する。
  • アクセントライトは、被写体の質感を表現するためにハイライトを追加するライトのことをいう。