OLYMPUS Eシリーズ(一眼)とは

2003年に発売されたE-1に始まるOLYMPUSのEシリーズは、デジタル一眼レフカメラの歴史を大きく変えるきっかけとなったシリーズです。

現在ではEシリーズの系譜がミラーレス一眼カメラのOM-Dシリーズへと事実上統合されていますが、昨今のミラーレス一眼ブームもEシリーズなしには起こり得なかったといえます。

初代のE-1から2010年発売のE-5へと至るEシリーズには、OLYMPUSが米コダック社と共同で提唱したフォーサーズシステムが採用されていました。

フォーサーズシステムはデジタル一眼レフカメラ専用の新しい共通規格で、従来のデジタル一眼レフカメラで主流だった35mmフルサイズと比べて約半分の対角長を持つ4/3型イメージセンサーを使用するのが最大の特徴です。

交換用レンズと装着するためのレンズマウントの規格もこのイメージセンサーに合わせて小型化が可能なため、後にミラーレス用の規格として改良されたマイクロフォーサーズシステムへとつながっていったのです。

フォーサーズシステムが開発されたのはそうした小型化・軽量化だけでなく、従来のデジタル一眼レフカメラの欠点と言われた画質面の課題改善が当初の目的でした。

NIKONやCANONの2大カメラメーカーが中心となって開発されてきた従来のデジタル一眼レフカメラでは、プロ向けの機種に35mmフルサイズが、普及機にはAPS-Cサイズのイメージセンサーがそれぞれ使われていました。

交換用レンズとレンズマウントもイメージセンサーのサイズに合わせる形で、フィルムカメラ時代のレンズがそのまま流用できるように規格されていたのです。

過去のレンズ資産が活用できる点は一見すると便利なようにも思えますが、フィルムカメラの規格をデジタルに引き継いだためにいろいろな弊害が見られました。

特に広角レンズでは画面の周辺部が暗くなったり色のにじみが発生したりして、如実な画質低下現象の発生が問題とされていたのです。

同様の条件ではイメージセンサーに反射した光がレンズで再反射することが原因となって、フレアやゴーストも発生しやすくなります。

こうした現象は光がレンズからイメージセンサー周辺部に対して傾いて入るのが主な原因でした。

センサーサイズを約半分にすることで周辺部にまで光が直進できるよう改良されたのが、OLYMPUSの開発したフォーサーズシステムだったのです。

従来のデジタル一眼レフカメラはメーカーが違えばレンズマウントも異なるため、メーカー間でレンズの互換性がありませんでした。

フォーサーズシステムは他社のレンズも使用できる共通規格として提唱された経緯があって、OLYMPUS製ズイコーデジタルレンズに加えてフォーサーズシステムに賛同したパナソニックの採用するライカ製レンズがEシリーズに装着可能です。

以上のような経緯で2003年のE-1が発売されて以降、OLYMPUSのEシリーズは画質にこだわるカメラマニアの間で好評を得てきました。

OLYMPUSは2010年に発売したE-5を最後にフォーサーズシステムの新製品開発を打ち切り、2008年にパナソニックと共同で策定したミラーレス一眼向け拡張規格のマイクロフォーサーズシステムへとEシリーズを統合しています。

Eシリーズの流れは2012年発売のOM-D E-M5に始まるOM-Dシリーズへと受け継がれ、ミラーレス一眼レフカメラの形でフォーサーズシステムの開発コンセプトが生き続けているのです。

時代の動向を巧みに見極めながらフォーサーズシステムからマイクロフォーサーズシステムへと移行させたOLYMPUSは、フィルムカメラ時代から独自の技術とデザイン性で存在感を示して来たメーカーでした。

デジタルカメラの開発にも1990年代から意欲的に取り組んできたOLYMPUSは、デジカメの普及と性能向上に大きな役割を果たしたメーカーの1つなのです。

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OLYMPUS Eシリーズ(一眼)のカメラの特徴

デジタル一眼レフカメラは一般的なコンパクトデジカメと比べてイメージセンサーのサイズが大きく1画素当たりの面積も広いため、それだけ光を多く取り込める点が画質面で有利になってきます。

フォーサーズシステムはデジタル一眼レフカメラで主流だった35mmフルサイズと比べて対角長で半分、面積では約4分の1です。

普及機クラスで使われるAPS-Cサイズと比べてもEシリーズのイメージセンサーは面積が約60%にとどまりますが、OLYMPUSではそうした不利な条件を補うために独自技術をシリーズに投入してきました。

E-5ではファインディテール処理と呼ばれる独自の高精細描写技術が採用され、1230万画素でも1600万画素と同等の実行解像度が実現されています。

Eシリーズに装着可能なズイコーレンズの中でもSHGレンズは「松レンズ」とも呼ばれて最上級の描写力を誇りますが、ファインディテール処理を採用したE-5はこのSHGレンズの性能も余すところなく発揮できるのです。

E-1からE-3、そしてE-5へと連なるEシリーズの機種は頑丈な防塵防滴仕様も他のカメラにない大きな特徴で、少々の雨では故障しない頼もしさがあります。レンズ交換式一眼レフカメラでは埃が混入しやすく、撮影した写真に埃が写ってしまうという欠点もありました。

OLYMPUSはフォーサーズシステムに伴ってダストリダクションシステムも開発し、圧電アクチュエーターの振動によって埃を振るい落とす仕組みをEシリーズの各機種にも採用しています。

現在では類似のシステムが他社製のデジタル一眼レフカメラにも導入されるようになりましたが、OLYMPUSはレンズ交換式カメラの泣き所だった埃の問題に早くから取り組んでいたのです。

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OLYMPUS Eシリーズ(一眼)のカメラの価格帯

Eシリーズの中では2003年発売の初代E-1と2007年のE-3、そして2010年に登場したE-5というE1桁シリーズがフラッグシップ機の位置にあります。

これに対して中級クラスのE2桁シリーズとして2008年にE-30が発売された他、2005年発売のE-300に始まるE3桁シリーズが廉価版として展開されました。

プロユースにも耐えられる高級機としてカメラマニアの人気を集めたE1桁シリーズは、いずれも発売当時のボディ実売価格が20万円前後に達した高価な製品群です。

E3桁シリーズは標準ズームレンズ付きでも実売価格が10万円を切る低価格を実現しながら、上位機種譲りの高画質や独自性能を追加したことで話題を集めました。

E-330ではレンズ交換式デジタル一眼レフカメラとしては初めて液晶モニターを使ったライブビュー撮影を実現させ、E-510にはボディ内手ぶれ補正機構も搭載されています。

フォーサーズシステムを採用したEシリーズとしては最後の機種となったE-5は発売からすでに8年が経ちましたが現在でも評価が高く、通販サイトではボディの新品が15万円台で売られています。

EシリーズのDNAを受け継ぐミラーレス一眼レフのOM-Dシリーズでは、E-M1 Mark IIが最新のフラッグシップ機として人気です。

価格は18万円台で高価な機種ですが、OLYMPUSがE-1以降に追求してきたデジタル一眼レフカメラの理想がこの1台に凝縮されています。