日本の地上波テレビ放送は、2011年7月にアナログ放送を終了しました。わずかに残った難視世帯も2015年春までにはデジタル放送に完全移行しています。

デジタル放送がはじまったときにはハイビジョンならではの高画質映像と、データ放送や電子番組表などの便利な機能に驚かされたものですが、それも今ではすっかり当たり前になりました。放送業界はすでに次世代の4K・8K放送の実現に向けて動き出しています。

一方で、地上デジタル放送の技術的な特徴は意外に知られていないのも事実です。この記事では、地上デジタル放送について解説します。

地上デジタル放送とは

地上デジタル放送は、映像や音声の信号をデジタルデータに変換して、地上の基地局を通して電波を発信するテレビ放送のことをいいます。テレビ放送をデジタル化することで、従来のアナログ方式では不可能だったハイビジョンの高画質と、CDなみの高音質をはじめ、データ放送や双方向番組、電子番組表といった便利な機能やサービスを視聴者に提供できるようになりました。

デジタル放送は音や映像を0と1を組み合わせた2進数の情報に変換し、信号の有無で伝達します。こうしてデジタル変換された信号は、演算処理でデータ量を圧縮して放送したり、記録したりすることができます。そのため信号の強弱で情報を伝えるアナログ方式に比べると、同じ情報量でも格段に少ない電波で放送することができます。

地上デジタル放送は、旧来のアナログ放送と同じUHF帯の電波を使いながら、映像と音声の信号をデジタル化します。そうすることで、アナログ放送の6倍もの情報伝達を可能にしています。したがってアナログ放送と同レベルの画質であれば、3つの番組を同時に放送することもできます。
これによりプロ野球の試合が長引いた時などに、メインチャンネルでは予定どおり次の番組を放送し、サブチャンネルで野球中継を続けるといった同時放送もできるようになりました。

リモコンチャンネルと周波数

地上波のテレビ放送は、UHF帯の電波で放送されています。
このUHF帯は周波数470MHzから710MHzまでの極超短波で、テレビ放送には13-52までのチャンネル番号が6MHz間隔で割り当てられています。

ちなみに1-12チャンネルはVHF帯(90-108MHzおよび170-222MHz)のアナログ放送に割り当てられていました。しかし、地上デジタル放送はVHF帯の電波を使わないため、チャンネル番号は13からのスタートとなります。

この13から52までのチャンネル番号はテレビ局への周波数の割り当てを示すもので「物理チャンネル」とよばれています。
アナログ放送では1つの物理チャンネルに1つの放送が割り当てられていましたが、デジタル放送は1つの物理チャンネルで複数の番組を同時放送することができるのです。そのため、テレビやビデオのリモコンチャンネルを従来のように割り当てると、重複などの不都合が生じます。しかも地上デジタル放送は、アナログ放送とちがって全チャンネルをUHF帯の電波で送信するため、物理チャンネルをそのままリモコンチャンネルに当てはめると、1~12チャンネルが欠番になってしまいます。そのためデジタル放送移行を機に、リモコンチャンネル番号を整理して全国的に統一する案が出されました。

しかし、かつてVHF帯を使用していた放送局が旧来の番号の使用権を主張したこともあり、やむをえず地域ごとに異なる番号が割り当てられることになりました。

そこで考案されたのが、リモコンキーIDというリモコン番号専用の割り当てシステムです。

デジタルテレビ放送では、リモコンキーIDの情報を放送波とともに送信し、それを受信したテレビやビデオが各地域のリモコンチャンネルを取得して、初期設定で番号を割り当てる仕組みになっています。そのようなわけで、たとえば東京ではNHK総合はリモコンでは1チャンネルで、物理チャンネルは24チャンネル、放送電波の周波数は539MHzとなっていますが、北海道では、TBS系列のHBC北海道放送がリモコンチャンネル1番を取得しています。

地デジアンテナを使ってPCでテレビを見る

お使いのPCが地デジチューナーを内蔵している場合、取扱説明書に従って地デジアンテナとB-CASカードを接続すれば、テレビ放送を見ることができます。

地デジチューナーが内蔵されていない場合は、PC専用のチューナーを接続し、地デジアンテナを連結すれば、テレビを視聴することができます。

パソコン用の地デジチューナーには、USBやワイヤレスなどの外付けタイプと、PCle(PCI Express)などの内蔵タイプがあります。いずれも取扱説明書に従って地デジアンテナを接続し、PCに専用ドライバをインストールしてセッティングする手順は同じです。セットアップは簡単ですから、アパート住まいならテレビを別途購入するよりも安上がりかもしれません。

ただしPC用の地デジチューナーはすでに製造を終了しているモデルが多く、現行品は多くありません。新品がほしい方は市場で入手可能かどうか確かめた方がいいでしょう。

PCで地デジ放送を視聴するもうひとつの方法は、ピクセラのワイヤレス対応地デジチューナー「PIX-BR310W」を無線ルーターに接続して、Wi-Fiで視聴することです。
PIX-BR310Wの対応OSはWindows8.1以降、iOS6.1以降のiPhoneとiPad、Android4.0以降のスマホとタブレットおよびKindle Fireとなっていいます。対応局も地デジだけでなくBS放送やCS放送もカバーしています。

ピクセラ ワイヤレス地デジチューナー PIX-BR310W

おすすめの地デジアンテナ

マスプロ電工 LS206TMH

LS206TMHは地上デジタル放送のUHF帯域(470~710MHz)の受信性能を特に重視した20素子の八木アンテナで、全長は1870mmあります。大型で感度が高いので、電波が弱い地域での受信に適しています。

マスプロ電工 LS206TMH

DXアンテナ UAH201

UAH201は板状の平面アンテナで、壁面に密着するように設置することができるため、強風に強く、家の外観をそこねることもありません。また、ボディカラーのバリエーションは4色あるので、住宅の外観に合わせて選ぶことかできます。

UAH201の感度は20素子相当とされていますが、LS206TMHには及びませんので、比較的電波が強い地域での受信に適しています。電波がやや弱い地域では、ブースター内蔵のUAH201ASがおすすめです。

DXアンテナ UAH201

マスプロ電工 MCT2B

MCT2Bはミッキーマウスの頭部をかたどった地上デジタルUHF帯域用の卓上アンテナです。

大きめの球体に2つの耳をつけたキャラクターの形状を利用して、内蔵アンテナの長さを確保しています。また、内蔵ブースターで信号を増幅することにより、アンテナ利得を二重に向上させています。

アンテナ部は左右45度回転するので、角度調整も可能です。カラーバリエーションは黒とピンクの2種類があります。小型の卓上アンテナですので、電波が強い地域での受信に適しています。

マスプロ電工 MCT2B

テレビ番組を視聴するアプリ

スマートフォンやタブレットをお持ちなら、専用アプリを利用してテレビ番組などの動画コンテンツを視聴することができます。

この項目では、テレビ番組を無料で視聴できるアプリを2つご紹介します。

TVer

TVer(ティーバー)はTBSテレビ、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京、フジテレビの民放5社によるテレビ番組の無料配信サービスです。専用アプリはiOS及びAndroidに対応しています。

また、パソコンで視聴する場合はFlash Playerが必要です。

基本的に無料で視聴できますが、番組にはCMが挿入されます。

GYAO!

GYAO!(ギャオ)はYahoo!JAPANの動画サイトで、専用アプリで80000本以上の動画コンテンツを無料で楽しむことができます。

動画のラインアップは豊富ですが、開始前に15秒から30秒のスポットCMが入るほか、バナー広告が表示されます。また画質はハイビジョンではなく、アナログ放送なみの480pですので、大画面では粗さが目立つのも事実です。

GYAO!専用アプリはiOS及びAndroidに対応しています。パソコンでの視聴も可能です。

TVerとGYAO!の専用アプリはいずれも無料で利用できますが、スマホやセルラー版タブレットで視聴する場合は、別途パケット通信料金がかかりますので、長時間の視聴はWi-Fiを利用するのが経済的です。

地上デジタル放送のまとめ

  • 地上デジタル放送は、映像や音声の信号をデジタルデータに変換して、地上の基地局から電波を発信するテレビ放送をいう。
  • デジタル放送のリモコンチャンネルは、各放送局の物理チャンネルと一致しない。
  • 地デジチューナーがあれば、地アンテナを使ってPCでテレビを見ることができる。