良い写真を撮ったつもりでも、あらためて見ると「全然良くない」と感じた経験はありませんか?「プロじゃないから」と諦める前に、カメラ撮影の基本を知ることが大切です。
カメラ撮影の基本が分かれば、誰でもプロのような写真は必ず撮れます。
今回は、基本のひとつである「構図」について紹介します。
目次
そもそも構図とはなにか?
構図とは「絵画・写真などで仕上がりの効果を配慮した画面の構成」のことです。
さまざまな形態には、幾何学的な原理があり、代表的なのが「遠近法」です。
写生の基本は遠近法です。遠近法がきちんと表現されているかどうかで「上手な絵」か「下手な絵」に分かれます。
写真においても、このような原理がいくつかあります。人や物が画面上にどうような割合でどのように配置されているのか?
画面の構成によって、見る人の印象は大きく変わります。
「良い写真だな」と感じる写真は、必ず「良い構図」をつくっています。そして、良い構図には、ある特定のパターンが存在しています。
写真撮影の基本
構図のパターンを紹介する前に、カメラ撮影の基本について考えてみましょう。
良い写真を撮るために必要なことは、「構図」「アングル」「光と影」です。
構図
構図のパターンについては後ほど述べますが、構図の中で「被写体」をしっかりと表現することが大切です。
例えば、人物を撮影する場合、全身を撮るのか上半身なのか、顔のアップなのかによって印象は全く異なります。その人の何を表現したいのかを明確にして、構図を考えて撮影しましょう。
アングル
多くの人は、写真を撮る時に、自分の立っている目線で撮影します。しかし、魅力的な写真には、普通の目線からでないアングルで撮ったものが少なくありません。
猫を人の目線から撮ってもインパクトは薄くなります。被写体や状況に応じて、アングルを変えることが、良い写真が撮れる方法のひとつです。
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光と影
写真は、「光と影の芸術」とも言われます。
光と影を上手に利用するのが、良い写真に仕上がる秘訣。逆光を狙いで撮影するケースもありますが、基本は物や人物に光が当たっていることです。
美人の顔が暗かったり、陰が当たっていては台無しです。
また、影も重要な表現の要素です。影のつきかた次第で、写真に奥行きや味わいが出てきます。
まずは、上記の基本を意識して、具体的な構図の作り方を見てみましょう。
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構図の基本12パターン
写真の構図には12の基本パターンがあります。
この基本を覚えておけば、誰でも「プロのような写真」を撮ることが可能です。
まずは、12パターンの中で基本中の基本である4つの構図を紹介します。
三分割構図
構図の王道とも言えるのが、この三分割構図です。
画面を縦と横に3等分します。漢字の「井」のように9分割します。この分割した線の交点に被写体や背景の線を合わせることで安定した画面になります。
この際注意したいのは、被写体の反対側にある脇役となる対象物を配置することが重要です。
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アルファベット構図
風景や物を撮影する時に効果的なのがアルファベット構図です。
「S字構図・C字構図」とも呼ばれる構図で、この文字の形を意識することでインパクトある写真が撮影できます。
例えば、曲がりくねった道や川ならS の字になるように画面に配置するとやわらかいイメージの写真になります。
また、お皿に盛り付けた料理などは、お皿全体を見せるのではなく、Cの字を意識してどちらか一方をカットするような構図にすると写真に迫力が出てきます。
対角線構図
対角線構図は、画面を斜めに分割し対角線に沿うように写真を撮る方法です。
例えば、空を背景に桜を撮る場合、桜の花が対角線上に並んでるような構図にすると空に向かって咲く印象が強く表現されます。
対角線を意識することで、画面に奥行きや動きが加わります。
日の丸構図
文字通り、被写体を日の丸の中心に配置する構図です。
写真のテクニックを知らない人でも、被写体を真ん中に置いて撮るのが一般的でしょう。つまり、一般的な分、工夫が必要なのが日の丸構図です。
画面いっぱいに被写体を置いたり、上下左右対称にしたり、被写体のまわりをぼかしたり、被写体にインパクトが出るように撮影することが重要なポイントです。
最低限この4つの基本パターンを知っておけば、それなりの写真に仕上がります。
次に、残りの8つの構図を紹介します。
二分割構図
画面を半分に割して安定感を与えるのが二分割構図です。
空と陸、空と海などシンメトリーな画面には最適な表現方法です。地平線や水平線などが真っすぐになるように注意することが大切です。
額縁構図
被写体を周りで囲んで強調する手法が、額縁構図です。
代表的なのは窓から見える景色のようなものです。単純な枠だけでなく、物や影などを利用して被写体を囲む方法もあります。
サンドイッチ構図
額縁構図の類似形と言えるのが、サンドイッチ構図です。
被写体を上下左右の何かが挟んだような形の表現方法です。
家並みの間から見えるスカイツリーや左右海に囲まれた桟橋など、被写体が挟まれることで、より強調される構図になります。
放射線構図
奥の一点に向かって放射線状に奥行きを出すのが放射線構図です。
ホームに停車している新幹線などを撮影する場合によく使われます。奥行きのある車両が停車している写真は、誰が見てもインパクトのあるものです。
電車に限らず、道や線路などを撮影する際には、放射線状の1点である「収束点」を意識して撮影するとステキな写真が撮影できます。
三角構図
奥行き感を出す場合に使われるのが、三角構図です。
放射線構図に似ていますが、三角構図は単純に、底辺が広くて上が狭い三角形を意識した構図です。
並木道や高層ビル群などに良く使われる構図で、ずっしりとした安定感が感じられます。
トンネル構図
被写体や見せたい箇所の周りを暗くしたり、囲んだりして強調するのがトンネル構図です。
木陰の中から見える人物や暗いところから見える景色など、まるでトンネルの中から見たような構図です。奥行きがありインパクトを与える表現です。
四分割構図
三分割構図よりも交点が多くなるのが四分割構図です。
交点が多くなることで、三分割構図よりも、外側に被写体を置くことができ、その分スペースを広く使った表現が可能になります。
例えば、水平線から昇る朝日を撮影する時に、朝日を四分割の右下の交点に配置することで、雲の表情を画面いっぱいに表現できます。
縦横の比率が4:3のカメラには、最適な構図と言えます。
黄金分割点
三分割構図に似た考え方で被写体を配置する方法が、黄金分割点です。
黄金分割点は、対角線に画面四隅から垂直の線を引いて交わった4つの交点(黄金分割点)に被写体を配置する方法です。
この4つの交点のどこに被写体を配置したらバランスの良い写真になるのかを考えながら撮影することで、撮影スキルもアップします。
本で構図を学ぼう
構図を学ぶには、実践することが大切ですが、構図に関する書籍から学ぶのも効果的です。
オススメの本は、「巨匠に学ぶ構図の基本-名画はなぜ名画なのか?」と「ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 構図を極める」の2冊です。
巨匠に学ぶ構図の基本-名画はなぜ名画なのか?
構図や配色が人の感情にどう影響するのかを研究してきた視覚デザイン研究所の内田広由紀氏による構図の解説本です。
巨匠の名画を材料に、構図を9つのパターンと14の要素に分け、さらに表現の仕方や人が受ける感情などについて記述されています。
例えば、左右対称のシンメトリー型は、構図としてはもっとも安定したもので、「威厳」「神聖」「伝統」などを表現していると解説しています。
構図の意味合いを理解するには、最適の本と言えるでしょう。
ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 構図を極める
写真に興味がない人でも「ナショナルジオグラフィック」の名を聞いたことがあるはずです。
アメリカのナショナル・ジオグラフィック社が1888年に創刊した雑誌で、地球が丸いことを証明した写真を掲載したことで有名になりました。
現在も、地理だけでなく自然や動物などのインパクトある写真で世界中の人々に愛読されています。
このナショナル・グラフィックが出版する「プロの撮り方」シリーズのひとつが、「構図を極める」です。
掲載されている全ての写真に、撮影時の状況や構図の意図や工夫などの解説がついています。被写体も日常にある物や景色が主体ですから、素人カメラマンでも構図を学ぶ参考になります。
構図についてのまとめ
- 構図次第で写真の印象は大きく変わります。そのためにも、まずは構図の基本を覚えましょう。
- 構図には、三分割構図・アルファベット構図・対角線構図・日の丸構図・二分割構図・額縁構図・サンドイッチ構図・放射線構図・三角構図・トンネル構図・四分割構図・黄金分割点の12パターンがあります。このパターンを意識して撮影するだけで、今までの写真とは全く違った写真が仕上がります。
- さらに、構図について書かれている本などを読んで、プロのような写真テクニックを身につけて下さい。