家を建てて、数年〜10年くらい経つと、外壁が劣化してきます。外壁が劣化すると、水漏れやひび割れなど家の中にまで被害が及ぶことがあります。

そのまま放置しておくと、いざ修理しようとしたときに、手が付けられない状態になっており、住宅の寿命を縮めてしまう恐れも。

定期的に外壁をリフォームすることで、綺麗で丈夫な外壁、住宅を維持できるでしょう。今回は、外壁のリフォームについて以下のような点についてご紹介いたします。

・外壁リフォームの種類や予算
・外壁リフォームの選び方
・DIYでの外壁リフォームについて

外壁リフォームの種類と予算

外壁のリフォームには補修、塗装、新調の3つの方法があります。

補修
外壁にひび割れが起きている時に行うのが「補修」です。費用目安は25〜70万円程度で、部分的な補修か全体補修かによって金額が大きく変わります。
塗装
その名のとおり、外壁の外側の部分の塗り直しです。外壁の洗浄、補修を行ったのち、コーティングとして行うのが外壁塗装です。費用目安は50~200万円程度と幅が広く、使用する塗料の種類や塗る面積、足場の組み立ての有無などによって大きく左右されます。
新調
外壁を全体的に張り替える場合や、上に新しい外壁を貼り付けるのが「新調」という作業です。費用目安は150〜300万円で、リフォームの中でも一番費用がかかります。

外壁リフォームの選び方

外壁の状態により、リフォームの種類が異なります。

しかし、素人が自分で見てもなかなか判断するのが難しいことが多く、どのリフォームをすれば良いか迷ってしまうでしょう。

中には悪徳業者もいて、コストがかかるやり方をすすめてくるかもしれません。自分自身でリフォームの種類を選べると余計なコストがかからず済みます。

外壁の劣化具合で外壁リフォームの種類を選ぶ

まずは、外壁の劣化具合を確認してみましょう。外壁でよく見られる症状は以下の通りです。

ひび割れ(クラック)

小さなものなら1箇所、1~3万円ぐらいから補修できます。

ただし、実際にはひび割れが1〜2箇所だけで起きていることは少なく、全面的に補修する場合も多くあります。

一つ一つのひび割れが細かい場合は、補修工事だけで済みますが、仕上げに塗装が必要な場合も多いです。

コーキング材の劣化

コーキング、あるいはシーリングを言われる素材の劣化で外壁がダメージを受けている場合があります。

コーキングやシーリングは外壁の隙間と隙間を塞ぐ粘土のようなものです。

雨水や異物の侵入を防ぐために、どの住宅でも用いられています。

しかし、5〜10年くらいで劣化するため、そのまま放置しておくと、雨水が家の中に染み込んできて、劣化を早めてしまいます。

劣化具合にもよりますが、全体を交換する場合と一部分、素材を足して補修する場合とがあります。

素材を足して補修する場合の方が安価ですが、数年を見越して補修するならば、全体を交換することをおすすめします。

現在、使用しているコーキング部分がそのままだと、その後、1〜2年で劣化します。

もし、そのコーキング部分を取り除かずに上から新しいコーキング材を注入すれば、下の部分(古いコーキング材の部分)だけ先に劣化します。

それに伴って、新しいコーキング材も一緒に割れたり、剥がれたりする可能性があります。

せっかく新しいコーキング材を注入しても、すぐに剥がれてしまっては意味がありません。

作業時間とコストはかかってしまいますが、古いコーキング材を取り除き、新しいものを注入する作業の方が持ちが良いのは確実です。

汚れがひどい、退色している、白っぽい粉が浮き出ている

外壁全体に汚れが広がっていたり、汚れが強力だったりする場合は部分的な補修では対応できません。

退色している場合も同様、「塗装」し直す必要があります。

また、汚れが目立たなくても、チョーキングと呼ばれる白い粉(塗料)が浮き出ていたり、触った時に手についたりする場合も塗装が必要です。

チョーキングは紫外線や雨の影響で外壁に塗られている塗料(塗膜)が劣化するため、おこります。

膜が剥がれてきていることを意味し、そのまま放置しておくと、外壁の防水性が落ちてしまい、雨水が住宅に侵入しやすくなります。

どんな状態対応できるのが新調

部分的に補修したり、塗装してカバーすることもできますが、あまりに広範囲だったり、劣化具合がひどい場合には、「新調」するのが良いでしょう。

補修や塗装でカバーできる劣化はもちろん、それ以外の場所がどのような状態であっても、新調すれば、綺麗な状態に戻ります。

一から張り替えたり、重ね張りをしたりするためです。

自己判断ができない場合

色々な劣化具合について述べましたが、自分だけでは判断し切れないという場合は業者に頼んで、外壁の劣化具合を診断してもらいましょう。

そのとき、お願いするのが、「外装劣化診断士」と呼ばれる人々です。

外装劣化診断士は、住宅の適切な診断をリーズナブルで的確に行う有資格者です。施工会社と違う立場から住宅の劣化具合を診断しますので、中立な立場で適切なリフォームを提案してくれます。

耐久年数で外壁リフォームの種類を選ぶ

現状の外壁の劣化で外壁リフォームの種類を決めるのは基本ですが、それ以外の判断基準として、将来的な劣化を防ぐ年数を考える方法もあります。

これから外壁リフォームを行おうと思っている住宅に今後どのくらい住む予定かを考えて、種類を選ぶ方法です。

「あと少しだけ住んで、数年後には引越しをする、建て替える予定」という人もいれば、「息子や娘に家を渡したいので、次回の工事はなるべく後の方がいい」、「自分たちがあと20〜30年は住む予定」など事情は様々です。

補修は、部分的なものと全体的なものがありますが、あくまで「劣化している部分を重点的に直す」のが基本です。

直した部分は綺麗になっても、他の部分がすぐ劣化する可能性はあります。

補修工事の耐久年数は最大でも5年程度と言われています。

家の場所や環境によっては、それよりももっと早く劣化し始める可能性もあります。

塗装は補修に比べると耐久年数は長く、15年程度まで持つと言われています。

塗装する際、補修や洗浄してから塗装することもあります。

外側だけではなく、その中の部分も少し補修してからコーティングしているため、耐久年数が少し長くなります。

一般に、「10年くらいを目安に外壁塗装をするといい」と言われていますので、10〜15年を目安に塗り替えると良いでしょう。

もし、「できるだけ次回の工事を先延ばしにしたい」という希望がある場合は、思い切って新調するのが良いでしょう。

外壁をまるごと入れ替える(張り替える)ので、どのような劣化にも対応しています。耐久年数も一般には、30年以上と言われています。

予算や次回の工事のことを考えて、どの工事を行うか考えると良いでしょう。

DIYでリフォームも可能?

外壁リフォームは数十万以上、新調する場合には200〜300万円以上かかる場合もあります。

家の内部の劣化や生活に必要な家電などの買い替えなども含めると、コストがかかるため、外壁だけにお金はかけられないという人もいるでしょう。

そのような人は、「DIYで外壁をリフォーム(塗装)することはできないだろうか」と考えるでしょう。実際にDIYで外壁リフォームができるのか検討してみます。

予算を安く抑えられる

DIYで外壁塗装する場合は30〜50万円程度の費用で行うことができます。

施工業者に頼むと、人件費がかかるため、どうしても自分で行うよりも費用がかかってしまいます。

30〜50万円の費用の内訳は、主に道具や足場です。ペンキや刷毛、ローラーなどはDIYに欠かせない道具です。

また、地上から離れた高い場所を塗装し直すこともあるため、足場は組むようにしましょう。安全対策と、細部まで綺麗に塗るためです。

この足場に関しては、自分で組み立てるのではなく、「足場を組み立てる専門」業者に頼むようにしましょう。

足場を自分で組み立てるデメリットとしては以下のようなものがあります。

  • 素人が設置すると、組み立てが弱い
  • ぐらついて、作業に集中できず、危険である
  • 設置時に壁を傷つけてしまうことがある(業者補修が必要となってしまう)
  • 設置するのに時間がかかる

足場に関しては自分で組み立てるメリットはあまりありません。

業者に頼むと費用はおおよそ10万円です。この費用は安全のためにも確保しておきましょう。

経験と知識が必要

DIYで外壁塗装を行う場合にはそれなりに経験と知識が必要です。

施工業者ほど詳しくなくても、普段からDIYを行っていたり、道具や用具の勉強をして知識が豊富だったりしないと、実際に外壁塗装をするのは難しいでしょう。

DIYで外壁塗装を行う理由は様々で「自分で好きな色を使って細かい調整をしたい」「DIY自体が好きで、楽しみながら外壁塗装をしたい」という場合もあります。

実際、塗装を行うと、塗料選び、道具選びも自分でやらなければなりません。塗料の種類や特徴などを知った上で選べなければ、またすぐに業者に頼んでやり直すことになってしまいます。

また、経験がないと、塗りムラが激しく、そのままの状態で工事を終われなくなってしまうこともあります。

作業直後は綺麗に塗れていたとしても、2、3年後にはすぐに剥がれてきてしまった、コーキング材で補修したはずの場所がボロボロになってしまった、などという時間差での不具合がでてくることもあります。

DIYでは、自分の好きな色を選んで塗れるのも一つのメリットですが、実際に外壁に塗るとイメージが違う、ということも起こりやすいので注意が必要です。

スケジュールの管理が大切

施工業者に頼んだ場合は、納期が存在しますので、ある程度納期を守って作業を計画的に進めてくれます。

しかし、DIYで行う場合は納期を管理する人がいません。

そもそも納期がないので、ダラダラとスケジュールが延びる可能性が高くなります。

予定通りに進めば、約3ヶ月で仕上がると言われていますが、実際は延びる場合が多いです。

天候に左右されたり、自身の予定が立て込んでいてなかなか進まなかったり、という事態が起こります。

それだけではなく、自分だけで進めていると、思わぬ不具合などが出てきた場合にその対応に時間がかかることもあります。

業者であれば、不具合の対処にも慣れているため、ベテランの職人が指示を出し、急ピッチで対応できますが、DIYの場合は異なります。

外壁を塗装している間はずっと足場を組んだまま、養生シートも設置されたままになっていますので、数ヶ月、あるいはそれ以上の期間、日が当たらず暗い中で過ごさなければなりません。

DIYで外壁塗装を行う際には、自身のスケジュールを管理して、事前に不具合への対策も考えてから、作業に移るようにします。

知識と経験があり、安価に仕上げたいという人にはDIYはおすすめですが、少しでも不安がある場合は、将来的な耐久性も考えて、業者に頼むのが良いでしょう。

外壁リフォーム まとめ

  • 外壁のリフォームには補修・塗装・新調の3種類がある
  • 補修は部分的、あるいは全体的に劣化した部分を直す役割があるが耐久年数は短い
  • 新調は将来、20〜30年先に次の工事をしたい場合におすすめ
  • 外壁リフォームをDIYで行う場合には、素人ならではのデメリットがあることも考えておかなくてはならない