2016年7月、国内向けVHSビデオデッキを唯一製造していた船井電機が、最後の機種となるDXR170の生産を終了しました。

VHSは多くの努力と幸運によって家庭用ビデオ市場の一時代を築いた日本の物作りの象徴でした。

そのVHSも、今では他のテープ系メディアと同様にDVDやBDなどのディスク系メディアに駆逐され、絶滅の危機に瀕しています。かつては録画再生用のデッキだけでなく、ビデオカメラも飛ぶように売れていたVHS。

自宅には大切なテープがまだたくさんあるという人も多いのではないでしょうか。そこで、ここではVHSのビデオデッキを入手する方法を中心に解説します。

VHSとはそもそもなにか

まず、ノウハウ・初心者向けの情報をご紹介いたします。商品の紹介を先に知りたい方はこちらをクリックしてください。

VHSビデオデッキレンタル

VHSは1976年に旧日本ビクター(現・JVCケンウッド)が開発した、家庭用のビデオテープレコーダー(VTR)の映像記録方式です。語源は当初、「Vertical Helical Scan」という記録方式を示す専門用語とされていましたが、のちに「Video Home System」の頭文字に定義を改めました。

VHSが登場する以前には「Uマチック」というビデオレコーダーの統一規格が存在しましたが、大型で高価だったことから、家庭用の需要は伸び悩みました。

そこでソニーは1975年にUマチックを改良したベータマックス方式のビデオレコーダーを発売し、家電各社にベータマックスを新たなVTRの統一規格に採用するように呼びかけました。

しかしビクターはベータマックス方式の収録時間の短さやメカの複雑さに疑問を抱き、もっと量産しやすく長時間録画ができるシステムとして、VHS方式を開発しました。

VHSは画質や基本性能がベータマックスより劣るとされていましたが、構造が単純で生産が容易だったことや、ビクターがVHSの仕様を公開したことが功を奏して、最終的にVHS方式がベータマックスを圧倒し、家庭用VTR市場の覇権を握ることになりました。

またVHSの欠点とされていた音質や画質の悪さも改良が進み、高音質の「VHS Hi-Fi」や、水平解像度を倍加した「S-VHS」、デジタル方式の「D-VHS」など上位互換の新規格によって着実に改善されました。

しかし2000年以降になるとDVDやブルーレイなどのディスク系メディアの普及に押され、デジタルハイビジョン放送にも対応できなかったことから、急速にシェアを失いました。

そして2016年に国内向け最後のVHSビデオデッキDXR170の生産終了によって、VHSは誕生から40年目という節目の年に、国内市場から完全に消え去ることになったのです。

VHSの選び方

VHSビデオデッキの国内向け生産はすでに終了していますので、ビデオデッキを入手する手段は、リサイクルショップなどで程度の良い中古品を探す以外にありません。

店頭の商品を購入する際は、不要なテープを持参して、動作を確認することをおすすめします。

またショップの展示品は外装こそクリーニングされていますが、内部までクリーニングされることはまずありません。そこで購入を検討する際は、明るいペンライトを持参して、テープの挿入口や通風口などから内部の汚れ具合を確認してください。中がホコリまみれだったり、タバコのにおいがする場合は、検討対象から外しましょう。

他のチェックポイントとしては、ボディの傷や汚れが少ないこと、ケーブルの接続プラグやその周辺に汚れや腐食がないこと、ボディのネジに外した形跡がないこと、リモコンがきちんと機能すること、などがあります。

次に機種の選び方ですが、国産有名メーカー製に限るのは当然として、できれば 「Hi-Fi」や「S-VHS」と表記されたモデルを選んでください。特に「S-VHS」はVHSの後期に登場した高画質の規格で、比較的年式の新しい高級モデルが多く、部品や造りにもコストがかかっています。

またS-VHS対応モデルの多くはS端子を搭載しており、ふつうのピンケーブルよりも接続が簡単で、高画質映像を出力することができます。

ただ、多くは製造から10年以上経過している中古品ですので、ショップで問題なく動作したのに家に持ち帰ったとたんに動かなくなった、 というトラブルもありえます。

そこで購入する際は動作だけでなく、ショップに中古保証があるかどうかを確認してください。中古家電で保証のない商品はなるべく避けたほうが無難です。

VHSの入手方法

ショッピングモールでVHSを見つける

長引く不況の影響もあって、中古家電を安く買えるリサイクルショップが全国的に増えています。

商店街やショッピングモールにも、必ずと言ってよいほどリサイクルショップがあります。中古家電を探している方は、お近くのショッピングモールに直接足を運んでみましょう。

実店舗が近くになくても、ネットショップという手があります。

VHSのビデオデッキは現在でも比較的流通量が多く、Amazonや楽天などにも多くの中古ビデオが出品されています。できれば個人の出品ではなく、大手リサイクル店が出品している商品で、保証つきのものを選んだ方がよいでしょう。

フリマアプリで見つける

「メルカリ」などのフリマ(フリーマーケット)アプリでも、VHSの中古ビデオデッキが多数出品されています。

「メルカリ」は個人間の売買が基本ですので、大手ショップのような保証はありません。

動作確認も出品者の自己申告を信用するしかありません。その点は不安要素ではありますが、「メルカリ」の場合はトラブルの際に購入者が泣き寝入りすることがないようにしっかりとした対策がとられています。

たとえば購入者が支払った代金は、商品が購入者に届かなければ、出品者には支払われません。また商品に問題があった場合も、購入者に過失がなければ返品することができますので、フリマ未経験の方でも安心して入札することができます。

オークションでVHSを手に入れる

中古家電を購入する手段としては、「ヤフオク」に代表されるネットオークションも人気です。

最近はメルカリの躍進に押されて注目度は下がり気味ですが、VHSビデオデッキの出品数は豊富です。

運が良ければ、リサイクルショップよりも安く手に入る可能性があります。ただしオークションの場合、過去に落札実績がなかったり、新規IDの方は出品者から入札を断られる場合があります。

また、オークションでは残り時間がわずかになると他の購入希望者と秒単位の入札競争になることも多く、冷静さを保てないと興奮して予定外の高値で落札してしまうことにもなりかねません。

オークションではくれぐれも自制心を失わないように気をつけてください。

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VHSビデオデッキレンタル

VHSのビデオデッキが欲しいけど使用頻度は高くない、という場合はレンタルも可能です。

VHSデッキを扱うレンタルショップとしては、レンタルカメラショップやグリーンヒナタなどがあります。商品は動作保証されているので、安心して利用することができます。

レンタル商品のデメリットとしては使用期間が短いことと、必要なときに「貸し出し中」になっていて利用できない場合があることです。

またレンタル料と送料を含めると、リサイクルショップで似たようなモデルを購入するのと変わらない金額になることもあるので、注意が必要です。

参考リンク
レンタルカメラショップ
グリーンヒナタ

VHSのまとめ

  • 日本国内向けのVHSビデオデッキは2016年までに全て生産を終了しています。
  • 現在、VHSビデオデッキを購入するにはリサイクルショップやフリマ、ヤフオクなどで中古品を探すしかありません。
  • VHSビデオデッキを扱うレンタルショップもあります。
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