最近の家庭用冷蔵庫は、食品の種類ごとに最適の保存環境を設定するために収蔵庫の多室化が進んでいます。

容量の大きな上位モデルでは冷凍室を分割し、製氷室を独立させた6ドアタイプが近年のトレンドになっています。各室の設定温度は、メーカーや機種によってさまざまですが、各社のアピールポイントは「真空チルド」や「微凍結パーシャル」「メガフリーザー」などの冷凍機能がメインで、野菜室のトレンドや正しい使い方については、あまり知られていないのが現状です。

最近の冷蔵庫の冷蔵室と野菜室とでは、何がどうちがうのでしょうか。また野菜室には、種類を問わず、全ての野菜をいっしょに保存して良いのでしょうか。ご存じのように生野菜は、とてもデリケートな食材です。保存方法を誤ると、品質の劣化は避けられません。

そこで、ここでは野菜を上手に保存するために、知っておきたい野菜室の正しい使い方と、東芝とシャープが製造している冷蔵庫を例に、野菜室の最新トレンドを紹介します。

冷蔵庫の野菜室の温度

JIS(日本工業規格)では、冷蔵庫に関するさまざまな用語の意味を規定しています。野菜室については、「0度から16度を温度帯とする冷蔵室」という目安を定めています。

実際には、野菜の保存に最適な温度は、野菜の種類によって変わってきます。たとえば夏野菜の多くは0度近い低温が良いとされていますが、スイカやナス、トマトなどは低温に弱く、適温は7~8度ぐらいといわれています。湿度についても、葉物野菜では高めが良く、逆にカボチャやタマネギなどは湿度が高いと腐敗しやすくなってしまいます。

そこで冷蔵庫メーカー各社は最適な保存環境を研究し、その成果と技術を、JIS規定の範囲内で、自社の製品に適用しています。メーカー各社が公表している野菜室の温度はパナソニックの「Wシャキシャキ野菜室」で約3度~8度。日立製作所の「新鮮スリープ野菜室」は約3度~7度。シャープの「雪下シャキット野菜室」は2度~5度。東芝の「もっと潤う 摘みたて野菜室」は3度~5度となっています。

参考
パナソニック冷蔵庫 Wシャキシャキ野菜室
日立冷蔵庫 新鮮スリープ野菜室
シャープ冷蔵庫 雪下シャキット野菜室
東芝冷蔵庫 もっと潤う 摘みたて野菜室

シャープの野菜室は雪下貯蔵をもとにしたもの

冬の豪雪地帯では「雪下貯蔵」という、積雪を利用した野菜の長期保存が行われています。厚く積もった雪の下には光も冷気も届きません。地面付近は真っ暗で温度は0度、湿度はほぼ100%で安定しています。

この環境で野菜は冬眠状態となり、養分をほとんど消費せず、ゆっくり熟成して甘みを増すことが知られています。

シャープの冷蔵庫の「雪下シャキット野菜室」はこの原理を応用して、低温高湿度の貯蔵環境を実現し、野菜の鮮度を保ちつつ、熟成による甘みの増幅を可能にしています。

野菜室を低温高湿度に保つためには、じゅうぶんな冷気と水分が必要です。そこでシャープは野菜室の上にチルドルームを、向かって左に氷室とタイマー式冷凍室を、下に大容量の冷凍庫をレイアウトしました。

さらに野菜室の外壁にも冷気を通す「5面輻射冷却」と、野菜室から水分を逃さない「うるおいガード」により、約2度~5度の安定した低温と高湿度により野菜の鮮度を長期間保ちながら甘みを増すことができる理想の貯蔵環境を実現しました。

また「5面輻射冷却」を実現するために野菜室を中央にレイアウトした結果、野菜の出し入れがしやすくなり、容量も見た目以上にたっぷりしています。しかも「雪下シャキット野菜室」の低温化には、各冷凍室の冷気を利用するため、省エネ性能の低下もありません。

もちろんシャープ自慢のプラズマクラスターイオンも搭載しており、雑菌の繁殖やいやな臭いを抑制しています。

東芝の野菜室は温度と湿度も管理

東芝の冷蔵庫の上位モデルは、冷蔵室と冷凍室にそれぞれ専用の冷却器を備えた「W(ワイドレンジ)-ツイン冷却」方式を採用しています。

他社の冷蔵庫は、1つの冷却器で庫内全体を冷やすシングル冷却方式が主流です。このシングル冷却は構造が単純でコストも抑えられますが、冷凍室と冷蔵室に同じ冷気を配分するため、野菜室の温度も-20度以下の冷気でコントロールしなければなりません。

一方、東芝の「W-ツイン冷却」方式では、冷蔵室や野菜室には-10度の冷気を、冷凍室には-25度の冷気を、というふうに効率よく供給できるので、冷気の無駄がありません。

最新モデルでは冷却器も改良されて高効率仕様になり、省エネ効果をいっそう高めています。そして「W-ツイン冷却」方式によって実現したのが、東芝独自の「もっと潤う 摘みたて野菜室」です。

もともと東芝の冷蔵庫は野菜室の使い勝手と性能の良さに定評がありました。最新の「もっと潤う 摘みたて野菜室」では、ドアを開閉する頻度や、野菜の貯蔵量のちがいによる温度や湿度の変化をセンサーで感知して、冷気と水分をコントロールし、野菜の保存に最適な環境を生み出しています。

通常の冷蔵庫では、冷気そのものが野菜を乾燥させる一因になりますが、東芝の冷蔵庫は「W-ツイン冷却」方式で無駄な冷気を抑えると同時に、ミストチャージユニットで野菜に潤いを与え、庫内の乾燥を防いでいます。

このミストチャージユニットは、レインウェアの「ゴアテックス」などでおなじみの防水透湿性素材(多孔質フィルムシート)を搭載し、冷気が直接野菜に当たるのを防ぎながら、水蒸気だけを透過させ、野菜室に必要な潤いを保っています。

しかもこの透湿効果は、余分な水蒸気を野菜室の外へ放出することもできるため、結露によって野菜がふやけて細胞が破壊される「水腐れ」もありません。

さらに光触媒「ルネキャット」で、野菜を劣化させるエチレンガスを分解して除去しますので、野菜の鮮度とおいしさを長時間保持することができます。

野菜室の温度って何度?各メーカーの野菜室の特徴を合わせて解説
冷蔵庫購入の際の注意点と実はよく知られていない設置場所の注意点
小型冷蔵庫ってなに?選び方と冷蔵庫のタイプ おすすめ商品を解説
冷蔵庫の右開きのタイプの特徴とメリット おすすめの品を解説
冷蔵庫の適正温度と保ち方は?正しい使用方法と注意点を解説
冷蔵庫で400lの容量のものを選ぶ際のコツとメーカーごとの特徴
冷蔵庫は省エネで選ぶ?冷蔵庫を選ぶ様々な基準とそれぞれの特徴
定格内容積ってなに?日本製と海外製冷蔵庫の容量や機能などの違い
冷蔵庫の配置の際に必要な隙間と必要とされる理由 注意点を解説
冷凍庫の大きい冷蔵庫でおすすめのメーカーはどこ?特徴のご紹介
冷蔵庫のガラスドアの魅力とデメリット ガラスドアでおすすめの製品

野菜室での保存に適しているもの

一般的に冷凍冷蔵庫の野菜室は、冷蔵室よりも温度と湿度が高めに設定されています。これは野菜の多くが低温と乾燥に弱いためですが、中には野菜室に入れないほうがいい野菜もあれば、逆に野菜室より冷蔵室のほうがいい野菜もあります。

野菜室の温度が適温のものは、トマトやキュウリ、ピーマン、ナスなどの夏野菜をはじめ、キャベツやレタス、ほうれん草などの青菜類、ブロッコリーなどです。そのうち葉物野菜やブロッコリーは、野菜室よりも低温の冷蔵室のほうが長期保存に向いています。

また根菜類の多くは低温を嫌いますが、ニンジンやダイコンは、野菜室でも冷蔵庫でも保存可能です。ただし葉がついていると、養分や水分を根から吸い取ってしまうので、必ず根の部分と切り分けて保存しましょう。

またニンジンは湿気に弱いので、切らずに保存する場合は、新聞紙にくるんで貯蔵することをおすすめします。

野菜室の温度ではないほうがいいもの

野菜の中には、冷蔵庫に入れるよりも常温で保存したほうが良いものも少なくありません。

たとえばサツマイモやカボチャは寒さに弱く、冷蔵庫では野菜室でも品質の劣化や腐敗などの低温障害が発生する可能性が高くなります。

トマトも完熟していれば冷蔵保存できますが、青いものは冷えると熟さなくなるので、常温で赤くなるのを待ってから冷蔵庫に入れてください。タマネギやジャガイモなども冷蔵庫の温度は合いません。夏場以外は屋内の冷暗所に保存しましょう。

野菜室の温度まとめ

  • 冷蔵庫の野菜室は、冷蔵室よりも温度と湿度が高めに設定されています。
  • シャープの冷蔵庫は低温高湿度の「雪下シャキット野菜室」が特徴です。
  • 東芝の冷蔵庫は冷気と湿度をコントロールする「もっと潤う 摘みたて野菜室」が特徴です。
  • 野菜の種類によっては、野菜室では保存に適さない場合があります。