この記事では、バネ棒の基本的な知識から、バネ棒の購入や脱着する際の注意点を中心に解説します。
時計のベルト調整や交換をする際、お店に依頼するかたもいれば、自分で交換したいという方もいらっしゃいます。時計のベルト調整や交換をするにあたり、バネ棒の脱着は必須の作業です。
また、バネ棒は手垢や汗で錆びてくるので消耗品になります。したがってバネ棒本体の交換も必要になってきますが、バネ棒の選び方や取り外し方を覚えればご自分でベルトの調整や交換ができるようになります。
目次
バネ棒は腕時計には欠かせない大事な部品
「時計のバネ棒」と聞いて、イメージができない方は、まずバネ棒がどのようなものなのか確認しましょう。バネ棒とは時計とベルトを留める役割をする金具を指します。
名前の通り、棒の両端にバネがついたもので、時計とベルトを固定する為になくてはならないものです。一口にバネ棒といっても時計の種類や用途によって形状や長さが違ってきます。
大切な時計を傷つけない為にも、バネ棒がどのようなものなのかを理解し、正しい扱い方を身につけるとよいでしょう。
時計のベルトはバネ棒で固定されている
時計のベルトと時計本体はバネ棒で固定されており、お持ちの時計を裏返して、時計本体とベルトがつながっている部分をよく見ると、ベルトの根元が筒状になっています。
筒部に棒を通し、時計の「ラグ」に棒を入れ込むことで、時計のベルトを固定するようになっています。「ラグ」とは、時計本体についているベルトやブレスレットを時計に結合するための部分です。
時計のケースと一体型になっているものや、溶接でつけられているものなどがあります。棒をラグに留める時、ベルトを留める棒がラグの幅よりも短ければベルトを留めることはできません。
逆に棒が長いとラグに引っ掛かってしまい、入れることができません。ラグ幅よりも長い棒の両端にバネを設け、棒が伸縮するようになっています。
このようにして、ラグの穴にフィットするようにしたものがバネ棒です。
ベルトの調整や交換をするときはバネ棒外しは必須アイテム
時計のベルト調整、交換をする際にバネ棒を取り外す必要があります。バネ棒外しにはI型とY型があり時計によって使い分けるようになっています。
時計のケースサイドにバネ棒の穴があいているタイプの時計はI型のバネ棒外しを穴に入れ、バネ棒を押し込むことによってベルトがはずれるようになります。
時計のケースサイドに穴がない場合は、Y型のバネ棒外しをラグとバンドの間に入れ、内側に押し込むことにより、バネ棒が押し込まれ、ベルトが外れるようになります。
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バネ棒の形状は時計の形や用途によって様々
バネ棒は時計の形状や用途によって使い分けられており、様々な種類があります。まずわかれるのは、時計のケースサイドに穴が開いているか開いていないかです。
ケースサイドに穴が開いている場合はバネ棒につばが1つついているかもしくはついていないはずです。このタイプは時計の外側から穴をつくことによって取り外しができます。
つば無しのバネ棒をケースサイドに穴がない時計に使うとベルトが取れなくなる恐れがあるので注意が必要です。ケースサイドに穴が開いていない時計にはつばが2つ付いたバネ棒を使用します。
このつばにY型のバネ棒外しをひっかけることによって脱着する仕組みになっています。
現代では、様々な色のベルト替えてを楽しむことを付加価値として販売している時計も多くあり、中には工具を必要としない、ワンタッチで取り外しができるバネ棒が使用されています。
ダイバー用や婦人用等、時計の用途によって様々な種類があるため、取り外した際は見てみてください。
バネ棒やバネ棒外しはどこで買えばいいのか?
腕時計のバネ棒は時計店やホームセンタで購入可能です。最近では100均で売っているところも増えてきました。
時計売り場がない店舗でもメガネ売り場などに売っている場合があり、近くに店舗がない場合でもネットショップで買うことが可能です。
バネ棒とバネ棒外しの価格
バネ棒の価格は材質や形状にもよりますが300円前後で購入することができます。基本的にバネ棒の材質はステンレス製ですが、いくら錆に強いステンレスでも長年の使用では錆は避けられないもの。
最近では汗や水による錆を考慮したチタン製のバネ棒も出てきています。バネ棒外しは安いもので200円から高いもので1000円前後です。
中にはバネ棒とバネ棒外しのセットで200円などの商品もあります。
バネ棒を購入する際の注意点
バネ棒を購入する時には事前に自分が持っている時計のバネ棒の形状や長さを確認しておくことが大切です。
間違ったバネ棒を装着しようとすると、時計を傷つけたり、ベルトが外れなくなってしまう恐れがあります。尚、バネ棒の長さはバネが開放された状態ではなく、目一杯押された状態で計測する必要があります。
時計のラグの幅を計測するのも1つの方法です。バネ棒の形状や長さを事前に確認できない場合は失敗しない為にも時計店に行って相談するとよいでしょう。
販売員の方が適正なバネ棒を案内してくれることが多いです。
時計の大きさや種類によってバネ棒の長さや太さが変わる
バネ棒の長さは時計のラグの幅で決まります。長さを間違えると、ラグにバネ棒が入らなかったり、逆にすぐに取れてしまうトラブルにつながります。
バネ棒の太さは時計の種類によって決まり、一般的な時計は太さ1.5㎜のバネ棒が多く使用され、防水機能が備わった時計はもう少し太めの1.7㎜や2mm前後、ダイバーなどの完全防水時計なると、2.5㎜以上のバネ棒が使用されることもあります。
婦人用の小さい時計や金属ブレスレットの時計には1mmや1.3㎜の細めのバネ棒が使用されているのが一般的です。
バネ棒を外すときはバネ棒外しを使う
バネ棒を外す際、バネ棒外しがなくても他の道具で代用することは可能です。ラグに穴が開いているタイプの時計の場合は安全ピン、穴が開いていない場合はマイナスドライバーを使えばとることができます。
しかし、専用工具を使わないと時計を傷つける恐れがあるのでお勧めしません。バネ棒外しはバネ棒を外すために設計されています。
値段も高くないので、ベルトを頻繁に変える人は特にバネ棒外しを1つ買っておくことをお勧めします。
尚、高級時計などは時計に傷をつけたときのショックが大きく、価値も下がってしまうため、時計専門店で交換してもらうほうが無難です。
バネ棒についてのまとめ
- バネ棒はベルトと時計を留める為に欠かせない部品であり、長さや太さ、形状が時計によって異なります。
- 交換する前に必ず確認を行い、分からない場合は時計専門店に持っていき相談しましょう。
- 確認ができた方は時計専門店だけでなく、ホームセンターやネットショップで購入することができます。
- バネ棒を脱着する際には専用のバネ棒工具を使いましょう。
- 代替工具で対応することもできますが、時計を傷つけたり、破損させてしまう恐れがあります。
- 高級腕時計は時計専門店に交換を依頼することをお勧めします。