こちらの記事は2020年10月25日に加筆修正いたしました。

加筆修正箇所
・気圧による種類
・潜水用防水との相違
・防水性能の基礎的なこと
・「 WATER RESISTANT」とは
・水の温度には注意

防水性能の基礎的なこと

時計=超精密機器という認識は、誰もが時計に対して持っているイメージの1つでしょう。
精密機器が水に弱いことは言うまでもありませんが、少しでも耐水性や防水性のある腕時計を作りたい、という時計ブランドやメーカーの覚悟が、現代の時計に少しずつ現れてきています。
水仕事や手を洗う際に、いちいち腕時計を外さないといけないのは遠い昔の話となり、今やそんなことをしなくとも、問題なく腕時計が使える時代です。
「防水」という1つの機能性が進化したことにより、腕時計は私たちにとって、さらに身近な存在となりました。
現代の腕時計に携わっている、知られざる防水力について、その特徴と実態を詳しく解説いたします。

10気圧防水とは

気圧防水とは

腕時計の購入を検討したり、詳細について調べたりしていると、搭載されている機能の中に「○気圧防水」という言葉を見かけることがよくあるでしょう。
字からその意味を何となく想像することはできても、そのはっきりとした機能性については、知らない人も多いものです。

防水機能の携わった腕時計として市場に出回っているものは、通常の日常生活の中での防水レベルを示すものであり、汗や手洗い、洗顔程度の防水を意味します。

腕時計の防水機能は、主に腕時計に水がかかる際の気圧で表現され、1気圧=10mと換算し、近年目にすることが多い「10気圧防水」の腕時計とは、100mの水圧に耐えることができるということです。
また、2~8気圧の防水機能がある時計を、「生活防水能力がある時計」と判断します。

防水性能の基礎的なこと

腕時計は精密機械で、ムーブメントは小さなパーツがたくさん集まっている。
正確に時を刻む時計の内部に水が入ってしまったら、時計としては機能が働かなくなります。
水分が蒸発すると風防内部が曇ってしまい、針や文字盤が水分の影響で腐食してしまいます。
いちばんの問題は内部のムーブメントに使われている金属にサビが生じること。
放置していたら、やがて機能面に多大な影響を及ぼすことになります。
時計としての機能がなくなったり、時間を正確に測れない時計だと、時間を正確に知刻む価値は、ほぼ無いです。
それを防ぐためにも、腕時計内部への浸水を避ける、防水性能は非常に重要です

気圧による種類


3気圧5気圧防水10気圧防水
日常生活用防水ある程度の水圧に耐えられる

3気圧5気圧防水

どれほどの防水力があるかは、試験によって確認され、3気圧や5気圧防水機能がある腕時計は、
「日常生活用防水」としての能力が認められたものです。

日常的に水に触れる習慣として行われる、手洗いや洗顔による水の飛散を防水することができるレベルのものをいいます。

10気圧防水とは

1番見かけることの多い10気圧防水とは、当然ながら3気圧や5気圧よりも防水力がある腕時計ということであり、ある程度の水圧に耐えられるということになります。

水に浸かってもいいとされる防水力ですが、プールや海での水圧に耐えられるほどではありません。
10気圧防水の腕時計を着用したままプールや海に入れば、壊れてしまう可能性が高くなるので、注意が必要です。

また、日常的に水を使用することが多い人などは、最低でも10気圧防水レベルの腕時計がオススメです。

気になる部品・構造


防水式の時計にはいくつか気になる部品・構造があります。

パッキング

大事な腕時計を水から守っている立役者は、「パッキング」と呼ばれる部品です。

腕時計の防水性は、ムーブメントが収納されている裏蓋部分の密閉度の高さと、このパッキングの有効性によって変わることになります。

使用されるパッキンにも種類があり、腕時計のモデルによって形や素材、数が違うパッキングが使用されますが、劣化してくれば当然ながら防水機能も低下するものです。

表の文字盤とガラス面の間や、裏蓋の中にパッキングを入れ、二重にパッキングすることで防水性を高めます。できるだけパッキングの有効性を持続するには、定期的なチェックと交換が重要です。

ねじロック


ねじロックと呼ばれる機能は、りゅうずに付属した機能であり、りゅうずの内側の構造をねじ状にすることで、ロックがかけられるという機能です。

操作ミスによる誤作動を防ぐことが目的とされた機能ですが、ねじロックは防水にも一役買っています。未使用時にはりゅうずを回してロックすることで、りゅうず部分からの水の浸入を防ぐことができます。

ねじ状という構造だからこそ密封度が高まり、より防水性も高まるのです。

防水機能の過信は禁物



防水機能があるとは言っても、精密機器にとって水は、何よりもダメージを与えるものです。

防水を担っているパッキングは、あくまでも水の浸入を防ぐためのものであり、ひとたび水の浸入を許してしまえば成す術もなく、ガラス内が曇ったり、文字盤の変色や腐食さえ引き起こす事態にもなりかねません。

時計にとって心臓部でもあるムーブメントは高湿度にも弱いため、直接水に触れなくとも、湿度がこもった状態が続けば、故障の原因にもなってしまいます。

だからこそ、プールなどで思いっきり水に浸かってしまえば、水が浸入する確率が高くなり、同じく故障の原因となるでしょう。

時計にとって最適なコンディションを保つためには、時計内部への水の浸入を防ぐことは絶対条件であり、防水機能を正しく理解したうえで、腕時計の扱い方を考える必要があります。

水の温度には注意


防水機能は、あくまで「水」に対してです。
時計の防水性能は水を基準にしているため、水の温度によって防水性能を損なうこともあります。
気を付けてほしいのは「お湯」。そして、お風呂での使用です。
時計をお風呂(お湯)に入れてしまうと、水の侵入を防ぐためにあるゴムパッキンが熱により変形して、故障の原因になります。
石鹸やシャンプーなど洗剤も防水時計の天敵です。
ゴムパッキンに洗剤などが付着すると化学変化がおきて、ゴムの弾力がなくなることがあります。
水が時計内部に侵入するきっかけになるので注意が必要です。

潜水用防水との相違

防水性の種類


腕時計の防水性は、その種類を大きく2つに分けることができます。

1つは、ここまで前述してきたとおり、日常生活における防水性です。残りの1つは、潜水やダイビングをする際の水中での防水性であり、ダイバーズウォッチなどに備わっている機能として「潜水用防水」と呼ばれます。
腕時計を着用したまま、水中に深く潜ることができるかどうかで、防水性の種類が区別されているのです。

防水性の種類と表記 
日常生活防水潜水用防水
日常生活における防水性は「Water Resistant ○m」潜水用防水は「Diver’s ○m」

防水性の表記方法

腕時計の防水性は、文字盤や裏蓋などに表記されていることが多いですが、その表記方法についての知識がなければ、自分の腕時計の防水機能のレベルを、理解することができないでしょう。

防水性の表現方法としては、「○○m防水」や「○○気圧防水」などが一般的で。
表記方法は多くのモデルにおいて、日常生活における防水性は「Water Resistant ○m」、
潜水用防水は「Diver’s ○m」となっています。

20気圧以上の防水になると、ダイバーズウォッチとして扱われ、潜水時でも着用が可能となるモデルがほとんどです。

「 WATER RESISTANT」とは

「WATER RESISTANT」とは、JIS(Japanese Industrial Standard=日本工業規格)及びISO(International Organization for Standardization=国際標準化機構)に基づいた防水時計の性能表示になります。
「WATER RESIST」、「W.R.」は「WATER RESISTANT」を略記したものです。 JIS規格では、日常生活用の防水表示はbar(気圧)表示で、潜水用の場合はm(メートル)表示をすることになっています。
いずれの防水時計も取扱い方法や注意事項について、取扱説明書をしっかり確認して使うことが大切です。

10気圧防水のケア方法

水洗いをする

腕時計の防水性を左右するパッキングは、時間の経過とともに劣化していきますが、こまめにお手入れをすることにより、その有効性を持続させ、防水性を維持することも可能です。

電池交換の必要性がある腕時計なら電池交換のタイミングで、パッキングのケアをすることをオススメします。

パッキングについているゴミや水分をきれいにふきとり、軽く水洗いすることでさらに効力を発揮するようになります。その際お湯を使用してしまうと、熱によってゴム製のパッキングが変形してしまう可能性も出てくるため、注意が必要です。

定期的な交換


定期的に手入れをしていても、パッキングはゴムという特性から、劣化を避けることはできません。

定期的なお手入れに加え、タイミングを見ながら定期的に交換することで、さらなる防水性を維持することができます。

電池交換などで裏蓋を開ける時がベストタイミングですが、電池交換が不要なモデルの場合、パッキング交換のタイミングを自分で決めて、定期的に交換することを忘れないようにすることが大事です。

10気圧防水のまとめ