この記事では、主に荷物を梱包する際、段ボール箱を組み立てる際に使用することを想定した、ガムテープについて解説いたします。
様々な用途や種類のあるガムテープですが、特に段ボール箱への荷物の梱包では適切な素材を選び、正しく使わないと段ボール箱が十分な強度を保つことができません。
ここでは、ガムテープの用途や種類をはじめ、段ボール箱へのガムテープの貼り方や強度を上げる方法、梱包する際のポイントのほか、梱包に最適なガムテープもご紹介いたします。
目次
ガムテープの用途と種類
布製ガムテープ
重い荷物や重要な荷物を詰めた段ボール箱の封函など、梱包に最も適しているのは布製ガムテープです。
布製ガムテープは粘着力と保持力に優れ、しなやかでもあることから貼る面に多少の凹凸があってもしっかりと貼ることができます。
また、はさみやカッターなどの道具を使わなくても簡単にまっすぐに切ることができるのもメリットです。
だだし、他の素材のガムテープと比較すると厚みや重さがあり、価格がやや高いのが難点といえます。
クラフトテープ
クラフトテープは表面にラミネート加工が施された光沢のある紙素材のガムテープです。
段ボール箱の封函をはじめ、書類などを入れる封筒の封函にも多く利用されています。
また、剥がすのも比較的簡単で開梱も容易です。
一方で粘着力や保持力はあまり高くなく、きれいに切るためには、はさみやカッター、テープカッターなどを使わなくてはなりません。
このほか、表面に光沢があることから重ね貼りしてもはがれやすく、内容物を明記する場合などに水性ペンでは文字を書くことができないため注意が必要です。
OPPテープ
OPPテープはポリプロピレンを縦と横の二方向に延伸した透明フィルムのテープでビニールテープとも呼ばれ、最大の特徴は耐水性に優れていることです。
また、透明であることから箱などの外観も損なわず、伝票などの上に貼っても文字が読めるため、商品の梱包に適したテープといえます。
一方で、強度も非常に強いことから手で切ることはできず、はがす際は大きな音がしたり、使用の際にテープの先端が見つけにくいといったデメリットもあります。
養生テープ
養生テープは、塗装やシーリング・コーキングといった作業の際に作業箇所以外を汚さないために貼る保護用の粘着テープです。
剥がしやすいのが特徴ですが同時に粘着力も弱いため、梱包用に用いるものではありません。
しかし、粘着性が弱く糊残りがないという点を逆に利用し、引っ越しの際などにはプラスチック製の収納ケースのふたが外れないようにしたり、ケーブル類をひとまとめするといった活用方法も考えられます。
梱包の際の段ボール箱へのガムテープの貼り方
一の字貼り
段ボール箱の底面を一枚のガムテープでとめる方法が一の字貼りです。
最も簡易なガムテープの貼り方ですが、中身が軽いものであればこうした貼り方でも問題ありません。
ただし、重いものを梱包する際には別の貼り方を選ぶ必要があります。
十字貼り
一の字貼りよりも強度が高いガムテープの貼り方が十字貼りです。
段ボール箱の底面にガムテープを十字にクロスさせて貼ります。
これにより底面で最も重量のかかる中心部分が補強され、一の字貼りよりも高い強度を保つことが可能です。
運送会社や引越業者などでも推奨している貼り方で、ダンボールの底が抜けてしまう危険性は低くなります。
H貼り
H貼りは底面の中央と、さらに左右にもガムテープを貼る方法です。
底面の隙間をすべて塞ぐため、段ボール箱の中にゴミや虫といった異物の混入を防ぐことができ、荷物の移動だけではなく長期保管にも適しています。
ただし、H貼りは荷物を運ぶ際に手のかかる段ボール箱の左右の底面にもガムテープを貼るため、持っても滑りにくい布製ガムテープを使用したほうがよいでしょう。
キの字貼り
キの字貼りは十字貼りの強度をさらにアップさせた貼り方です。
段ボール箱の底面にカタカナの「キ」の字になるようにガムテープを貼ることで強度が増ことから、重量物を梱包したり、大きなダンボールを使う際に適しています。
米字貼り
段ボール箱が底抜けするのは底面の中心部分ですが、この部分を集中的に補強する貼り方が米字貼りです。
漢字の「米」の字になるようにガムテープを貼ることにより、底抜けによる重量物や貴重品の破損を防げます。
ただし、強度が高い一方、ガムテープも大量に使うため、米字貼りが必要かどうか梱包する際の見極めも必要です。
段ボール箱の強度をさらに上げる方法
ダンボールの強度は外側底面のガムテープの貼り方で一定のコントロールが可能ですが、これだけでは段ボール箱を重ねたときなど、上からの加わる力に対して強度が不十分です。
そこで、ダンボール上面にガムテープで封をするだけでなく、内側の耳にもガムテープを渡すように貼ることで上からの力に対しても強度を確保することができます。
これは、柱やフレームによって強度を確保するのではなく、面で負荷を分散させる自動車や航空機にも用いられる「モノコック構造」と同様の考え方です。
荷物を段ボール箱に梱包する際のポイント
段ボール箱に荷物を梱包する場合、ガムテープの貼り方によって強度を保ったり異物の混入を防ぐことができます。
さらに以下のような点に気を配ることで、より破損の危険や労力を軽減することができるでしょう。
重量物は小さな段ボール箱に入れる
重量物を梱包する際には無理をせず小さな段ボール箱に小分けにしましょう。
これにより底抜けを防ぎ運搬もしやすくなります。
重量物は段ボール箱の下に入れる
複数の荷物を段ボール箱に入れる場合には重量物から順に詰めていくのがコツです。
破損のリスクを軽減できるだけでなく荷物が安定します。
隙間をつくらない
運搬時には荷物同士がぶつかり合う危険性があるため、できるだけ隙間をつくらないようにします。
また、荷物の隙間には新聞紙やエアキャップ、タオルなどで隙間を埋めるようにするがおすすめです。
段ボール箱におすすめのガムテープ
ニチバン 布テープ 50mm×25m巻 121-50
「セロテープ」で知られるニチバンの布製ガムテープです。
高い粘着力と抜群の保持力があり、巻戻しも軽いほか、しなやかで手切れもよいので、作業性に優れています。
引っ越しの際などの梱包作業に必要不可欠なアイテムのひとつです。
積水 布テープ N60XM03
布製ガムテープの素材の多くはスフ布ですが、こちらはPET繊維を使用しています。
これはPET繊維に手で切断する際、横にきれいに裂け、縦に裂けにくい特性があるためです。
また、PET繊維は薄くなりすぎるのがテープとしての弱点ですが、こちらの製品はスフ基材に匹敵する厚みを実現し、さらに低温でも優れた粘着性を発揮できます。
3M スコッチ 布梱包用テープ 509BEN
芯が小さく、手のなかにおさまるコンパクトなサイズの布製ガムテープです。
工具箱や引き出しにも収納しやすく引越しの荷造りの際なども場所を取らず作業の邪魔になりません。
テープ特有のにおいが少ないのもポイントです。
ニトムズ 強粘着 布テープ PK‐24
耐水・防水性があり、水回りでも使える強粘着タイプの布製ガムテープです。
そのため、段ボール箱などの梱包のほか、屋外での仮止めや補強にも利用できます。
一般ユーザーからプロユーザーまで幅広いニーズに応える布製ガムテープです。
TERAOKA ニューオリーブテープ NO.142
包装用として定番の布製ガムテープです。
0.31mmと厚みがあるため重量物の梱包にも対応できます。
また、テープの幅は25mm・38mm・50mm・75mm・100mmと豊富に揃っているため用途に応じて選択できるのもポイントです。
ニチバン ハイクラフトテープ 320-50
クラフトテープですが重ね貼りが可能で、油性インクで文字も書ける、すべりにくいニュータイプのテープです。
段ボール箱をはじめ、発砲スチロールの封函や、宅配便などの荷造りに最適でしょう。
3M スコッチ 梱包テープ 重量用 315SN
優れた粘着力と高い素材強度を高い次元で両立したOPPテープです。
そのため、重ね貼りも可能で、衝撃にも強くなっています。
透明なので仕上がりが美しく、贈り物や保管用荷物の梱包にぴったりです。
段ボールの梱包におすすめのガムテープについてのまとめ
- ガムテープの種類には布製、クラフト、OPP、養生テープなどがあり用途に応じて使い分けます。
- 段ボール箱に荷物を梱包する際のガムテープの貼り方には一の字貼り、十字貼り、H貼り、キの字貼り、米字貼りなどがありそれぞれ強度や使用するガムテープの量が異なります。
- 段ポールの強度をさらに上げたい場合には上面内側の耳にガムテープを渡すように貼ります。
- 段ポールに荷物を梱包する際にはガムテープの貼り方だけではなく、重量物は小さな段ボール箱や下に詰めるようにするほか、隙間をつくらないようにすることも大切です。