雪駄は昔の履物だと思っている方も多いと思いますが、ファッションとして、洋服と合わせることもできます。女性用ヒールのあるおしゃれ雪駄も出ています。

雪駄をファッションとして履きこなすにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。今回の記事では雪駄について以下の点を中心に見ていきます。

・雪駄とは?他の履物との違い
・雪駄の選び方(サイズ)
・雪駄の種類

雪駄とは?

雪駄とは草履の一種で、底に皮を張った履物です。底に様々な素材の皮を張ることで用途に応じて使いやすくなっています。

草履と雪駄の違い

草履は日本の伝統的な履物で、明治以降に洋装が広がるまで日本で広く使用されていました。しかし、冬に雪が降り積もったときに草履では水が染みこんでしまい、歩くのが大変でした。そこで草履の底に他の素材を張った雪駄が開発されたのです。

雪駄は畳表を利用し、踵には金具がついているものが多く、歩くとちゃりちゃりと音がします。現在の雪駄が全てこのようになっているわけではありませんが、元々の雪駄は音が鳴るのが特徴的でした。

下駄と雪駄の違い

下駄も日本の伝統的な履物の一つです。木で作られた台に穴が3つ空いていて、そこに鼻緒をつけられるもののことを特に下駄と呼び、現在では桐がよく使用されています。

形は四角いものから丸いものまで様々で特に定義されていません。

雪駄の歴史

雪駄の由来がこれである、とはっきり言うことはできませんが、平安時代には「しとうず」と呼ばれる足袋の原型が登場しています。当時は貴族の間で使われていた室内刃その足袋が変化して、草履、雪駄になったといわれています。

その後、戦国時代に織田信長が作らせたという話があります。千利休が草履を履いていて、水で足を滑らせたことを知り、草履と靴を組み合わせたのです。草履の底に靴底のような革を貼り付け、滑り止めの鋲を打ち付けました。雨や雪でも滑らないことが好評で世間にも広まっていったとされています。現在でも、お茶の家元では雪駄が履かれていますが、これは利休が茶会で必ず履いたという話に基づくものです。

ファッションにも使える雪駄の選び方

サッカーの本田選手が雪駄を履いていたことから火がつき、若い人の間でも雪駄が履かれるようになりました。ファッションとして雪駄を選ぶ時に気をつけたいポイントを見ていきます。

サイズの確認

雪駄はスニーカーやサンダルと違って、足の大きさより少し小さめのものを選ぶのが格好良い履き方です。かかとと足の小指が少しはみ出すくらいが雪駄のちょうど良い大きさと言えます。

慣れるまでは履きにくく脱げそうだと感じるかもしれませんが、雪駄は鼻緒がありますので、その点は心配いりません。

雪駄のサイズ表記は昔の日本の長さの単位が使われているため、分かりにくかもしれません。雪駄のサイズ表記と現在使われている足サイズは以下の通りです。

Sサイズ(7寸2分)→22.0〜24.0cm
Mサイズ(7寸7分)→24.0〜25.5cm
Lサイズ(8寸3分)→25.5〜27.0cm
LLサイズ(9寸)→27.0〜28.0cm
3Lサイズ→28.0〜29.0cm
4Lサイズ→30.0cm〜

※一寸は3.03cm

雪駄の種類

雪駄は主に畳表を用いられています。武川で編まれているのが茶竹、烏、縞の3つで、藤表を加えた4種類が雪駄用畳表の種類です。以下で一つずつ説明します。

茶竹
最もシンプルでオーソドックスな畳表です。竹皮の色をそのまま編み上げて黄色っぽい色に仕上がっています。足袋を履いて、正装のときに使われるのがこのタイプの雪駄です。

烏(からす)
烏と呼ばれるものは、着色して烏色(黒)ぽっく仕上げたものです。素足で履くことが多く、普段履き〜ファッションとして使われます。

色が黒っぽいため、汚れが見えにくいのも魅力の一つです。

南部烏表雪駄
烏と呼ばれる黒っぽい畳表です。鼻緒の色を変えることでおしゃれに履くことができます。


縞模様を出すために、竹皮を一部漂白したものです。実際には漂白した竹皮と素の竹皮の2種類を使って編むため、縞模様がでます。手間がかかり、上質なものなので、今ではほとんど見ることができないタイプの雪駄です。

柄がはっきりでていることから、カジュアルなシーンで使われることが多い雪駄です。

滝縞流し 男性用雪駄
縞の中でも珍しく、縦に模様が入った雪駄です。滝のように見えるデザインは斬新で遊びゴゴロ満載です。

籐表
竹皮ではなく藤(とう)と呼ばれるものを使った畳表です。竹皮よりもかなりしっかりしていて、昔は普段履きとして用いられていました。現代では、高価な雪駄として売られています。

男性用雪駄 藤表
藤表の雪駄です。普段履きとして重宝しますが、現在ではあまり見られず、貴重なものとして履く価値があります。

底材の種類

雪駄の底材も選ぶ時に重視すべき点です。見た目の好みと実用性で選ぶと良いでしょう。いくつか代表的なものをご紹介します。

革底
革は昔ながらの伝統的な底材です。革底の雪駄は通気性が良く、見た目にも高級感があります。革なので、水には弱く、雨や雪の日にはあまり向きません。足元をおしゃれな雪駄で決めたいという時(フォーマルな場所)は最適の底材です。

男性用雪駄 牛皮底
男性用の牛皮の雪駄です。晴れの日に履きこなせるとおしゃれです。

サンド底
サンドとはスポンジを意味しており、底の素材はスポンジです、他の雪駄に比べて衝撃吸収に優れています。クッションがしっかりしているため、長時間歩いても疲れにくいのが特長です。

雪駄の靴底が平面だとコンクリートなど石の上を歩く時に滑ってしまう可能性があるため、凹凸がつくられています。他の雪駄で弾力がなく、足が疲れると感じる人は一度、サンド底を使ってみることをおすすめします。

男性用雪駄 サンド底
男性用のオーソドックスなサンド底の雪駄です。弾力があり、足が疲れにくいので、普段履きとして重宝します。
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アメ底
サンド底の外側に飴色の硬化ゴムを張ったものがアメ底です。サンド底のクッション性を維持しながら、地面に当たる部分をゴムにして頑丈な作りになっています。

耐久力があるだけでなく、耐水性にも優れています。ゴムなので、雨天時でも問題なく履くことができます。水を使う料亭の調理場などでも履かれています。

ゴムの色が少し安っぽく見えることもあり、見た目よりも実用性に優れていると言えるでしょう。お寺や和に関する仕事をしている人にとっては欠かせない雪駄です。

雪駄 アメ底
耐水性もあるアメ底の雪駄です。普段、仕事で使うのに適しています。
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ライト底
お祭りなどでよく使われているのがライト底です。価格もリーズナブルで見栄えも良いので、人気があります。ライトは英語の”light(軽い)”から付けられたもので、重さも軽いのが特徴です。履きやすさや快適さよりも見た目重視の人にはおすすめです。

底が薄く、耐久性などが心配かもしれませんが、素材は強化ゴムでできているため、多少の耐水性も兼ね備えています。動きやすく、お祭りや行事などの時に適しています。

男性用雪駄 ライト底
おしゃれライト底の雪駄です。デザインも華やかでお祭りなどで活躍しそうですね。
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ウレタン底
ウレタン底の雪駄は雪や雨に特に強いのが特長です。アメ底でも水を寄せ付けない特長がありますが、これは底だけです。一方、ウレタン底は側面も水に強いので、アメ底よりも安心です。

道の悪い箇所や水が多い湿った場所でも気にせず歩けるので、長靴的な雪駄と言えます。しかし、逆に晴れた日にはあまり向きません。化学的な性質上、熱や紫外線に弱い面があるためです。晴れた日との兼用は劣化が進行してしまう可能性があります。

男性用雪駄 ウレタン底
男性用のウレタン底で、日本製です。長靴のように雨や雪の日でも使えます。熱には弱いので、日差しの強い日は別のものを使うようにしましょう。

タイヤ底
タイヤ底はその名の通り、底の素材にタイヤを用いた雪駄です。車や自転車などで使われるタイヤを底に敷くことで、道が悪くても歩きやすくなります。水場での作業や砂利道にも強く、耐久性、実用性に優れています。

見た目が真っ黒で、タイヤのようなデザインであるため、おしゃれ着に合わせるというよりは普段使いで重宝されています。

タイヤ裏底(お祭り雪駄)
タイヤ底は水や砂利にも強いため、お祭りでよく用いられます。

雪駄のまとめ

・雪駄とは草履の一種で、底に皮を張った履物である
・雪駄を選ぶ時は畳表の種類や底の素材で用途に応じて選ぶと良い
・現代はファッションとしても用いられている