時計の世界には、「世界三大時計」と呼ばれる3つのブランドが存在します。

高級時計と言えば多くの人がロレックスやオメガを思い浮かべますが、雲上ブランドとも呼ばれる世界三大時計はロレックスよりも遥かに格上の存在です。

顧客は一流のセレブや王侯貴族。価格はもちろんのこと、品格やステータス性も他のブランドとは一線を画します。この記事では、世界三大時計と称されるブランドの歴史や、代表的なモデルについて紹介します。

世界三大時計といわれる3つの腕時計ブランド

三大ブランド

世界三大時計と呼ばれているブランドは、「パテック・フィリップ(PATEK PHILIPPE)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERONCONSTANTIN)」「オーデマ・ピゲ(AUDEMARS PIGUET)」の3つです。

パテック・フィリップは、世界三大時計の中でも頭一つ抜けた存在として認知されているブランド。世界最高の時計ブランドとして呼び声高いメーカーです。

ヴァシュロン・コンスタンタンは美術工芸のような腕時計を手がけるブランドです。250年という長い歴史を誇り、一度も途切れることなく時計を作り続けているブランドとしては世界最古です。

オーデマピゲは、グランドコンプリケーションの懐中時計やミニッツリピーターを搭載した腕時計を世界で初めて発表するなど、革新的な製造技術で時計業界を牽引してきました。

世界五大時計といわれることもある

五大ブランド

世界三大時計ブランドに、「ブレゲ(BREGUET)」と「ランゲ&ゾーネ(A.LANGE & SOHNE)」を加えて世界五大時計と呼ばれることも多いです。

ブレゲは、時計製造の歴史の中で最も偉大と言われている時計師で、アブラアン・ルイ・ブレゲによって創業されたブランドです。天才時計職人が生み出した数々の意匠や哲学を現代まで受け継いでいます。

ランゲ&ゾーネは、世界五大時計で唯一スイスではないブランドです。

旧東ドイツのザクセン州グラスヒュッテで誕生し、第二次世界大戦や東西冷戦など幾度の危機を乗り越えて最高峰のブランドに名を連ねることとなりました。

世界三大時計ブランドの歴史2000

品質や美しさで群を抜く世界三大時計ですが、雲上ブランドたらしめる要因はやはり歴史があってこそです。

新興ブランドにはない壮大で深い歴史が、世界三大時計ブランドの腕時計に凝縮されています。

パテック・フィリップ

パテック・フィリップの創業は1839年。2人のポーランド人アントニ・パテックとフランチシェック・チャペックによって設立されました。

創業初期はポーランドのカルチャーを表現したデザインの懐中時計を、オーダーメイドで製造。1945年に時計師のジャン・アドリアン・フィリップが加入し、「リューズ巻き上げと時刻合わせ」の機構を備えた時計を製造しました。

それまでの時計は不便な鍵巻き式でしたが、パテック・フィリップによって現在の腕時計に一般的に使われているゼンマイの巻き上げが主流となったのです。

画期的な機構を備えた懐中時計を次々と製造し、パテック・フィリップの名はヨーロッパ諸国に広く知れ渡ります。また、上品で優美なデザインを備えていることから、ヴィクトリア女王やローマ教皇などの王侯貴族が愛用されています。

格式の高い時計ブランドとして認知され、チャイコフスキーやワーグナー、トルストイ、キュリー夫人、アインシュタイン、ウォルトディズニーなどの名だたる偉人たちが所有していました。

日本でも、大正天皇や昭和天皇などが購入したとされる記録が残っています。

最高峰の技術を駆使した複雑時計の製作でも有名で、創業150周年を迎えた1989年には、33もの複雑機構を搭載した世界で最も複雑な懐中時計を制作して注目を集めました。

現在でも、ドレスウォッチの「カラトラバ」やスポーツモデルの「ノーチラス」、複雑機構を備えた「グランドコンプリケーション」などのコレクションで不動の地位を築いています。

ヴァシュロン・コンスタンタン

1755年、スイスのジュネーブにて創業したヴァシュロン・コンスタンタン。誕生から260年を超える歴史を持つメーカーです。

18世紀に設立されたブランドとして1735年に創業したブランパンなどがありますが、どのブランドも一度は休眠したり合併したりしています。ヴァシュロン・コンスタンタンは一度も途切れることなく運営していることから、現存するメーカーで世界最古のブランドだと言われています。

現在のブランド名に近い「ヴァシュロン&コンスタンタン」を名乗ったのは1819年のことです。ハイレベルな製造技術と優れた営業力を有していたため、この頃からヨーロッパだけでなくアメリカやアジアなど世界の市場へと進出しています。

1935年にはエジプト王への贈呈品として、820ものパーツを使用したグランド・コンプリケーション時計を製造。1955年には厚さ1.64mmのムーブメントを搭載した世界で最も薄い時計を制作し、この年のジュネーブ平和会議にてアイゼンハワー大統領など4カ国の首脳陣に贈呈しています。

1981年にはチャールズ皇太子と結婚するダイアナ妃のために、レディ・キャラのモデルを特別に製作されました。

長い歴史を持つとともに、世界各国のトップに愛用されていることが現在のヴァシュロン・コンスタンタンの地位を確立している要因の一つだと言えるでしょう。

オーデマ・ピゲ

オーデマ・ピゲはスイス・ジュラ山脈のジュウ渓谷にて、1875年にジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲによって創業されたブランドです。

最高の複雑時計を作ることを目標に、スプリットセコンド・クロノグラフやミニッツリピーターなどの複雑機構を備えた懐中時計を数多く制作しました。

20世紀になり、腕時計の時代に突入したあともジャンピングアワーやムーンフェイズ付きフルカレンダーなどの高度な技術を必要とするコレクションを展開してきました。

オーデマ・ピゲに大きな転機が訪れたのは1972年で、世界初のステンレススティール製スポーツウォッチ「ロイヤルオーク」の誕生しました。

これまでの概念を覆す”ラグジュアリー・スポーツウォッチ”という分野を開拓し、現代においても多くの人が憧れるモデルとなっています。

世界三大時計の代表的なモデル

Moisturizing cream

世界三大時計には、それぞれのブランドを代表する有名モデルが存在します。ここでは、時代が移り変わっても色褪せない至上の腕時計を紹介します。

パテック・フィリップ カラトラバ

カラトラバは、クラシックな雰囲気のドレスウォッチ。1932年に発表されたつ通称「クンロク」と呼ばれるRef.96が絶大な人気を獲得し、パテック・フィリップの看板モデルとなりました。

モデル名は、12世紀にイベリア半島でイスラム勢と戦ったスペインのカラトラバ騎士団がルーツです。パテック・フィリップのロゴである剣と薔薇の十字架も、騎士団のシンボルである「カラトラバ十字」から来ています。

カラトラバのデザインは非常にシンプルで、余計な装飾や加工はありません。3針+カレンダーモデルやスモールセコンドを搭載したモデル、中には2針のみのモデルもあります。

シンプルだからこそ、一つひとつの造形には一切のごまかしがなく、完璧なプロポーションを実現しました。美しさと上品さを兼ね備えた究極のドレスウォッチです。

パテック・フィリップ グランドコンプリケーション

時計製造の中でも最高クラスに高い技術が求められる複雑機構を搭載したシリーズです。

1989年に発表されたキャリバー89が世界で最も複雑な携帯時計としての地位を保持していることからも、複雑機構の制作はパテック・フィリップを象徴するアイデンティティの一つ。その複雑機構を備えたグランドコンプリケーションは、まさに世界最高峰の証明と言えるでしょう。

搭載される複雑機構はモデルによってさまざまで、うるう年まで忠実に再現するパーペチュアルカレンダーを搭載したものや、月の満ち欠けを表示するムーンフェイズ搭載モデル、扇型のメモリを行き来するレトログラード搭載モデルなどが存在しています。

さらに、これら全てを盛り込んだモデルも製造しています。時計製作の頂点に君臨する、まさに”王者の腕時計”だと言えるでしょう。

ヴァシュロン・コンスタンタン オーバーシーズ

1996年にヴァシュロン・コンスタンタンのスポーツモデルとして誕生したオーバーシーズ。スポーツウォッチと言っても、雲上ブランドらしい気品に溢れ仕上がりとなっています。

このシリーズに共通するのは、特徴的なベゼルデザイン。ヴァシュロン・コンスタンタンのブランドロゴでもある「マルタ十字」を象った凹凸が施されています。

モデル名のとおり優れた防水性能やサファイアクリスタル風防による耐久性など、スポーツモデルとしてスペック面も申し分なしの、気品と実用性を両立した贅沢な逸品です。

ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー

1950年代のヴァシュロン・コンスタンタンのモデルからインスピレーションを得て制作された、限りなくクラシックなスタイルを具現化したコレクションで、完璧な円を描くラウンドケースのドレスウォッチです。

3針モデルやスモールセコンドモデルの他、パーペチュアルカレンダーやレトログラードなどの複雑機構を備えたモデルも展開。無駄のない美しさと調和の取れたプロポーションが魅力的な腕時計です。

オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク エクストラシン

オーデマ・ピゲのコレクションの中でも絶大な人気を誇るスポーツウォッチ、ロイヤルオークの超薄型モデルです。

1972年に誕生したロイヤルオークは、「時計界のピカソ」と謳われるジェラルド・ジェンタ氏によってデザイン。八角形のビス留めベゼルやケース一体型のブレスレットなど特徴的なデザインでオーデマ・ピゲのアイコン的存在となっています。

ロイヤルオーク誕生40周年を記念して製造されたエクストラシンモデルは、スポーティで力強い外観はそのままに、ケースの暑さをわずか8.1mmという薄さに仕上げています。

オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク ダブルバランスホイールオープンワーク

スケルトン文字盤でオーデマ・ピゲの精巧なムーブメントを鑑賞できるラグジュアリーな1本です。2つのテンプとヒゲゼンマイを同軸上にセットする「デュアルバランス」という特許技術を採用しています。

圧倒的な独創性と存在感はオーデマ・ピゲの最新技術が成せる技。ロイヤルオークでも特にハイクラスな価格と品質を誇る、レア度の高いモデルです。

世界三大時計についてのまとめ

  • 世界三大時計は、デザイン、機構、ステータス性全てにおいて最高峰です。
  • 多くの人にとってパテック・フィリップやヴァシュロン・コンスタンタンは手の届く存在ではありませんが、歴史や代表モデルを知っておくのも時計好きの嗜みというものです。
  • “デキる男”の会話のネタとしてはもちろん、将来の目標として世界三大時計は時計愛好家が憧れ続ける存在です。