コンポジット撮影は、星の軌道がグルグル回っているような写真や、車のテールランプが発する光のラインが交錯した写真など、誰もが憧れる芸術的な1枚を作ることができます。

光を使った雑誌広告のような見応えのある写真は、難しそうに見えて必要なアイテムさえあれば意外と簡単に撮影することが可能です。

ここではコンポジット撮影の特徴や設定、おすすめのアイテムなどを紹介します。

コンポジット撮影とは(2つ以上の写真を比較して明るい部分だけ合成していくことを前提にした撮影など)

コンポジット撮影とは、複数の写真を比較し、明るい部分だけを合成していくことを前提とした撮影手法です。

「比較明合成」とも呼ばれており、画素ごとの明度を比較しながら合成処理を行なっていきます。

コンポジット撮影に向いているもの

コンポジット撮影に向いているのは、通常の撮影では困難な「光の動き」です。

代表的なものが、打ち上げ花火。数種類の花火を撮影し、比較明合成することでまるで花火大会のポスターのような1枚ができあがります。

蛍が放つ光で森の中を埋め尽くす様子が撮れるのも、コンポジット撮影ならではです。

また、車のテールランプが描く光のラインや、ペンライトで描いたカラフルな文字の写真を作ることも可能です。

さらに、カメラ好きなら一度は憧れる、日周運動と呼ばれる星の軌跡を捉えた1枚もコンポジット撮影なら比較的簡単にできまます。

コンポジット撮影をする理由

コンポジット撮影は、複数枚の写真を撮影後にパソコンで合成していくという方法です。

一瞬のシャッターチャンスを大事にしたい写真家や、ファインダーを通して撮影した写真にこそ意義があると考える人からすれば抵抗感を抱くこともあるでしょう。

しかし、被写体によっては、コンポジット撮影が非常に便利で美しい1枚が撮れるのも一つの事実です。

たとえば花火や蛍の光を撮影する場合、デジタル一眼レフのシャッターを開けっぱなしにして長時間露光する方法もあります。

しかし、撮影している間に車のライトや他人のスマホの光が入り込んだ時点で撮影は失敗してしまいます。

よほどの大自然でない限り、他の明かりが邪魔をしない環境はなかなかありません。

星の日周運動の長時間露光で取る場合、露出時間の計算がとても困難です。

せっかく何時間もかけて撮影した写真が、露出の計算ミスによって白く飛んでしまっていたなどのようなことも珍しくありません。さらに、風や地面の状況によって三脚が動いてしまってもアウトです。

ほんの些細なアクシデントも許されない長時間露光を考えると、コンポジット撮影ははるかに確実で便利だと言えます。

コンポジット撮影のポイント

花火や星空や蛍が対象だと、特別な環境でしか機会がないと思われがちですが、身近なシーンでもコンポジット撮影は活用できます。

たとえば星の日周運動などは、都会住まいでも自宅のベランダから撮影することが可能。ここでは、必要アイテムや設定など、コンポジット撮影のポイントについて紹介します。

コンポジット撮影に必要なアイテム

まずは当然ながら、カメラ本体です。

スペックは特別高いものを買う必要はありませんが、長秒露光を繰り返し撮影することになるため、最低限シャッタスピードが変更できるものが条件です。

一眼レフのスペックなら充分ですが、ミラーレス一眼やコンデジでもシャッタスピードの変更できる機種であれば問題ありません。

レンズに関しては、コンポジット撮影では星や蛍などの小さな光を写すことが多くなるため、なるべく明るいレンズを選ぶのがポイントです。

標準レンズでも大丈夫ですが、都会のベランダから星空を取る場合などは、広めの範囲が写せるレンズがおすすめです。カメラ購入時に付属しているキットレンズの広角側でも問題ないでしょう。

三脚も必須です。カメラを支えられるものなら基本的に大丈夫ですが、あまりに安価なものは風に弱く、簡単にぐらついたり耐久性に難があるので注意しましょう。

同じ構図を延々と撮影することになるため、1万円前後のしっかりとした三脚がおすすめです。

カメラに繋いでシャッターを遠隔操作できるレリーズも重要です。指で直接シャッターを切ってしまうと、反動でブレてしまうので必ず必要になります。シャッターボタンを押したままの状態でロックできるレリーズを選びましょう。

レリーズにはケーブル式(有線)のものとワイヤレスのものがありますが、おすすめはケーブル式です。

また、レリーズの中には「5秒おきに1回自動でシャッターを切る」など細かく指示できるタイマーレリーズなどもあります。

メーカー純正のものが機能的には充実していますが、価格はそれなりに効果。互換品だと数千円で購入可能なので、条件を満たしているものであれば互換品でも問題ありません。

コンポジット撮影に限らず、レリーズは何かと重宝するので買っておいて損はないでしょう。

ただし、最新のカメラの中には標準でシャッターをコントロールできるものもあるため、そういった機能を備えている場合はレリーズは必要ありません。

コンポジット撮影は最終的に合成の作業を行うため、パソコンも必要です。

大量の画像を使用することになるので、あまりに低スペックだと動きが重たくなるので注意。また、合成処理するためのソフトも必要になります。代表的なのはアドビのフォトショップですが、お金をかけたくない人はフリーソフトでもOKです。

JPEGでの撮影がおすすめ

コンポジット撮影は、複数枚の写真を撮影するのが前提。数十枚から、多いときで数百枚も撮影することになるので、ストレージへの負担や現像への時間を考えるとJPGのほうが無難です。

ですが、RAWで撮った場合はホワイトバランスや露出などのちょっとしたミスをあとから修正できるため、一長一短だと言えるでしょう。

撮影枚数としては、花火でも最低10枚前後は必要。星空の場合は50枚ほど取らないとそれなりのクオリティにならないので、冬場の夜空を撮る場合は防寒対策も大事です。

ノイズリダクション機能は必ずOFFにする

コンポジット撮影ではノイズリダクションを必ずオフにします。

これをしておかないと、撮影時にシャッターを開けた時間と同じ秒数のノイズ処理が強制的に入ってしまいます。ノイズ除去機能が作動してしまうと連続で撮影できないため、忘れずに切っておきましょう。

「長秒時露光のノイズ低減」や「長秒時ノイズリダクション」など、ノイズリダクションはメーカーによって表示名はさまざまです。オフでもオンでも画質に大きな差はありません。

また、三脚を使うため手ぶれ補正もオフにしておきます。

オンの場合、誤検知が原因でブレてしまうことがあるためです。

コンポジット撮影はではブレた写真が混ざると全体のクオリティに影響があるため要注意です。

ISO感度は最低にする

ホワイトバランスやISO感度などのオート機能はすべてオフにします。

オートの場合、長時間撮影しているなかで設定が切り替わってしまうことがあるため、マニュアルで設定するようにしましょう。

ISO感度の設定は、なるべく小さくしましょう。あまりに小さすぎても肝心の光を捉えられないので、撮影シーンに応じて調整していきます。花火だとiso100、星空でiso1600を目安に設定しましょう。

F値は明るいほど失敗のリスクが減りますが、絞りすぎると被写界深度が小さくなってしまうので注意しましょう。

シャッタースピードに関しては、被写体にもよりますがあまりに長いと白く飛んでしまうものもあります。

フォーカス 露出はマニュアルにする

フォーカスと露出はマニュアルが基本です。

特に星は直接ピントを合わせるのが難しいですが、街中の星空を撮る場合は一番遠くの建物のライトに合わせるのがコツです。

最初にマニュアルフォーカスに設定して手動で合わせても良いですが、オートフォーカスで合わせておいてピントが合ったあとにマニュアルに切り替えてもOKです。

撮影中にピントがずれないように忘れずにマニュアルにしておきましょう。

ピントを合わせたあと、途中でずれないようにマスキングテープでピントリングやズームリングを固定しておくという方法もあります。

バッテリーは必ず満タンにしておく

コンポジット撮影は長時間の露光が基本であるため、バッテリーは満タンの状態で臨むようにしましょう。撮影途中でバッテリー交換はできないため、バッテリーの持ちがいいカメラを選ぶのも大事です。

長時間の露光に加え、冬場の寒い中での撮影は特にバッテリーが消耗します。

バッテリーの持ちに自信がない場合は、バッテリーグリップを別途購入してバッテリーを2個装着したり、外部電源で駆動できるキットを活用するなどして対策しましょう。

コンポジット撮影についてのまとめ

  • コンポジット撮影は、2つ以上の写真を比較して明るい部分だけ合成していく撮影手段。星空や花火など、光を対象とした美しい写真を作ることができます。
  • アクシデントやちょっとしたミスが許されない長時間露光と違い、あとから合成できることから成功率が高いのがコンポジット撮影のメリット。三脚やレリーズなど、必要なアイテムを揃えれば初心者でも完成度の高い1枚が撮れます。
  • 撮影時はノイズリダクション機能は必ずオフにし、マニュアルフォーカスで撮影します。