ペリカンってどんな会社?
ペリカンは実用性が高く、確かな品質の万年筆を製造しているメーカーです。
現在はスイスに本社がありますが、ドイツのハ・ノーファーが発祥になります。
ペリカンの始まりは、1832年にドイツの科学者カーネル・ホーフマンが独自技術で絵の具の製造を始めたところからです。
ここから、ペリカンは筆記具のメーカーとして発展していきました。
1863年にはギュンター・ワグナーも経営に加わり、市場を拡大します。
1887年には、現在のペリカンのトレードマークペリカンの親子像も登録されました。
このペリカンのマークはギュンター家の家紋で、ヨーロッパでは古来より母性愛の象徴とされています。
そんなペリカンが、万年筆の製造に乗り出したのは1929年です。
このとき、ペリカンは独自のピストン式のインク吸引方式を開発し、人気を獲得しています。
精密に作られた万年筆のペン先は、当時非常に高く評価されていました。
ペリカン万年筆の人気デザイン緑縞も、このころから現在まで引き継がれています。
ペリカンは、1978年には有限会社から株式会社に移行します。
オフィスや文房具部門に進出し、事業を徐々に拡大し、1980年代になると玩具やプロジェクター、プリンター、化粧品部門にも進出しました。
万年筆以外にも、絵の具や絵筆、糊やチョークといった教育用のアート、パソコンやFAXで使われるインクリボン、インクプリンターのカートリッジも取り扱っています。
また、紆余曲折を経て、現在はマレーシア企業の傘下です。
ペリカンがつくる万年筆の特徴
ペリカンは長年培ってきた技術を生かして、ジュニア向けから高級品まで幅広いラインナップを展開しています。
ピストン式インク吸引方式を採用し、カートリッジ式の三倍のインクを充てんできるため、インク持ちがよいのも特徴です。
海外ではレマルク、トーマス・マン、日本では井伏鱒二や赤川次郎など文豪や文化人にも愛されている万年筆です。
書き味、サイズ、太さ、重心を計算して作られており、バランスがよい万年筆といえるでしょう。
ペリカンのつくるおもなモデルと価格帯
ペリカンの万年筆は、10万円を超える高級モデルから1000円台で購入できるモデルまで幅広い万年筆がラインナップされています。
下記では、ペリカンの主なモデルと価格帯について紹介いたします。
スーベレーン
すぐれものという意味のドイツ語を名前にしたのがスーベレーンです。
ペリカンを代表する万年筆となっています。
スーベレーンは長時間文字を書いたとしても、疲れないように重心バランスを緻密に計算して作られています。
書き手の手のサイズに合わせ、初心者用から経験者用に至るまでラインナップも豊富です。
書き心地は軽く低粘土なインクが使われています。
スーベレーンには、M300からM1000までラインナップがありますが、価格は約2万3千円から7万5千円の間です。
初心者や女性向けのモデルM400は3万円弱、最上位モデルのM1000は7万5千円ほどで購入できます。
持ち運びに向いたコンパクトなモデルM300は2万3千円弱ほどで購入可能です。
デモンストレーター
デモンストレーターはスケルトン仕様が特徴の万年筆です。
インクの美しい色が胴軸から見えるのは非常に斬新です。
インクを吸うところを実際に目にできるため、見ているだけでも楽しめるタイプの万年筆といえるでしょう。
様々なカラーのスケルトンモデルがあり、若い人でも楽しめる万年筆です。
また、限定モデルが多いのもデモンストレーターの特徴となっています。
ペン先はステンレススチールが用いられ、滑らかな書き心地です。
デモンストレーターの価格は、10000円台から50000円台です。
トレド
トレドは職人により1本1本手作りされており、1か月以上をかけて100以上の工程を経て丁寧に作られています。
コレクターズアイテムにもなっている万年筆なため、オークションに出品されると高値ですぐに落札されてしまう人気のモデルです。
美しい象嵌細工が特徴で、スペインのトレドの伝統技術を用い、胴軸に金のペリカンの象嵌がはめ込まれています。
そんなトレドの価格は120000円から190000円ほどと、高価格帯のモデルになります。
しかし、トレドは高価格でも納得の高品質を保持しており、持っているだけでステータスになるでしょう。
厳格な審査をパスした証として、1本1本の万年筆にはシリアルナンバーが刻印されています。