この記事では、さつまいもの種類や品種についてお伝えします。
現代、品種改良によって様々なさつまいもが続々と登場し、ホクホクで料理に適した食感のものや、スイーツのように甘いものなど、個性はさまざまです。
この記事を読むことで、さつまいもの選び方だけでなく、それぞれの品種の特徴や産地などについても知ることができます。
目次
美味しいさつまいもの選び方
さつまいもは、品種の違いによっても大きく味や食感が異なりますが、同じ品種でも選び方を誤ると、味がよくないことがあるため注意が必要です。
以下では、さつまいもの選び方を解説します。
選び方 | 見分ける6つのポイント |
---|---|
重みとツヤのあるものを選ぶ | さつまいもは、大きさがほぼ同じものであれば、手に取った時に重みを感じるものを選ぶとよいでしょう。 表面はシワがなく、ツヤやハリのあるものがおすすめです。 |
ふっくらと丸みのあるものを選ぶ | さつまいもは、表面がゴツゴツしているものよりも、くぼみの少ないもののほうが、繊維質が少なく、ねっとりとした食感を味わえます。 形状がふっくらとした、丸みのあるラグビーボール状のものがよいでしょう。 |
蜜のにじみ出ているものを選ぶ | さつまいもは、触ると蜜でベタつくか、乾燥していても蜜が付着しているものが甘く美味しい証拠です。 美味しいさつまいもを選ぶときは、両端の切り口に蜜のあふれだしているものを探すとよいでしょう。 |
表面が黒く変色しているものは避けて選ぶ | さつまいもは流通段階で低温にさらされると、表面が斑点状に黒く変色することがあります。 こうしたさつもいもは味が落ちているため避けたほうがよいでしょう。 |
芽が出ているものは避けて選ぶ | さつまいもは、芽が出ているとそちらに養分を吸収されてしまいます。 じゃがいものように毒性はありませんが、味は落ちているため避けたほうが無難です。 |
ひげ根の多いものは避けて選ぶ | 固く細かなひげ根の多いさつまいもは、口に入れるとすじっぽい食感になります。 このため、ひげ根は数が少なく均等に生えてるものの方がおすすめです。 |
ほくほく系さつまいものおすすめ品種
さつまいもらしい味わいが楽しめるのが、ほくほく系のさつまいもです。
さつまいもと聞いて連想するのがこのタイプでしょう。焼きいもや天ぷらなどさまざまな料理に適しています。
鳴門金時はほくほくとした食感が特徴
栗のようなほくほくとした食感が特徴のさつまいもで、焼くことで甘みがにじみ出ることから焼きいもに最適です。
四国・徳島の名産品で、8~11月に収穫されますが、収穫後に寝かせておくことでより甘みが増します。
焼きいも以外では、スイートポテトや大学いも,天ぷらにするのもおすすめです。
紅さつまはしっかりとした甘さで料理にも使いやすい
品種名からもわかる通り、鹿児島が主な生産地のさつまいもです。
しっかりした甘さとともに、料理にも使いやすい品種となっているため、焼いもやスイートポテトのほかにもアレンジしてもよいでしょう。
紅あずまは昔ながらの食感と上品な甘さが特徴
紅あずまは、昔ながらの食感が味わえるさつまいもで、上品な甘さが特徴です。
水分が少なめなため、サラダやスープに使うなど、アレンジもしやすくなっています。
繊維が少ないので口当たりがよく糖度も高いので人気があります。
主な生産地は関東地方で、東日本でさつまいもといえば紅あずまといわれるほど流通量も多い品種です。
しっとり系さつまいものおすすめ品種
しっとりと甘く、なめらかでありながらほくほく感も残っているのがしっとり系さつまいもの特徴です。
新品種も続々と登場していて、さまざまなニーズに応える品種も揃っています。
紅はるかは強い甘みとほくほく感も特徴
「はるか」に甘いをコンセプトに品種改良され、生まれたのが紅はるかです。
その名の通り強い甘みがありながら、繊維質が多めなためほくほく感も残しています。
干し芋の原料になることもあり、スイートポテトなどにも向いています。
全国的に栽培されていますが、特に生産量が多いのは九州地方で10月頃に収穫の最盛期を迎えます。
シルクスイートはしっとり系の代表格
近年、しっとり系の代表格として人気が高いのがシルクスイートです。
ほどよい甘みと滑らかな食感が特徴ですが、収穫直後はほくほく感が強く、貯蔵しておくとねっとり感が強くなります。水分量が多いのも特徴で、グラッセやポテサラなどにも向いています。
ひめあやかは食感がよく食べきりサイズ
2011年に品種登録された新しいひめあやか。
一般的なさつまいもの6割ほどの大きさで、食べきりサイズとなっているのがひめあやかです。
それでも、通常の規格外のさつまいもとは異なり、小さくても食感がよく、程よくしっとりとしています。
オリジナル品種でないことから全国的に栽培されているものの栽培地は少ないさつまいもです。
ねっとり系さつまいものおすすめ品種
ここ数年ブームになっているのがねっとり系さつまいもです。
蜜芋とも呼ばれ、糖度が高く水分も多めで調理するよりも焼いもが中心で、スイーツ的な要素が強くなっています。
安納いもはスプーンで食べられるほどクリーミー
スプーンで食べられるほどのクリーミーな口当たりと濃厚な甘味が特徴のさつまいもです。
熱を加えただけでスイートポテトのような甘みを味わえ、糖度は40度前後になるともいわれます。
かつては「安納紅」や「安納こがね」といった登録品種苗として種子島でのみ栽培が認められていましたが、現在では他の地域でも栽培されています。
灯籠蜜いもは焼いもに最適
灯籠蜜いもは、安納いもを元に熊本県山鹿地方で品種改良されたさつまいものブランド商標です。
果肉は鮮やかな黄色をしており、甘さは安納いもを凌ぐともいわれます。焼いもに最適です。
白いさつまいものおすすめ品種
(画像引用元)農畜産業振興機構
さつまいもは皮が紫色のものが一般的ですが、中には皮が白い品種もあります。
全般的に甘みが控えめの品種が多いため、甘すぎるさつまいもが苦手な方におすすめです。
シロユタカはほくほくして甘みは控えめ
シロユタカは、主にでんぷんの原料として多く生産されているさつまいもです。
水分は少なくほくほくとした食感で、甘みはあまり強くありません。
多くが鹿児島で生産され、宮崎県や福岡県でもわずかに生産されています。
黄金千貫は蒸した調理に適している
黄金千貫(こがねせんがん)は、皮が白いさつまいもは大半がこの黄金千貫です。
主に焼酎の原料用として鹿児島県や宮崎県で栽培されています。
ある程度甘みは感じられるものの、食感は粉質で、焼いもなどよりは蒸して裏ごしするなど加工に適しているのが特徴です。
紫いものおすすめ品種
果肉が鮮やかな紫色の紫いもは、飲料や菓子などにも用いられます。
この紫色はワインやブルーベリーなどに多く含まれるアントシアニンによるもので、眼精疲労を改善する効果が期待できます。
アヤムラサキはスイートポテトやポテトチップスに最適
アヤムラサキは焼酎の原料などとしても使われ、宮崎など九州で生産されていますが、低糖質のため焼きいもなどではあまり甘みを感じられません。
その反面色映えは非常によいためハチミツなどで甘みを補ってスイートポテトに仕上げたり、生クリームを加えてトッピングとして絞るほか、薄くスライスしてポテトチップスにしてもよいでしょう。
一般的なさつまいもよりポリフェノールが豊富で特徴である紫を生かしておはぎなどにしても映えます。
パープルスイートロードは紫いもの中で甘みが強い
パープルスイートロードは、紫いもの中では甘みが強いのが特徴です。
焼きいもにすると昔ながらの味が楽しめますが、アヤムラサキ同様見栄えがするため加工用としてもよいでしょう。紫芋の中では甘みが多い方なのでスイーツに最適です。
主な産地は千葉県のほか、九州では主に焼酎の原料に用いられます。
スイートポテトについて
一口にスイートポテトといっても、作られる地域や店舗によって材料や製造方法に違いがあるため、味にそれぞれ違いがあります。
記事を通して、スイートポテトがどんなルーツを持っているのか、どんな材料を用いて作られているのかが分かり、よりスイートポテトをおいしく食べることができるでしょう。
スイートポテトとは何か
まず、ノウハウ・初心者向けの情報をご紹介いたします。商品の紹介を先に知りたい方はこちらをクリックしてください。
スイートポテトは、先程述べたように様々な作り方がありますが、基本的には蒸したさつまいもをすりつぶし、砂糖、バター、卵黄と混ぜ合わせた生地をラグビーボール型に成形し焼き上げたものです。
まずは、このスイートポテトがどんなルーツを持っているのかを紹介いたします。
スイートポテトの発祥
スイートポテト発祥の地は日本です。
名前がスイートポテトと英語名のため、欧米を起源と思っていた方が多いでしょう。
英語でスイートポテトはさつまいもそのものを表す単語で、お菓子のスイートポテトを表す単語はありません。
タルトなどの単語を組み合わせて表現します。
海外にスイートポテトはなかったため、スイートポテトの発祥が日本であることは確実です。
しかし、スイートポテトのはっきりとした発案者や店舗、どこの地域で作られ始めたのかは分かっていません。
明治時代に当時安価で仕入れることができるさつまいもと、流入してきた洋菓子作りの技術が混ざり合い誕生した、ということだけです。
おすすめスイートポテト
スイートポテトの歴史
スイートポテトは、明治時代の発祥以降、急激に知名度上げていき、日本全国に普及します。
特に、戦後期の1940年代から1950年代は、今でもおいしいスイートポテトを販売していることで有名な企業達がスイートポテトの販売を開始したため、知名度が一気に上がりました。
1940年代から1950年代にスイートポテトの販売を開始した老舗企業を具体的に2つ紹介いたします。
株式会社ドンク
株式会社ドンクの創業は1940年代よりも、更にさかのぼり1905年です。
創業当初はパンを販売する会社で、スイートポテトの販売は、1949年に兵庫県神戸市の店舗で開始します。
当時さつまいもは高価になってしまった米の代替品としてのイメージが強く、お菓子のイメージはほとんどありませんでした。
そのため、スイートポテトの認知度も低い状態でした。
しかし、ドンクがスイートポテトを販売したことで町でのさつまいものイメージが大きく変わり、スイートポテト普及のきっかけとなります。「松蔵ポテト」のスイートポテトは、1949年、ドンクの製菓職長であった井上松蔵によって生まれました。
株式会社ロイヤル
1951年に福岡空港で国内線が初めて営業開始したのと同時に、ロイヤルは機内食提供と喫茶営業を開始します。
その当時からお菓子として提供されていたロイヤルのスイートポテトはそのおいしさから利用客だけでなく、キャビンアテンダントやパイロットから支持を得ました。
全国を飛び回る航空会社職員の支持を得たスイートポテトは、全国にその名前を一気に広げることになります。
ロイヤルのスイートポテトHP
スイートポテトの地域差
スイートポテトは作られる地域によって、原材料として使用するさつまいもの品種が全く違うという特徴があります。
他の材料は作る店、シェフによって細かな違いはありますが、おおまかには一緒です。
さつまいもは1600年代に日本に流入してから今日に至るまでに多数の品種改良が繰り返され、今では地域ごとに栽培されるさつまいもは異なっています。
さつまいもの品種の違いが生むのは、味、水分量、甘み、粘りの違いです。
そのため、使用するさつまいもの種類次第で、スイートポテトの味も変わります。
スイートポテトの特徴
食物繊維がたくさん摂取できる
スイートポテトはさつまいもをほぼそのまま使用するため、栄養価が高いです。
その中でもさつまいもは食物繊維が豊富なため、普段おなかの調子に悩んでいる方にもおすすめできます。
調理が簡単
スイートポテトはさつまいもの素材の味を活かすため、あまり複雑な調理工程を挟みません。
また、使用する材料も少ないです。
そのため、お菓子の中では比較的簡単に作ることができます。
お菓子作り未経験の方にもおすすめできます。
スイートポテトの材料・レシピ
先程紹介したようにスイートポテトは比較的簡単に作れるお菓子です。
簡単な作り方の一例を紹介いたします。
用意する材料
さつまいも:400g
砂糖:大さじ3杯
牛乳:大さじ3杯
バター:30g
卵:1個(卵黄のみ使用します)
さつまいもは自分の好きな品種を用意しましょう。
好きなさつまいもの品種がまだない場合は、自分の住んでいる地域で作られているさつまいもで作ることをおすすめします。
スイートポテトの作り方
事前準備としてバターを溶かしておきます。
- さつまいもの皮を剥いて2cmから3cmほどの大きさに切る
- 切ったさつまいもを鍋に入れ、中火にかける
- 15分から20分ほどゆで、さつまいもがやわらかくなったらさつまいもだけボウルにあげる
- ゆで終わったじゃがいもをマッシャーでつぶす(マッシャーが家になければフォークやスプーンで代用しても問題無)
- つぶしおわったさつまいもに砂糖、溶かしたバター、牛乳を加え、固形感がなくなるまでよく練る
- アルミホイルをしき、その上に先程練った生地をラグビーボール型に成形して並べる
- 並べ終わった生地の表面にはけなどを用いて卵黄をぬりつける
- トースターで15分程度焼く
これで自家製スイートポテトの完成です。
お好みで砂糖の代わりにはちみつを用いたり、牛乳の代わりに生クリームを用いたりすると、また違う味わいを楽しめます。
さつまいも・スイートポテトについてのまとめ
- さつまいもは重みとツヤのほか、ふっくらと丸みがあり蜜のにじみ出ているものを選びます。
- 表面が黒く変色していたり、芽が出ているもの、ひげ根の多いものは避けましょう。
- さつまいもには品種によってほくほく系、しっとり系、ねっとり系などの特徴があります。
- また、白いさつまいもや、紫いもといったさまざまな種類もあります。
- スイートポテトの発祥は明治時代の日本でした。戦後に今でもスイートポテトで有名な店舗が日本各地で販売を開始したことで、日本全国に一気に普及していきました。
- スイートポテトのメインの材料であるさつまいもは品種改良で、様々な品種が誕生しました。さつまいもの品種が異なると、味、粘り、水分量が大きく違います。
- 地域ごとにスイートポテトに使用するさつまいもの品種が異なるため、スイートポテトは地域ごとに異なる味わいが楽しめます。