2003年にデジタル放送が開始されて以来、デジタルに対応した液晶テレビは急激に普及しています。また、Kテレビなど、より高画質の製品も登場し、発売当時は高価だった液晶テレビも今や低価格で入手できるようになっています。
液晶テレビの構造に詳しくない人でも「バックライト」という言葉を聞いたことがあるでしょう。液晶テレビでは、このバックライトをコントロールすることが重要な要素になっています。
この記事では、バックライトコントロールについてわかりやすく解説します。
目次
液晶テレビのバックライトとは
液晶テレビは、文字通り液晶パネルを使用したテレビのことですが、実は液晶パネル自体は発光しません。
一方、プラズマテレビや有機ELテレビは、「自発光方式」で画素のひとつひとつが発光します。色彩の再現性はいいですが、価格が高いのがデメリットです。
液晶テレビは、背後からの光(バックライト)が液晶とRGBのフィルターを通すことで色が再現される仕組みになっています。簡単にいうと、窓のブラインドのように液晶が開け閉めして色の素子(ドット)をコントロールしているのです。
バックライトは背後から均一に照らすだけなので、光源を個別に調整する必要がありません。その分コストは安く済みます。
反面プラズマテレビのように輝度が調整できないので、全体が暗い場面などに光が漏れる「黒浮き」という現象がおこることがデメリットになっていました。
バックライトの設置方法には、「エッジ型」と「直下型」の2つがあります。
バックライトが液晶パネルの上下どちらかの側面に配置されているタイプです。配置する光源が少なくすむのでコストは低く抑えられます。但し大型化になると輝度にムラがでるので大型画面のテレビには向いていません。
液晶の背後に全体にバックライトを配置する方法です。コストは高くなりますが、輝度のムラがなく画面全体が明るくなります。多くの液晶テレビでは、この直下型が採用されています。
CCFLバックライトとLEDバックライト
液晶テレビに使われているバックライトはCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)という冷陰極蛍光ランプが使われていました。
CCFLは一般的な蛍光灯と同じ仕組みです。白熱電球よりも明るいのがメリットですが、液晶のバックライトとしては大きなデメリットがありました。CCFLは構造的に電子の放出によって点灯するので電源のオンオフに時間がかかります。また、明るさの調整が難しいのもデメリットです。
このCCFLのデメリットを解消したのが「LED」です。ノーベル賞受賞でも話題になった「青色発光ダイオード」により青色のLEDが誕生し、この青色LEDを応用して純度の高い白色の「白色LED」が開発されました。
白色LEDのメリットは、CCFLでは青くなりがちだった白もリアルに再現できることです。また、LEDなので電源のオンオフも瞬時にできます。また、省エネ性に優れているのも魅力です。
CCFLよりもLEDはスペースもとらないので薄型テレビには最適なバックライトで、柔軟なデザインやさまざまな機能に対応できるようになりました。
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LEDバックライトのディミング技術
LEDバックライトは、バックライトが必要ないような暗い場面でも常にライトは点灯しています。長時間バックライトが点灯していると温度が上昇し映像のコントラストに影響を及ぼします。
これを防ぐために、バックライトの輝度を制限していますが、その結果、コントラストの薄い画面になってしまうデメリットがありました。
このデメリットを補うのが「ディミング技術」です。
この技術を使うことでバックライトの消費電力を少なくし、同時にコントラストを向上させることが可能になりました。
ディミング技術には大きく、以下の3つのタイプがあります。
・複数の水平方向ごとに調整する方法
・マトリックス状に調整する方法で「ローカルディミング」と呼ばれている方法
バックライト全体の輝度を調整する方法は、シンプルでコストも低く抑えられます。
ローカルディミングは、部分的に調整することでよりコントラスト感のある映像表現が可能になりました。
「エリア駆動(部分駆動)」とも呼ばれています。LEDバックライトは、直下型でエリア駆動のタイプがオススメですが、最近の液晶は遮光性が向上し高級タイプでもエリア駆動に頼らないエッジ型のバックライトを採用しているものもあります。
LEDバックライトを実装した液晶テレビは、ソニーが世界初
今や液晶テレビには不可欠なLEDバックライトですが、実は液晶テレビにLEDバックライトを実装したのは、2004年に発売されたソニーの「QUALIA005」が世界で初めてでした。
今や「有機ELテレビ」で躍進中のソニーですが、液晶テレビで初めてLEDバックライトを搭載したモデルを発売したとは驚きです。
ソニーのBRABIAシリーズのLED直下型液晶テレビは人気の機種になっていますが、やはり新商品では4Kの有機ELテレビがメインになっています。
オススメの直下型LEDバックライト液晶テレビ
直下型のLEDバックライトの液晶テレビは各メーカーさまざまな製品を提供しています。
その中からお手頃価格のオススメ液晶テレビを紹介します。
東芝レグザ 32インチ型S21シリーズ
ゲームに不可欠な「瞬速ゲームダイレクト」機能を搭載した直下型LEDバックライトの液晶テレビです。
地デジのノイズを抑制し高精細な画面を実現し、前面の「クリアサウンドスピーカー」で迫力あるサウンドが楽しめます。価格も3万円台前半とお手頃です。
ホームページ:東芝レグザ 32インチ型S21シリーズ
SHRPアクオス 32インチ型LC-32S5
同じ3万円台で購入できるのがSHARPの32インチ型LC-32S5です。
ハードディスクで裏番組録画ができる使いやすさにこだわった液晶テレビで、直下型LEDバックパネルで高画質を実現しました。
ホームページ:SHRPアクオス 32インチ型LC-32S5
LG 43インチ型UJ6100
直下型バックパネルに加え、最新技術「Active HDR」で1フレームごとにあるがままの色彩を再現したテレビです。斜めから観ても鮮やかな画面が楽しめます。
高性能の大型43インチ型で、5万円前後という価格はLGならではといえるでしょう。
ホームページ:LG 43インチ型UJ6100
ソニー ブラビア W500シリーズ
やはり液晶テレビでもソニーを好む人は少なくありません。自然な高精細画像と使いやすさで人気なのが32インチ型のW500シリーズです。
LEDバックライトはエッジ型ですが、ブラビアならではの高画質技術で精細な映像を再現しています。
バックライトコントロールのまとめ
- デジタル放送時代、薄型の液晶テレビはどこにでもある風景になりました。
- 液晶テレビは、プラズマテレビや有機ELテレビと異なり、自ら発光しないLEDパネルを使用したテレビです。色彩が再現するには、「バックライト」が必要になります。
- かつては、CCKLという冷陰極蛍光ランプを使用していましたが、現在は薄型に対応できるLEDバックライトがメインになっています。
- LEDバックライトには「直下型」と「エッジ型」の2つがあります。さらに、LEDバックパネルのコントラストをコントロールする「ディミング技術」により、クリアな映像を可能にしています。
- 液晶テレビにもさまざまなタイプがあります。どのような方式のバックライトを使用しているかはチェックすることも大切です。