こちらの記事は2024年1月12日に加筆修正いたしました。

日常に不可欠な冷蔵庫を購入する際、誰しもが自分の居住スペースにあった容量・スタイルの製品を選ぶでしょう。
そしていざ設置場所に置くとき「冷蔵庫を壁にぴったりくっつけてしまうのはよくない。
十分なスペースを開けて置く必要がある。」という言い伝えが頭をよぎるのではないでしょうか。
はたしてこの言い伝えは正しいのでしょうか、それとも一種の都市伝説のようなものなのでしょうか。
隙間なしで設置するとどうなるのか?
また隙間を開けると電気代の節約になるのかを検証すると共に、冷蔵庫を設置する際の注意すべき重要点をいくつかご紹介いたします。

冷蔵庫は スペックの高さを追求すれば、白物家電の中でも洗濯機と同じくらい高価な製品です。
そんな冷蔵庫だからこそ、ただ機能性が高いからと言う理由で製品を選ぶだけでなく、バカにならない毎月の電気代を抑える工夫をして効率よく使いましょう。
まず”冷蔵庫の設置場所”と ”右・左・両開きのどの冷蔵庫が使用場所での動線上最も使いやすいのか”を確認することが大切です。
それからもう一つ重要なのが 壁と冷蔵庫、冷蔵庫と側面にある家具との隙間です。今回はこの”隙間”にフォーカスします。

冷蔵庫設置の注意点

冷蔵庫を設置する際に注意すべき2つのポイントについて紹介します。

床材を確認する

冷蔵庫設置時には、最初に冷蔵庫を置く床の状態を確認しましょう。
床がきしむ音がしている、床がへこむといった場合には注意が必要です。

また、床の材質のなかには柔らかいものがありますが、柔らかい床材の上に冷蔵庫を設置すると床が凹み、冷蔵庫を置いていた跡が残ったり床が剥がれたりする場合があります。
そのため、特に賃貸の場合には床の素材についても十分に注意が必要です。
床の素材が柔らかいのであれば、板を置いた上で冷蔵庫を設置するといった工夫が必要になるでしょう。

冷蔵庫周辺に隙間をあける

冷蔵庫は、扉や側面、上部から放熱する仕組みです。
そのため、冷蔵庫周辺には物を置かず、一定の隙間をあけなければなりません。

冷蔵庫周辺には隙間をあけなければ、冷蔵庫の熱が放出されにくくなり、冷蔵効率が下がります。
冷蔵庫内を冷やすためにエネルギーが必要になり、電気代がかかるため注意が必要です

冷蔵庫の背面に隙間をつくる理由

「冷蔵庫を設置する時は 冷蔵庫の背面を壁からある程度離して置かないと冷蔵庫の故障につながる」と聞いたことがあると思います。これは「冷蔵庫の放熱板」の存在理由から来ると思われます。

冷蔵庫は言わずもがな食品を冷やすための家電ですが、効率的に冷却するには 冷やす時に集めた熱を”放熱”する必要があります。
その時に必要になるのが「放熱板」と呼ばれる板で、以前は冷蔵庫本体の背面にあるものが主流でした。
冷蔵庫の背面に黒い板のようなものがあったのをご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「冷蔵庫の背面を壁から離して置く」という概念は、この放熱板と壁の距離が近すぎると十分な放熱ができない、イコール冷蔵庫の冷えが悪くなるのではないか、という考えからきたものだと推測されます。

冷蔵庫を置くときに隙間をあけるなら

冷蔵庫置く際には、冷蔵庫周辺に隙間をあけなければなりません。
冷蔵庫の上部、側面、背面など、隙間をあけるべき場所について紹介します。

上面の隙間

冷蔵庫を設置する際には、冷蔵庫の上の部分に隙間があくように設置しましょう。
上の部分に物を置いていると冷蔵庫内の熱が逃げず、温度を保てないため電気代がかかります。

冷蔵庫の上に物を置きたい場合には、ラックや収納アイテムを使用して放熱できるように隙間をあけることが大切です。
冷蔵庫の上部は5cmほどの隙間が空いていれば放熱できるため、物を置く場合には物が少し浮くようにラックを設置しましょう。

側面の隙間

冷蔵庫の側面は、物や壁から左右5mm以上の隙間が空くように設置します。
冷蔵庫の上の部分に放熱板があるタイプでも、側面からも放熱できれば効率良く冷蔵庫内を冷やせるためです。
側面は大きな隙間をあける必要がないため、壁や食器棚などから少しだけ離すように意識しましょう。

背面の隙間

背面の隙間は、5mm以上あけることがポイントです。
近年発売されている冷蔵庫は背面に放熱板がある商品が少ないですが、古い型の冷蔵庫の場合は背面に放熱板があるため、壁に接すると放熱できず冷蔵効率が下がります。

また、側面に隙間をあける理由と同様に、背面に放熱板がなかったとしても、背面からも放熱できれば若干冷蔵効率はあがるでしょう。そのため、放熱板の位置を問わず、背面の隙間をあけることが大切です。

他の家電との隙間

通常、冷蔵庫の扉をあけ閉めするのは料理をするときです。
料理では火を使用することが多く、冷蔵庫を開けた際にキッチン内の熱が冷蔵庫の中に入り、冷蔵庫内の温度が一気に上がります。
冷蔵庫内の温度が上がると、温度を下げるために電気を消費して電気代がかかるため注意が必要です。
また、日が当たる場所や炊飯器の近く、食器棚の真横で通気性が悪い場所などに置くと、冷蔵庫内の温度が上がるため、温度を下げるために電気代がかかります。

上部、背面、側面と同様に、放熱効果を上げるために家具や家電との隙間をあけましょう。
冷蔵庫周辺の通気性を良くしたり、熱を発する家電製品の近くに置かないようにしたりといった工夫も必要です。

 

冷蔵庫の放熱板の位置に注意しよう

冷蔵庫の放熱板はどこにあるかご存知でしょうか。
だいたいに於いて側面や上部に設置されているものですが、最近の冷蔵庫にはそれらしき物はちょっと見ただけでは分かりにくいと思います。

放熱板  
位置理由注意点
●背面放熱壁と後ろの距離を離さなくにもいいように設置場所を選ぶ必要が出てきて不便
●側面放熱冷蔵庫の両サイドを広く開けておかなくてもいいようにマグネットでペーパー類や小物の収納スペースにしたり、リメイクシートで覆わない
●上部放熱トップユニット方式ともいう。熱は自然と上に上っていくため、冷蔵庫の上にものを載せることは避けましょう。
メーカーによってはトップユニット方式で(通気用の穴が天井面についているものもある)そこから放熱します。

その穴を塞いでしまうと、冷却効率がてきめんに落ちてしまうため物を載せたりせず、汚れ防止のためにラップを敷くなどする場合は穴を塞がないように注意する

それは見た目も重視して内部に設置されているため、外からはわからないように造られているからです。
放熱板の設置場所は 初期の冷蔵庫では背面にありましたが、時とともに側面→上部と変化してきました。
背面放熱よりも側面放熱、側面放熱よりも上部放熱タイプの冷蔵庫が新しいと言えます。
かつての放熱板は上部ではなく、冷蔵庫側面や背面についていました。

冷蔵庫の上部に物を置かない 側面に紙を貼らない

先にも記載したように、熱は自然と上に上っていくため、効率よく冷却させるためにも冷蔵庫の上にものを載せることは避けましょう。

冷蔵庫側面も有効活用しようと、ついついマグネットでプリント類を貼ったりしてしまいがちですが、この行為も冷却率を低下させることに繋がります。これでは必然的に電気代も無駄に上げてしまいます。誰しもランニングコストは抑えたいものです。
冷蔵庫側面は放熱する仕組みになっているため、シールなどを貼るのもできるだけ控えましょう。
とは言っても「どうしてもインテリアに合わせて、無機質な冷蔵庫をおしゃれにリメイクしたい」と言う人は ”貼るのは側面の片側だけ””使う頻度の多い お洒落なキッチンツールだけをいくつか”など 自分なりのルールを決めて工夫しましょう。

放熱板の掃除の方法

ゴミやホコリが溜まると 冷蔵庫内が冷えにくくなるため電気代が上がってしまいます。
もっと重要なのが、コンセントについたホコリで火災が発生する事故が多いことです。
定期的に掃除をし、ホコリを取り除くことで節電にも繋がります。
放熱板が背面にあるタイプは以前製造されていた型の冷蔵庫ではありますが、白物家電は長い年月使用されている方も多いと思います。

なのでここでは、背面に放熱板がある冷蔵庫向けに 冷蔵庫の後ろのお掃除の仕方をご案内します。
もちろん新しいタイプの冷蔵庫も 年に1度は後ろの方まで掃除したいものですので、同じ要領でお試しください。

用意するお掃除用具 
・掃除機(できればハンディタイプか、隙間ノズルにする)
・雑巾2~3枚程度

まずはじめに 冷蔵庫の脚のカバーを外したら 高さ調節をします。
ここを手でクルクルと回して緩め、冷蔵庫の前方の高さを少しだけ上げておきます。

次に 冷蔵庫の底にバーがついているので、バーを握って手前に冷蔵庫を引っ張ります。
後ろにはキャスターがあるので 簡単に引き出せます。
これで 後はゴミやホコリをしっかり取り除いてから雑巾で水拭きします。

長年かかって溜まったホコリは湿気を含んで取りにくくなっている場合があるので、水拭きでしっかりと拭き取りましょう。
放熱板のある開口部が狭い冷蔵庫のお掃除アイデアは、いらなくなった古いストッキングを下に通し、反対側からストッキングを引っ張れば 静電気の力でホコリが綺麗に取れます。


 

冷蔵庫の隙間を開けないとどうなるのか?

全ての冷蔵庫が隙間を開けなければならないのかというとそういうわけではなく、最近の冷蔵庫は進化しており、放熱板が背面ではなく、側面や上部についている冷蔵庫も多く出ています。
また、デザイン性を重視して内蔵型の放熱板がついた冷蔵庫もあるようです。
そのような冷蔵庫であれば、側面は左右5mmほど、上部は5~30cmほどの隙間を確保するだけでよいというメーカーの意見もあります。

そもそも、冷蔵庫を壁から離して置かないと起こりうる現象はどんなものがあるのでしょうか?
その原因や事故は次のようなものがあげられます。

壁の変色

まず、一つ目は壁の変色です。
壁の変色の原因は冷蔵庫から発せられる「熱」が原因です。
冷蔵庫内を冷やす為に凝縮器及び、圧縮機から熱が放出されるのですが、この時、冷蔵庫と壁の間にある床や空気中のホコリが舞い上げられて壁の変色を引き起こすようになっています。

熱がしっかり放熱できなければ、壁が電気焼けを起こし黒く変色するのです。
このような観点から冷蔵庫と壁には十分な隙間が必要になってきます。
賃貸でこのようなことがおきると、退去する際に部屋のクリーニング代が高くつく可能性があります。
せっかくの壁紙を汚さなくても済むように冷蔵庫には隙間を作っておく方がと安全といえます。

冷蔵庫の冷えが悪くなる

2つ目は冷蔵庫の冷えが悪くなるということです。
この問題は冷蔵庫としても役目を果たさなくなるので大問題に繋がります。
原因としては、1つ目の壁の変色の問題同様に壁と冷蔵庫の間に隙間が無いと放熱をさまたげることになりうまく熱を逃がせず冷却効果が薄れてしまいます。

またオーブンの隣や、直射日光が当たる場所、暖房機器などにより高温になる場所に置いてある場合も、冷えにくくなります。
冷えにくくなることで電気代が高くなることもあります。
たとえ、冷蔵庫自体に省エネモードが搭載されてあっても、冷えが悪くなってしまったら節電・節約の意味がありません。

また最近の冷蔵庫は冷蔵庫の上の部分に放熱板があり、この場合冷蔵庫の上に物を置くと脳熱板の本来の働きを失うことになります。

メーカーごとに推奨されている隙間は何センチ?

壁から1cm パナソニック HPXタイプ 

スマホと連携する高機能な冷蔵庫がこちらです。
550Lの大容量で、大家族でも活用する冷蔵庫といえるでしょう。
また、「はやうま冷却」という機能も備わっており、お弁当の準備時間を短縮するのにも一役買います。
設置場所に関しては、壁から1cm程度開けることを推奨されているのが特徴です。

2cm以上 シャープ 3ドア冷蔵庫 SJ-GW35G

二人暮らしにぴったりな冷蔵庫です。
省エネ設計もしっかりなされており、コストを抑えたい人にもおすすめ。
さらに、ローウエスト設計になっているため、女性でも出し入れが楽な点も魅力でしょう。
壁際に設置した場合、2cm以上の隙間を開けることが推奨されています。

左右の壁側から5mm程度 日立 HWタイプ

5人以上の家族におすすめなのが、日立のHWタイプです。
食材の鮮度を保ちながら保存できる機能や、凍らせないで肉や野菜を保存できる特鮮氷温ルームが特徴です。
大きな冷凍室が中段にあることから、腰を屈めることなく使用できるのも魅力でしょう。
設置箇所は、左右の壁側から5mm程度開けることが推奨されています。

壁から1cm程度 東芝 FZシリーズ

充実した野菜室を望むなら、おすすめしたいのがこちらの冷蔵庫です。
湿度を95%以上に保つことができるため、積み立てのような鮮度を保つことができます。
また、冷凍庫は2段式になっており、まとめ買いをする家庭でも活用しやすい冷蔵庫です。
設置箇所は、壁から1cm程度の隙間を開けるように推奨されています。

壁から1cm程度 三菱 MBシリーズ

大容量でありながら、スリムな幅が魅力の冷蔵庫です。
壁との隙間を踏まえても、小さなスペースに起きやすいため狭いキッチンでも活用できる可能性が高いでしょう。
設置箇所は、壁から1cm程度開けるように推奨されています。

最新の冷蔵庫は「隙間」ゼッタイではない

最新の冷蔵庫は「隙間」ゼッタイではない。
排熱板の位置が上部や側面に変化してきています。
以前の冷蔵庫のように、必ずしも冷蔵庫の背面と壁の隙間を開ける必要はありません。
製品によっては左右や上部に隙間が必要な場合もあるので、必ず取扱説明書で確認してから設置しましょう。

冷蔵庫の隙間についてのまとめ

  • 背面に放熱板のある製品はリリースされなくなったので 壁との距離をとる必要はなくなりましたが、側面にある壁や家具との隙間はほんの少しでいいので開けておき、上にも物は載せないようにしましょう。これが効率よく冷却させて 電気代を抑えるコツです。
  • 隙間間隔も キッチンの間取りや冷蔵庫の設置スペース、どれくらいのサイズの冷蔵庫が設置できるのかなどを確認しましょう。冷蔵庫設置のおさらいと共に ポイントもプラスして記載します。
  • 冷蔵庫に直射日光が当たったり、風通しが悪いと、冷却力が低下し電気代が予想以上にかかってしまうことがありので冷蔵庫を設置する場所は、日陰で熱気の当たらない風通しの良い場所を選ぶ。
  • 冷蔵庫を設置する際には、冷蔵庫本体のサイズに加えて、左右5mm以上、及び上部50mm以上の隙間空間が必要になるため 設置スペースは「幅」「奥行き」「高さ」をそれぞれ確認し購入にひかえてメモをとっておく。
  • 床が丈夫で水平であること・専用コンセントの有無も確認しておく。
  • いかがでしたでしょうか。「たかが隙間 されど隙間」です。冷蔵庫の冷却を効率よく行うためには この”隙間”がとても重要になってきます。このちょっとした意識の持ちようで 冷蔵庫内の食品を冷やす力が最大に活かせます。
  • その知恵と工夫が ひいては省エネにもつながっていきます。環境にもお財布にもやさしい使い方け心がけましょう。(参考動画 【掃除】女性一人でも簡単にできる!冷蔵庫の動かし方)
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