スマートフォンがあれば、時計なんていらない。そんな人も多くなっています。しかし、重要なビジネスシーンで、時刻を気にしてスマートフォンをチラチラ見るのは、相手に対して失礼になります。
時間に厳格な日本社会では、腕時計は今でも必須のアイテムです。そこで今回は腕時計の選び方について解説します。
目次
時計選びはライフスタイルに合わせる
現在、市場で入手できる腕時計は、昔ながらの機械式から最先端のスマートウオッチまで多種多様です。
価格も下は数百円から上は億単位まで、まさに「ピンからキリまで」ありますので、どれを選ぶか迷ってしまう、という方も多いかもしれません。
予算があれば有名ブランド品にしたいと思うのも当然ですが、近頃の時計は単に時刻を知るだけではなく、さまざまなシーンに対応したマルチツール型もあれば、スマートフォンやパソコンと連携できる高機能のウエアラブル端末型もあります。
腕時計を購入する際は、自分自身のライフスタイルにどんな製品がマッチするのかをよく考えて選ぶべきでしょう。
予算があるからといってブランドだけで選んでしまうと、自分に必要な機能がなかったり、逆にオーバースペックすぎて無駄な買い物になったりして、あとで後悔することになります。
時計はブランドにこだわらず、ライフスタイルに合わせて選びましょう。
クォーツ・自動巻き・機械式はライフスタイルで選ぶ
腕時計のムーブメント(内部機構)は、クォーツ式と機械式に大別できます。
まずクオーツ式から説明しますと、クオーツ(quartz)とは、英語で「石英」のことです。時計の世界では「水晶」をクオーツと呼ぶために誤解されている方も少なくありませんが、水晶は石英の中で特に透明度の高い結晶のことをいい、英語では「rock crystal」と呼ぶのが一般的です。
水晶には電気を流すと1秒間に3万2768回振動する性質があります。そしてその電気振動を1秒に1回のパルス信号に変換し、時刻表示に利用しているのがクオーツ時計です。水晶の振動から得られる時刻は非常に正確で、しかも部品が少なく、ムーブメントを安価に製造することができます。
普及価格帯の腕時計はクオーツ式が主流で、商品のバリエーションも豊富です。
電源だけをとってもオーソドックスな電池式から、電池不要のソーラー発電やスプリングドライブなどの機械発電式、さらに充電式など、さまざまなタイプが登場しています。クオーツ時計のデメリットとしては、電池交換の必要がありますが、発電式や充電式なら、もはや電池は不要です。
他のデメリットとしては、コスト重視の一体型ムーブメントの分解修理が不可能なこと、部品も安価なプラスチック製が多く、耐久性があまり期待できないことがあげられます。安価なモデルは修理ができても、買い換えるより修理費のほうが高くつくかもしれません。
次に機械式ですが、動力源となるゼンマイの巻き方で「手巻き式」と「自動巻き」に大別できます。手巻き式は文字通りリューズを手で巻いて動力をチャージする方式です。
メカニズムが単純なため軽量で薄型ですが、定期的にゼンマイを巻く手間がかかります。一方、「自動巻き」は、時計に内蔵されている半円形の薄いおもりが腕の動きに合わせて回転し、ゼンマイを巻く仕組みになっています。そのため時計を身につけたまま行動すれば、ゼンマイを手で巻く必要はありません。
自動巻のデメリットは、巻上げ機構を備えるために時計の厚みと重みが増すことと、メンテナンス費用が高くなることです。また自動巻の時計も手首から外してしまえば1日半ほどで止まりますので、手巻きと同様にリューズを巻く必要があります。
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日常生活用防水・日常生活用強化防水・潜水時計を選ぶ
時計のムーブメントは水に弱いため、腕時計の多くは防水機能を備えたケースを使用しています。
防水時計はJIS(日本工業規格)とISO(国際標準化機構)の規格を満たした製品にのみ、「WATER RESISTANT」「WATER RESIST」 「W.R.」などと刻印されています。
JIS規格では腕時計の防水性能を、日常生活用防水時計、日常生活用強化防水時計、潜水時計の3種に大別しています。
日常生活用防水時計は、防水機能のグレードでは最も弱く、汗や雨にぬれるぐらいなら問題ない、というレベルです。次に日常性活用強化防水時計は、日常生活用防水よりもワンランク防水性能が高く、耐えられる水の圧力を「10気圧防水」「20気圧防水」のように気圧(bar)で表示しています。
これは炊事や洗車をはじめ、海水浴や釣りといった水辺のスポーツやレジャーにも耐えられる性能です。ただし素潜りを含めた潜水には使用できません。次に潜水時計については、JIS規格で「空気潜水時計」と「飽和潜水時計」に分類されます。
空気潜水時計はボンベに圧縮空気を入れて比較的浅い海で潜水する時に使用する時計で、水深100-200mまでの水圧に長時間耐えられる防水性能を備えています。
このタイプは「AIR DIVER’S 200m」のように空気潜水用であることと、耐えられる水深を表示しています。一方、飽和潜水時計は、空気潜水時計を超える最高レベルの防水性能を備えた時計です。
「飽和潜水」とは、潜水病を防ぐために不活性ガスのヘリウムなどを飽和状態になるまで体内に吸収させ、ボンベにもヘリウムと酸素の混合ガスを入れて呼吸することで、深い海でも安全に潜水できるようにしています。
飽和潜水時計は水深200m以上の水圧に耐えられる時計で、「HE-GAS DIVER’S 1000m」のように表示します。
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ベルトの種類を選ぶ
腕時計の多くはステンレスやチタンなどの金属ベルトが標準ですが、季節やシーンに応じてベルトを交換すると、楽しみの幅が広がります。
ビジネスシーンでは、カーフやクロコなどの革ベルトがおすすめです。金属に比べると軽くなめらかで装着感がよく、見た目もフォーマルで高級感もあります。
カジュアル用にはラバー系のベルトが良いでしょう。軽くて柔らかく、安価で丈夫です。汗や汚れが簡単に拭き取れて、いやな臭いも残りません。またミリタリーウォッチに代表されるキャンバスのベルトもおすすめです。
アウトドアにはナイロン繊維を紐状に織ったナイロンやラバー素材が水に強く、耐久性もあって安心できます。
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時計以外の性能にも注目して選ぶ
最近の腕時計は、単に時刻を知るだけの道具ではなく、さまざまなシーンに特化した高機能の便利なアイテムに進化しています。
ソーラー電波時計にも注目して選ぶ
日本をはじめ世界の主要先進国は、電波の周波数や時間の基準にするための標準時刻情報を常時発信しています。
この標準電波を受信して、時刻のずれを修正できる時計が電波時計です。また、ソーラー時計は光発電で動力を得るため電池交換が不要です。そしてその両方の機能を備えたソーラー電波時計は、電池いらずで時刻の修正も必要ないという、それぞれの実用性をあわせ持つ大変便利な腕時計です。
おすすめのモデルはカシオLCW-M510D-1AJF。10気圧防水でメタルボディのオーソドックスなアナログ時計ですが、液晶表示部にカレンダーやワールドタイムを表示可能です。
電波時計のため、時刻合わせのリューズを省いているのも斬新です。
GPS腕時計にも注目して選ぶ
GPS腕時計はGPS衛星の電波をとらえて正確な時刻情報を割り出す腕時計です。
人工衛星の電波を利用するため、電波時計用の標準電波が受信できない地域でも、正確な時刻情報を得ることができます。
さらに受信した位置情報から緯度経度や高度などを表示できる時計もあります。おすすめのGPS腕時計はシチズンCC3010-51A。GPS腕時計は多機能なクロノグラフタイプが主流ですが、本機はオーソドックスな3針タイプ。
電池不要のソーラー発電式で、チタン独特の軽量ボディと飽きの来ない落ち着いたデザインも魅力です。
GPS時計が持つ機能と利便性 おすすめのブランドとモデルを解説
心拍計付き腕時計にも注目して選ぶ
ウォーキングやジョギングを毎日欠かさない人は、GPSと心拍計の両方を備えた腕時計があれば、運動量をリアルタイムに計測できて、毎日のトレーニングに活用できます。
おすすめはガーミンのvívoactive® 3 Black Stainless。さまざまなスポーツに最適のアプリを内蔵し、スマホとの連携も可能なウエアラブル端末です。電源は充電式です。
気圧・高度計腕時計にも注目して選ぶ
アウトドア用の腕時計は時刻はもちろん気圧や高度、温度や方位などの情報も得られる心強いアイテムです。
おすすめはカシオ・プロトレックPRW-3510-1JF。世界6局の標準電波を受信できる、20気圧防水のタフなソーラー発電式腕時計です。
アウトドア用腕時計のよさと選び方 おすすめのブランドと一品の解説
おすすめの腕時計ブランド
ここでは大人の男性にふさわしいステイタスをもつ時計の一流ブランド3つをご紹介します。
セイコー
日本を代表するウォッチブランド、セイコーの歴史は1881年に操業された服部時計店にまでさかのぼります。1969年には世界初のクォーツ腕時計、アストロン35SQを発売しました。
2012年にはアストロンの後継機種として、世界初のGPSソーラーウォッチを発売するなど、セイコーは世界の時計産業を常にリードしています。
おすすめのモデルはアストロンSBXB170。アストロンシリーズ初のスポーツモデルで、20気圧防水のタフな造りも魅力です。
ブライトリング
クロノグラフで有名なブライトリングは1884年創業しました。
主力商品はパイロットやダイバー向けのヘビーデューティーな腕時計ですが、2003年から超高級車ブランドのベントレーとパートナー契約を締結し、高級時計市場の開拓にも成功しています。おすすめの時計はクロノライナー。
1960年代に製作されたパイロット用のクロノグラフを現代的にリニューアルした息の長い人気モデルです。
ロレックス
スイスを代表する腕時計ブランド、ロレックスは、1905年にロンドンで創業されました。当初は時計の販売のみを行っていましたが、イギリスの関税が高かったためスイスに拠点を移し、やがて自社生産するようになりました。
その後、自動巻のパーペチュアル機構をはじめ、防水性の高いオイスターケースを実用化するなど、時計史に残る画期的な技術を次々に開発しました。
今なお高級時計ブランドの頂点に君臨しています。おすすめのモデルはオイスタパーペチュアル。
3針式の自動巻でカレンダーもないシンプルな仕様ですが、ロレックスらしいクラシックなスタイルが魅力です。大きさは男性用ではラージとミディアムの2タイプありますが、小柄な日本人には直径36ミリのミディアムサイズがおすすめです。
ロレックスの魅力を紹介 ロレックスの歴史、逸話などを詳しく解説
時計選びについてのまとめ
- 腕時計のムーブメントは機械式とクオーツ式に大別できる。
- 腕時計の防水性能は、日常生活用防水、日常性活用強化防水、空気潜水、飽和潜水の4種に分類される。
- 腕時計の性能は絶えず進化し、機能も多様化を続けている。最近のクオーツ式腕時計には電波時計やGPS時計、心拍計付き腕時計といった高機能なアイテムが販売されている。