この記事では、現代日本の住宅でもっとも一般的に使われている外壁材のサイディングについて解説します。
この記事を読むことでサイディングとはどんなものなのか、サイディングの特長やメリットやデメリット、素材別のサイディングの種類について知ることができます。
目次
サイディングとはなにか?
サイディングは、住宅の外壁に使用される仕上げ用の板材です。
パネル状のボードを張って外壁を仕上げるため、タイルのように1枚ずつ張ったり、漆喰壁のように壁面を塗る必要がありません。
一般住宅ではかつてセメントと水を練り合わせてつくられるモルタル仕上げが主流でしたが、現在はサイディングが幅広く普及し、外壁材の主流となっています。
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サイディングの特長とデメリット
サイディングの最大の特徴は、低コストであることです。
板を貼り合わせて施工していくため、施工時間が短縮できることや、塗り壁のように施工時に特殊な技術を必要としないことで実現しています。
現代でサイディングを採用している住宅の割合は、全体の7割から8割にも及ぶとされています。
また、サイディングは工業製品であることから製品の品質が安定し、性能面でも耐水性や耐天候性に優れています。
モルタルのように経年劣化に伴い表面がヒビ割れするリスクもありません。
登場した当初は外壁材のバリエーションが少なく、デザイン性も乏しかったサイディングですが、現代では種類も豊富で、輸入住宅のような雰囲気や西洋風の見栄えなど、住宅のイメージに合わせて選ぶことができるようになっています。
サイディングのデメリット
経年劣化しにくいサイディングですが、半永久的に劣化しないわけではありません。
サイディングは基材の種類によっては吸水性があり、防水機能を表面の塗膜で補っています。
このため、塗膜の劣化を放置すると、雨などの影響によって建物の構造に大きな影響を与えることがあります。
サイディングは7~8年を目安に塗装などの修繕を行わなければなりません。
サイディングは塗膜の劣化以外にも、経年によるサイディングボード自体の反りや、継ぎ目となるシーリングの劣化、表面に白い粉がつく状態のチョーキングなどが起こります。
サイディングの種類
一口にサイディングといいますが、その種類はさまざまです。
一般的なサイディングの素材は樹脂、金属、窯業、木質の主に4つです。以下ではサイディングの種類別の特徴を解説します。
樹脂系サイディングは家への負担が少ない
樹脂系サイディングの特徴は、樹脂成型されているため劣化しにくいこと、塩害や凍害などにも強く、耐天候性に優れていることです。
一般的に、窯業系サイディングでは経年劣化により、目地に使用されているシーリングが剥がれることが少なくありません。
しかし、樹脂系サイディングであればシーリング自体が必要ないため、目地の補修を考える必要がありません。
また、窯業系サイディングと比較すると樹脂系サイディングはおよそ10分の1程度の重量であるため、施工が容易で壁自体を軽くすることができます。
家への負担も軽減できるほか、リフォームなどで既存の外壁の上に施工することも可能です。
しかし、樹脂系サイディングは重量が軽いために薄く設計されており、遮音性は他の種類のサイディングと比較するとやや劣ります。
樹脂系サイディングは、混和材などの効果により耐久性が高くなっているものの、樹脂そのものはもともと紫外線の影響によって硬化し、割れが起こりやすくなる特性を持っています。
樹脂系サイディングを採用する場合には、UV対策が必要なのかも確認しておく必要があるでしょう。
樹脂系サイディングが主に用いられるのはアメリカで、外壁材全体の50%を超えるシェアを持つ外壁材といわれています。
金属系サイディングは気温変化の激しい場所でも耐える
金属系サイディングは、ガルバリウム、アルミニウム、ステンレスといった素材の鋼板が使用されたサイディングです。
そもそも金属であることから、水分を吸収しないため、浸水が起こることがありません。
他の素材のサイディングと比較すると長期間メンテナンスフリーで耐天候性もあるため、気温変化の激しい寒冷地などでも採用しやすくなっています。
イメージとして金属は無機質で冷たい印象を受けがちですが、現代では金属系サイディングは金属加工の進歩によりレンガ風やタイル調のものもあり、さまざまなデザインを選択することが可能です。
しかし、金属は他の素材のサイディングと比較すると、価格が高くなってしまうのが難点といえます。
このほか、金属は温度変化によって膨張や収縮が起こって変形する可能性があり、サビのリスクも考慮しておかなければなりません。
窯業系サイディングは日本で最も多いサイディング
日本において近年の住宅で採用される大半のサイディングは窯業系サイディングです。
窯業系サイディングはセメント質と繊維質などの原料を板状に形成したもので、衝撃にも強く耐火性も高くなっています。
さらに、外壁は長期に渡って風雨にさらされるものであるため、最近では表面がコーティングされ、汚れ対策が施された窯業系サイディングも登場しています。
また、窯業系サイディングの大きな特徴のひとつはデザインが豊富でラインナップが多いことです。
シンプルなものをはじめレンガ風やタイル調、石積み調など、さまざまな製品があるので、好みや家の雰囲気に合わせてサイディングを選ぶことができます。
一方で、窯業系サイディングの欠点は継ぎ目に使用するコーキング材に経年劣化が生じます。
たとえサイディング自体に劣化が見られなくても、コーキングに劣化がみられた場合には補修が必要です。
窯業系サイディングはそれ自体に蓄熱しやすいというデメリットがあるほか、防水性能がないため、塗布された塗料が劣化すると、水分を吸収してしまいます。
上記の事から、通常は施工から7~8年ほどで塗り替えが必要です。
木質系サイディングはエイジングを楽しめる
木質系サイディングは、天然木に塗装を施して仕上げたサイディングです。
人工的な素材のサイディングにはない木材が醸し出す風合いを感じることができ、経年による変化(エイジング)も味わえます。
また、木材の特性として耐熱性能に優れ、素材が天然であることから、ひとつとして同じ模様になることがありません。
しかし、木質系サイディングは天然の素材であるがゆえに、基材に水分を含んた状態で放置してしまうと腐食が進みやすいため、こまめな再塗装と定期的なメンテナンスが必要です。
さらに再塗装の際も木の呼吸を妨げないような、塗膜を張らない浸透性のある塗料を選定する必要があります。
木質系サイディングは価格に関しても、窯業系サイディングなどよりは高価格な点にも注意が必要です。
木質系サイディングを採用する場合には、建物の一部にアクセントとして採用したり、メンテナンスが容易な1階部分のみで使用するといった方法も考えられます。
サイディングについてのまとめ
- サイディングは住宅の外壁に使用される外壁材のひとつです。
- かつてはモルタル仕上げが主流でしたが、現在一般住宅ではもっとも一般的な外壁材となっています。
- サイディングの特徴は低コストであることで品質的にも安定し、耐水性や耐天候性にも優れています。
- サイディングはモルタルなどと比較すると経年劣化しにくくなっていますが、7~8年を目安に塗装などのメンテナンスが必要です。
- サイディングの主な種類は樹脂系、金属系、窯業系、木質系となっていてそれぞれ特徴が異なります。