現在、市場に流通している腕時計のほとんどはケースと文字盤が丸いラウンド型になっています。
そんな中でケースが四角いスクエア型の腕時計は、売れ行きこそ丸型には及ばないものの、高級ブランドの看板商品や、歴史あるロングセラーモデルが多く、時計好きにとっては無関心ではいられないアイテムになっています。
この記事ではそんなスクエア型の腕時計について解説していきます。
目次
スクエア型腕時計の特徴
スクエア型腕時計はベルトと時計本体の幅をそろえることでブレスレットのように扱えるため、レディス用ドレスウォッチの定番モデルとして古くから親しまれてきました。
一方、メンズのスクエア型時計は盤面が大きく、多くの有名ブランドが長年磨きをかけてきた高級モデルに代表されるレトロなデザインが主流です。
クラシックでハイセンスなスクエア型時計はフォーマルシーンはもちろん、ビジネスにも安心して応用できる一方、個性や存在感が際立っているだけに、自己主張が強すぎる印象もあります。
スクエア型を初めて購入する人は、その特徴をよく吟味してから選択しましょう。
スクエア型腕時計は丸型が多いので目立つ
ビジネスシーンでスクエア型腕時計を愛用している人に会う機会はそんなに多くありません。
それだけにスクエア型の腕時計は人目を引きつける効果が高く、ビジネスの場で時計のことを話題にできれば、商談相手との距離を一気に縮めることも可能です。
集団主義的な日本社会では、自己主張が強い人はとかく敬遠されがちですが、スクエア型腕時計はただ目立つだけでなく、持つ人のセンスを感じさせる風格があります。
その存在感を利用して、自分の個性とセンスをさりげなく主張することで、相手に嫌悪感を抱かせずに記憶に残るような印象を与えるのは賢明な戦略といえるでしょう。
スクエア型腕時計はスーツに合わせてもよい
腕時計に丸形が多いのは、部品の歯車が丸いことと、文字盤で針が回る構造上、丸形以外では無駄な空間が生じるからだといわれています。
また時計メーカーの大半はムーブメントを外注していますが、スクエア型に適した汎用ムーブメントはほとんどありません。
そのためスクエア型は専用ムーブメントを自社製造できる高級ブランドのモデルが多くなっています。
デザインも高級ブランドらしい個性と品位をあわせ持ったドレッシーなフォーマル系のモデルが多く、スーツに合わせても問題ありません。
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スクエア型腕時計の中にも種類がある
スクエア(square)は基本的に正方形などの四角い図形のことをいいますが、腕時計の場合はスクエア型にもさまざまなフォルムがあります。
レクタンギュラーケース
1917年、フランス人の宝石細工師ルイ・カルティエは、角型時計の先駆けとなるレクタンギュラー(rectangular=長方形)型のユニークな腕時計、「タンク(戦車)」を創り上げました。
「タンク」はその名の通り戦車の平面図からインスピレーションを得た、長方形の腕時計です。
そのモダンで直線的なデザインは、当時流行しつつあったアール・デコ様式をいち早く取り入れたもので、戦車のキャタピラにあたる文字盤の両側を上下に伸ばしてブレスレットのヒンジをはさみ込む構造は、機能的な美しさと合理性を両立しています。
アール・デコ様式がピークを迎えた1930年代には、ロレックスやパテックフィリップといった高級ブランドも「タンク」に触発されたレクタンギュラーケースの新作時計を相次いで発表しました。
タンクのように誕生から100年にわたって製造され続けているロングセラーモデルは決して多くありませんが、アール・デコ様式のモダンな雰囲気を今に伝えるレクタンギュラーケースの人気と評価は今も衰えることを知りません。
クラシックでエレガントなレクタンギュラーケースはフォーマルな装いに最適です。
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クッションケース
クッションケースは丸い文字盤を囲むケースの形状が、ふっくらと丸みを帯びた正方形に近い腕時計です。
「クッションケース」という名称は、ソファーなどに置くクッションの形に由来しています。
現行製品ではパネライのルミノールやラジオミールが有名ですが、デザインの源流はレクタンギュラーケースと同様に1920-30年代を中心にヨーロッパで流行したアール・デコ様式にまでさかのぼります。
クッションケースはスクエア型の中では最も丸型に近く、誰にでも受け入れられるデザインといえます。
スクエアケース
スクエアケースは正方形のモデルで、カルティエのサントスやフランクミュラーのマスタースクエア、ブルガリのクアドラードといった名品がそろっています。
腕時計としてはかなり珍しい形だけに存在感があり、クラシックでトラディショナルな雰囲気を兼ね備えていることもあって、ビジネスやフォーマルなシーンでも着用できる定番モデルのひとつといえます。
デザインが個性的で希少性と存在感が高く、持つ人のこだわりの強さと同時に、頑固で骨太な印象を与えます。
また角型ならではの重厚感もあるので、小柄で柔和な体型の人よりも、がっちりした大柄な人におすすめです。
トノーケース
トノー(Tonneau)はフランス語で「樽」のことを言います。
トノーケースはその名の通りレクタンギュラーの長辺をふくらませた樽型の時計のことで、もともとレディス用の時計に多いデザインでしたが、フランクミュラーのヒットによってメンズのアイテムとしても認知されました。
トノー型には文字盤が丸いタイプもありますが、フランクミューラーは文字盤もトノー型にして、四隅まで数字をいっぱいに入れ込むことで、デザインにアクセントをつけると同時に、視認性を向上させています。
トノーケースの魅力はなんといってもボディのなめらかな曲線にあります。
一方で、見た目以上に大きく厚みもあるため、購入する前に装着感やサイズのバランスをよく確かめたほうが良いでしょう。
基本的にクラシック系のデザインですので、ビジネスやフォーマルシーンにも対応できるハイセンスな腕時計としておすすめです。
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スクエア型腕時計のおすすめモデル
タグ・ホイヤー モナコ
タグ・ホイヤーは1860年にドイツ系スイス人のエドワルト・ホイヤーが設立した時計メーカーで、伝統的にスポーツウオッチを得意としています。
1985年に経営難からTAGグループの傘下になり、社名を「ホイヤー」から「タグ・ホイヤー」に改めました。「モナコ」は1969年にホイヤーが発表した、スクエア型では世界初の防水機能を備えたクロノグラフです。
タグ・ホイヤーは古くからモータースポーツとの関わりが深く、「モナコ」の名称もF1レースの「モナコグランプリ」にちなんでいます。しかし、このアバンギャルドなスクエア型時計を一躍人気モデルにしたのは、モナコではなく「ル・マン」でした。
1971年公開の映画「栄光のル・マン」で主演のスティーブ・マックィーンが着用していた腕時計が「モナコ」だったからです。
世界初の自動巻きクロノグラフ腕時計でもあったモナコの人気は、誕生から半世紀を経た今も衰えることを知りません。21世紀に入ってからも復刻モデルや新作が続々とリリースされています。
ルイヴィトン スピーディ
ルイヴィトンは1854年にバッグ職人のルイ・ヴィトンが創設したフランスの高級バッグブランドです。
頑丈さと機能性を併せ持った注文生産の旅行バッグは戦前から多くのセレブに愛用され、戦後も順調に経営規模を拡大し、世界的なブランドに成長しました。
1987年には酒造メーカーのモエ・ヘネシーと合併。「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」という企業体の中核企業となり、現在では主力のバッグをはじめ時計や服飾、ジュエリーなどファッション全般に及ぶ幅広いアイテムを展開しています。
ルイヴィトンの「スピーディ」は同社の人気バッグの名前を冠した男性用のスクエア型クロノグラフです。
タグ・ホイヤーのモナコはサブダイヤルまで角型にした直線的なデザインが特徴ですが、スピーディはサブダイヤルを丸型にした愛らしいフェイスが魅力的です。
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スクエア型の腕時計についてのまとめ
- スクエア型の腕時計は丸型ほど一般的ではないので、個性と存在感が強く感じられます。
- スクエア型時計を着用することは自己主張やこだわりが強く、頑固で骨太な印象をもたらします。
- スクエア型腕時計は1920年代のアールデコ様式のデザインが主流です。
- スクエア型腕時計の多くはデザインがクラシックで、フォーマルやビジネスシーンにも違和感なく使用できます。
- スクエア型腕時計はケースの形状によってレクタンギュラーケース、クッションケース、スクエアケース、トノーケースなどに分類できます。