時計に詳しくない人でも、「ロレックス」や「オメガ」、「タグ・ホイヤー」の名前は聞いたことがあるはずです。外国製の時計は、日本人にとってある種のステイタスシンボルにもなっています。

その代表とも言えるのが、ロレックスなどのスイス製の高級時計で偽ブランド品が数多く出回るほど人気の商品となっています。

しかし、高級時計はスイス製のものだけではありません。国産の時計にも高級品はあります。それなのに、なぜスイス製の高級時計に人気が集まるのでしょうか?

スイスの高級時計が人気の理由

スイス製の高級時計に人気が集まる主な理由は、「老舗」としてのブランド力です。では、そのブランド力はどのようにして培われたのでしょうか?

スイスの高級時計のきっかけは16世紀の宗教革命

かつて時計工業の中心地はニュルンベルクとアウグスブルク、フランスのパリとブロアでした。16世紀にはさまざまな物や情報が集中し、その中でもめずらしい時計は人気が高く、有能な時計職人たちが集まり数多くの時計が作られていました。

この地域にはルター派やカルヴァン派の宗教改革が多く、積極的に職業をおこなうことが奨励されていたことも時計工業が発展した理由のひとつでした。

ところが、16世紀からドイツやフランスにおこった宗教革命により、宗教改革派が迫害されるようになると、時計職人たちは改革派の多いスイスへと逃れていきました。

当時スイスのジュネーブは、彫金やエナメル細工などの金細工加工職人が多く集まっていました。この金細工職人と時計職人の技術が融合して時計産業が発展し、19世紀の中頃には世界一の時計王国になったのです。

以来、スイスの時計職人は、精巧で美しい製品を提供してきました。

そして、「ロレックス」や「オメガ」、「タグ・ホイヤー」「IWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)」、「ブライトニング」などの老舗ブランドが登場しました。

国産高級時計はダメなのか?

高級時計=スイス製というイメージを持っている人は多いはずです。

スイス製の時計にはステイタスを感じるが、国産時計には高級ブランドイメージが薄いのが現実かもしれません。「セイコー」や「シチズン」は日本人にとっては身近な時計メーカーで、多くの人々は1つや2つは持っているでしょう。

国産の時計は、手頃な時計として愛用されているので、高級ブランドとしてのイメージを持っている日本人はほとんどいません。

国産の時計は「安くて良いもの」というイメージが定着しています。その理由は、「クォーツ時計」にあります。

クォーツ時計が時計の世界を変えた

世界中の人々が手軽に腕時計を買えるようになったのは、日本の時計メーカーのお蔭と言っても過言ではありません。

1969年に「セイコー」が世界で初めて「クォーツ腕時計」を発表しました。時計業界では、「クォーツショック」と呼ばれています。

これまでの機械式時計(ゼンマイ駆動の自動巻や手巻時計)は高価で、簡単に購入することはできませんでした。クォーツ時計は、機械式時計よりも精度が高く、さらに大量生産が可能になったことで、大幅に安い価格で提供できるようになりました。

以来、日本製の時計は安価で品質の良い物というイメージが定着していきました。

日本の腕時計の歴史は古い

「クォーツ腕時計」で注目を浴びた日本の腕時計ですが、実は機械式時計も古くから作られていました。

時計自体の製造は明治時代からで、スイスよりはずっと後発ですが、日本で腕時計の製造が開始されたのは1915年です。世界で初めて一般的に腕時計が

スイスのオメガから発売されたのが1900年ですから、腕時計の製造に関しては歴史的な差はそれほど大きくはないと言えるでしょう。

そして、日本人ならではの職人技を磨き上げあげていきました。最先端の「クォーツ」技術だけでなく、精巧な機械式時計の生産も続けています。

日本人だけが知らない国産高級時計の評価

一般的に人気となっているの高級時計は、「ロレックス」「オメガ」「タグ・ホイヤー」の3大ブランドですが、その次にあげられているのが「グランドセイコー」です。

海外の人たちの中には、日本人はロレックスなどのスイスブランドに夢中で、なぜ国産のグランドセイコーを買わないのか不思議に思う人も少なくありません。

最先端技術と職人技が活かされた国産高級時計は、グランドセイコーだけではありません。「シチズン」や「オリエント」なども精巧で魅力的な高級時計のブランドを展開しています。

ここでは、「グランドセイコー」「ザ・シチズン」「オリエントスター」の3つの国産ブランドについて紹介します。

グランドセイコー

1960年にスイス公認の精度検査である「クロノメーター」を超える精度の時計を目指してセイコーが創設したブランドが「グランドセイコー」です。

部品生産から組み立て全てを国内でおこなうジャパンクウォリティの腕時計です。世界的にも高い評価を受け、世界中の時計愛好家に親しまれています。

グランドセイコーが世界的に認められている大きな理由が、時計の心臓部とも言える「ムーブメント」が3種類あることです。

電池を動力とするクォーツの能力をより高めた「クォーツムーブメント」、クロノメーター基準と同等の検査基準であるグランドセイコー規格である機械式の時計の「メカニカルムーブメント」、さらにグランドセイコー独自の機械式動力とクォーツを融合させた「スプリングドライブ」、これらの3つのモデルがあるブランドは、世界の中でもグランドセイコーだけです。

特に、スプリングドライブは、機械式でありながらクォーツの精度を保った実用的な高級時計として注目を浴びています。

ザ・シチズン

SEIKOと肩を並べる国内時計メーカーのシチズンが、時計の本質を追求するために立ち上げたブランドが1995年に誕生した「ザ・シチズン」です。
・正確なときを刻み続けること。
・時刻を見やすく伝えること。
・その使命を長く維持すること。

これらをテーマに、高品質で上品なデザインの商品を提供しています。

ザ・シチズンのもっとも大きな特徴は、クォーツ式で年差±5秒という世界でも類のない驚異的な精度にあります。また、業界初の10年間保証でアフターケアも充実しています。

オリエント・スター

国産時計のメーカーの老舗であるオリエント時計株式会社が、1951年に開発したのが「オリエントスター」です。以来、クォーツ全盛の時代でも一貫して機械式時計を作り続けてきました。

昭和46年に作られたムーブメントは、「46系ムーブメント」と呼ばれ、さまざまな機能が追加されても変わらずに安定した精度を維持しています。

また、流行に流されないオーソドックスなデザインは、大人の落ち着きを感じさせ、長年多くの人々に愛用されています。

「着ける悦び」「魅せる喜び」「繋ぐ慶び」を追求したオリエントスターは、さらに「魅せる喜び」を発展させ、時計のフェイスの一部からからムーブメントの動きが見える「セミスケルトン」や両面からムーブメントが見える「スケルトン」のモデルを開発しました。

スケルトン越しに見えるムーブメントは、まさに芸術品と高い評価を得ています。

国産高級時計をつけるメリットと注意点

国産品に限らず、高級時計を着用しているだけでビジネスでもプライベイトでも一目置かれるはずです。

特に接客業の人が相手の場合は、上クラスのお客様と思われて、サービスにも違いが出るかもしれません。

国産高級時計が外国産の高級時計より良い点は、外国産に比べてブランド色が強くないところです。

外国産時計はデザイン的にも目立つものが多く、「高級ブランド品」という印象が強く、ビジネスシーンで着用していると反感を買う危険性があります。

また、年配の人には日本製を愛用している方も多く、日本製の高級時計は好感を得られるはずです。

但し、注意したいのは時計に関する話題はあまり語らないことです。世の中には時計愛好者も多く、それなりの知識を多く持っています。一般的に知られていることでも、愛好者の中では違うことも少なくありません。

例えば、「ロレックス」「オメガ」「タグ・ホイヤー」は一般的には3大ブランドと言われますが、時計愛好家の中では、「パテック フィリップ」「ヴァシュロン・コンスタンタン」「オーデマ・ピゲ」「A.ランゲ&ゾーネ」が世界4大時計と言われています。

また、国内ブランドにしても、最近では独立系のブランドも数多く登場しています。

時計愛好家の人と接する場合は、中途半端な知識は禁物です。愛好家の人の話は素直に聞くことが大切です。

国産高級時計についてのまとめ

  • 16世紀から技術を積み上げてきたスイス製の高級時計の最高峰とも言えます。しかし、国産の高級時計もスイス製に劣らない評価を得ています。
  • 私たち日本人は、日本人でありながら国産高級時計の価値を理解していません。世界には、日本製の高級時計を愛用している人が少なくありません。
  • 「グランドセイコー」を筆頭に、「ザ・シチズン」「オリエントスター」は、海外でも有名な日本の時計ブランドです。有能な日本の職人の技術と最先端技術が融合された高級時計は、日本人として世界に誇れるものです。
  • スイス製の高級時計も良いですが、ビジネスシーンなどでは国産の高級時計の方が好感を得られる場合も少なくありません。高級時計を購入する際には、是非国産の高級時計も選択肢に入れて下さい。